先日の発表でMicrosoftは、Azure Site Recovery(ASR)を使用したIaaS(Infrastructure-as-a-Service)ディザスタリカバリのパブリックプレビューに関する詳細をリリースした。ASRサービスを使用することで、ひとつのAzureリージョン内のIaaSワークロードを保護すると同時に、同じ地理クラスタ内の別のAzureリージョンに複製することができる。例えば、US Westでワークロードを実行している場合、そのワークロードをUS Eastリージョンに複製して、ディザスタイベントの発生時には、ワークロードをUS Eastリージョン内でオンラインにすることができる。
Microsoftのようなクラウドプロバイダは非常に大きな規模と高い冗長性を備えているが、それでも企業側としては、クラウドでのビジネス継続性に対する準備が必要だ。同社プリンシパルプログラムマネージャのRochak Mittal氏は、次のように説明する。
アプリケーション運用をクラウドに移行することで、Azureは、ミッションクリティカルなワークロードに必要な高可用性と信頼性をネイティブに提供します。しかしながら、ISO 27001などのコンプライアンス要件は、ビジネス継続計画(BCP)の一環として、実績のあるディザスタリカバリソリューションを求めています。
Disaster Recovery for Azure IaaSはASRの基本機能を拡張する一方で、次のようにユーザの導入を簡略化している。
- サービスとしての提供 – サブスクリプション内にインフラストラクチャ(VMあるいはアプライアンス)を追加する必要がないため、レプリケーションが容易になる。これによってユーザは、コンピュータ使用量の増加や、監視および保守のコストを回避することができる。
- エクスペリエンスの簡略化 – 管理者がDisaster Recovery for IaaSを有効にするには、保護対象のVMを選択し、ターゲットのAzureリージョンを指定した上で、レプリケーション設定を選択するだけでよい。ストレージアカウントや仮想ネットワークなど、必要なターゲットリソースのプロビジョニングもサービスが行なってくれる。
出典: https://azure.microsoft.com/en-us/blog/announcing-disaster-recovery-for-azure-iaas-vms-using-asr/
- アプリケーション対応リカバリ – 管理者またはアプリケーションオーナが、リージョンからリージョンへのフェイルオーバを行なう時間と方法をコントロールできる。リカバリポイント目標(RPO)やリカバリ時間目標(RTO)などのレプリケーションポリシもコントロール可能だ。
出典: https://docs.microsoft.com/en-us/azure/site-recovery/site-recovery-azure-to-azure
- リアルタイムの可視性 – Site Recoveryジョブビューを使用することで、レプリケーションジョブのステータスをリアルタイムに確認できる。
- 無停止DRテスト – ASRのテストフェイルオーバ機能を使用することにより、分離されたネットワークセグメント内でのDRテスト実行が可能であり、本番アプリケーションのダウンタイムを防止できる。テストが完了したならば、管理者が“Cleanup test failover”ボタンをクリックすることで、テスト目的でインスタンス化されたすべてのリソースを削除することができる。テストに関する追加のメモやコメントも合わせて処理される。
- フェールオーバの起動 -実際にBCPイベントが発生して、フェールオーバを実行する必要がある場合には、管理者がAzure Portalを使用してフェールオーバを開始することができる。フェールオーバを実行する前に、リカバリポイントを選択した上で、既存の仮想マシンをシャットダウンすることも可能だ。プライマリリージョンのすべてのサービスがセカンダリリージョンでオンライン化されれば、管理者はその変更をコミットすることができる。さらに、VMを元のリージョンで再保護(re-protect)したい場合は、単に“Re-proitect”ボタンをクリックするだけでVMを元に戻すことができる。
Disaster Recovery for Azure IaaSのパブリックプレビューは現在、すべてのパブリックリージョンで利用可能だ。
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