アジャイルとDevOpsの導入は、Wyndham社におけるQAの役割にプラスの影響を与えた。ライフサイクルの初期段階における取り組みにフォーカスすることで、バグやポストプロダクション問題の少ない、スムーズなリリースに繋がった。文化が変化した結果、テストすることは共同責任となり、これまで以上にビジネス部門と顧客がデリバリーサイクルに関わるようになった。QAはバグの検出や変化への対応よりも、バグの予防や変化への積極的参加を行うようになった。
Spring Online Testing Conference 2017にて、Wyndham Vacation Rentals UK社のQAマネージャであるFelicity Lord氏は、ますますデジタル化する世界においてQAが関わり続けることについて話した。
講演後、InfoQはLord氏に、Wyndham社でQAが直面した課題とその対処方法、アジャイルとDevOpsがQAに与えた影響、QAの文化を変えるために彼女がしたこと、デジタルリーダーシップを確立したい組織へのアドバイスについてインタビューした。
InfoQ: Wyndham社でQAはどんな課題に直面しましたか?
Felicity Lord: 18ヶ月ほど前、私がWyndham社に入社したとき、チームの構成は手作業によるテストに偏っており、自動化しているのは回帰テストだけでした。ビルドサイクルは反復的にしていましたが、アジャイルではありませんでした。ユーザー受け入れテストの部署が別にあったのですが、彼らはユーザー体験にフォーカスするのではなく、QAチームが実施したテストをほとんど繰り返しているように見えました。
その上、私たちの組織には、デジタルリーダーになる、すなわち、今後3年以内に英国一のエンドツーエンドのデジタルホリデー賃貸ビジネスだと見なされるようになる、という野望がありました。この野望を実現するためにチームが直面した具体的な課題のひとつは、会社として、収益を最大化するため、顧客データを利用して、さらにパーソナライズ化して関連性の高い、一貫性のある体験を顧客に提供する必要があることでした。– ただ、QAチームはこれを満たせるようにできていませんでした。
私たちにはモバイルのテスト機能がありませんでした。私たちのビジネスはグローバルなのですが、地理的に別の場所をテストできませんでした。顧客のソーシャルメディアの利用が増えるとともに、Webサイトのカスタマイズとパーソナライズへの期待も高まっている中、私たちは変化するチームへの要求に対応できるように、自らのテスト機能、手法、スキルを変えなくてはなりませんでした。
InfoQ: そうした課題にどう対処したのですか?
Lord: 重要なテスト領域について成熟度評価を実施し、改善のために赤、黄、緑で重み付けしました。より関心の高かった領域 – 私のチームにとってメトリクスだったところ、テスト評価、非機能テスト、モバイルとデバイステスト、テストデータ管理 – について、私が最初にフォーカスできる、素早く成果を出せるのは何か考えました。また、ある程度長期的な目標を立てて、チームの3年間のロードマップを作りました。
初年度、私がフォーカスしたのは、オフショアテストモデルから社内Q、新規採用、新規活用ベンダーへの移行を伴う、適切な人材とツールの配置でした。今年は、非プロダクション環境への適切なアプローチの実行と、チームへの開発と投資、すなわち、トレーニング、新しいスキルとプロセスの学習、自動化に関するチームの知識向上、にフォーカスします。
InfoQ: アジャイルとDevOpsの導入はQAの役割にどんな影響を与えましたか?
Lord: アジャイルとDevOpsの組織への組み込みはまだ道半ばですが、すでにQAの役割にプラスの影響があるのを感じています。変化とデリバリーペースの増加はチームへのプレッシャーを高めましたが、セールス、オペレーション、マーケティングなど主要なビジネス部門との関係とスリーアミーゴスという考えを連携して、ライフサイクルの初期段階の取り組みにフォーカスできるようになりました。これは長い目で見て、バグやポストプロダクション問題の少ない、スムーズなリリースに繋がっています。
QAを行動の調停と変化を促進するための力として活用することによって、私たちはDevOps文化への変化を促すのにも役立っています。私たちのDevOpsロードマップで重要な部分は、自動デプロイを実行して、よりアジャイルになるための真のブロッカーを解消することです。
InfoQ: QAの文化を変えるために何をしたのですか?
Lord: 文化について私にとって一番の変化は、別組織としてのユーザー受け入れテストをなくして、デリバリーサイクルにビジネス部門と顧客を巻き込んだことです。私はチームに対して、テストを共同責任だと考えるように促し、品質保証を純粋なテストや品質コントロールの役割よりもっと大きく幅広いものだと話してきました。バグの検出や変化への対応よりも、バグの予防や変化への積極的参加を行うのです。
InfoQ: デジタルリーダーシップを確立したい組織のために、何かアドバイスはありますか?
Lord: デジタルリーダーになるために側に置いておくべきことは、ビジネス感覚、技術的能力、戦略的リーダーシップというデジタルリーダーシップのトライアングルの中で、自分の強みがどこにあるのか理解すること、そして、どこの知識を伸ばす必要があるのか、また、いつ他人のスキルに頼るべきかを知ることだと思っています。
別の業界からWyndham社に入ってきた者として、私はビジネスの知識を強化する必要があると感じました。アーキテクチャ視点で組織の方向性を理解することに時間をかけましたが、私の周りには私を導いてくれる素晴らしいチームがあることもわかりました。そのあと、私が得た知識と私が利用できるスキルに基づいて、チームの戦略を立てました。このやり方に従えば、誰でもデジタルリーダーになれますよ。
Rate this Article
- Editor Review
- Chief Editor Action