Ethereum Foundationは、Metropolisと呼ばれるEthereumネットワークで近く予定されているアップデートについて、主要な開発会議を通じて詳細情報をリリースした。Metropolisのハードフォークは、 ByzantiumとConstantinopleという2つの主要なリリースに分割されている。最初のリリースとなるByzantiumは9月のリリースを目標としており、トランザクションの匿名性の向上や、ガス料金(gas charge)の予測可能性の向上が実現される予定である。
最初のハードフォークでは、次のような機能ないしアップグレードが期待できる。
匿名性の向上
ゼロ知識証明(zero-knowledge proofs)あるいはzk-SNARSs、すなわち、これまで提供されていたものよりも高い匿名性を持ったトランザクションの実行が可能になることが期待される。Ethereumブロックチェーンはパブリックチェーンであるため、取引に関連する詳細情報の中には、カウンターパーティとしては公開されたくないものがあるかも知れない。zk-SNARKSを使うことで、関係者のみがデータを見ることができるように、参照可能な対象を制限することが可能になる。EthereumのチームリーダでSolidityの生みの親でもあるChristian Reitwiessner博士は、zk-SNARKsを次のように説明する。
計算の正確性を、実行する必要なく検証するための手段です。何が実行されたのを知ることさえなく、正常に実行されたことだけが分かります。
ガス料金の予測可能性向上
Ethereumブロックチェーンにおいてトランザクションあるいは契約によって実行されるオペレーションには、そのオペレーションの計算上の複雑さに基づいて、それらのアクションの実行に関連するコストが存在する。現在は開発者あるいはユーザが、自身のトランザクションに関するガス料金の上限を管理しなければならないため、予測しない結果につながる場合がある。このことは、ICO(Initial Coin Offering)期間のようにネットワークアクティビティの高い間には、さらに大きな問題となる。
Metropolisでは、トランザクションの実行時に、その時のネットワーク状態を考慮したガス料金が自動的に計算される。これにより、特に大量のトランザクションの実行時において、ガス料金の予測可能性が向上する。
テスト
Ethereumブログには、新たなテスト言語が開発中であると述べられている。
作業検証やCasper、フォーク選択ルールのシャーディングのためのテストを短時間で作成および実行可能にするため、テスト言語の開発に着手しました。これにより、Casperとシャーディングの両方について、カバレッジの改善とテストの促進が期待できます。
Ethereumプロジェクトチームのテスタのチームも3名から7名に増員され、Parityやgethなど主要なクライアントでは、EIP(Ethereum Investment Proposal)の大部分の実装が完了した。
全体として、Byzantiumのリリースはオンスケジュールあるいはそれに近い形で行われており、9月上旬には3週間の予定でテストセットが組まれている。Ethereumを開発したVatalik Buterin氏は、おおよそのタイムラインを次のように説明している。
9月22日には430万ブロックで、ワーストケースとしては10月27日に440万ブロックで、ハードフォークが発生する見込みです。
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