Rustコアチームの開発者であるNicholas Matsakis氏が、Rustの2017年ロードマップの進捗状況をまとめている。
2017年1月に発表されたロードマップには、次のような重点分野が挙げられている。
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学習曲線: この分野での最大の改善点は、公式Rustブックを書き直して、オーナシップやエラー処理、テスト、マッチング、モジュールなどの記述をより適切なものにすることだ。これについては、Rustの言語エルゴノミクスを向上するための開発作業が行なわれた他、非構文的ライフタイム、Traitのエイリアスなどの機能が導入されている。
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編集-コンパイル-デバッグサイクル/0}: このサイクルのスピードアップが最初に試みられたのは、Rust 1.16での
cargo check
コマンドの導入である。この時点では、コード生成を省略したエラーチェックができるのみだったが、Rustチームはさらにインクリメンタルコンパイルの実装作業を行なっており、現在は依存性トラッキングをより堅牢にするための書き直しているところだ。別の方向からは、Rust “perf” Webサイトの新バージョンの供用が開始された。これはコンパイルのパフォーマンスに関する、ありとあらゆるPRの効果を追跡すると同時に、パフォーマンス上の退行を検出するための基盤を提供するものだ。 -
IDEエクスペリエンス: Rust Language Service (RLS)を基盤とするRust IDEサポートは、定義へのジャンプ、すべての参照部分の検索、コード補完など、基本的な操作の大部分をカバーする。まだアルファ版だが、Visual Studio Codeプラグイン経由で簡単に試用することができる。
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堅牢なサーバを記述するための言語の整備: Future、Tokioプロジェクト、Rocketプロジェクトを通じて実現される、より優れた非同期I/Oサポートの提供がおもな活動である。次いで優先順位が高いのは、
async/await
の記述、機能改善、HTTP基盤の改善などだ。 -
重要なタスクに使用するCrateの品質向上: APIガイドラインの順守度の改善、問題の発見と修正、新しいクックブック用の例題の記載などを通じて、最も広範に利用されているCrateが一定レベルの一貫性と品質を満足していることを保証する。
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大規模ビルドシステムへの統合: 現在はまだ検討中の領域であり、今年後半に多くの作業が実施される予定である。おもな目標は、構築計画を実行せずに立案するためにCargoを利用することと、ファーストクラスの方法で外部依存関係を宣言可能にすることの2つだ。
Rustの将来を形成するその他のイニシアティブとしては、ロードマップには掲載されていないが、組込み用Rustイニシアティブや、CやC++、Ruby、Node.jsなどの他言語との統合性向上といったものがある。
詳細な情報はオリジナルの記事を参照されたい。
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