Appleはarmとarm64固有のファイルをGitHub XNU-darwinリポジトリに静かに公開した。これは開発者全員にとって興味深いものではないかもしれないが、セキュリティ研究者などにとっては興味深い可能性がある。
Darwinというのは、iOSとmacOSの基盤を提供しているカーネルのコードネームであり、Appleはこれを2000年にopensource.comでオープンソース化した。このことは、iOSカーネルのソースコードが新たにリリースされたのかどうか、それは完全なものなのかどうか、やや混乱を招いていた。この点について、(今回の)リリースはarm64あるいはAppleの最新のA11 SoCを完全にはサポートしていないかもしれないが、リリースされた新しいファイルにより、ARM用にDarwinをコンパイル可能になるはずだ。具体的には、READMEファイルはiOSに言及しており、Makefileはarm/arm64のオプションを含んでいる。
これが何の役に立つのかに関して、iOSカーネルを構築できるからといって、実デバイスにインストールできるというわけではない。実デバイスのbootromは、署名されたカーネルの実行しか許していないためだ。それでも、iOSカーネルの構築は、iOSエミュレータの作成時に役に立つだろう。実際、すでにQEMUベースのiOSエミュレータを作成する取り組みがあり、最近復活したようだ。プロジェクトに参加している開発者のひとりによると、「iOS固有のコードは、バグ潰しと、基本的なグラフィックフレームバッファを越えた仮想グラフィックハードウェアの開発を加速するのに、かなり役立つ」という。加えて、iOS固有のソースコードが手に入ることで、セキュリティ研究者らが新たなバグや脆弱性を発見できる可能性が高まる。こうしたバグや脆弱性はしばしば悪用され、iOSを脱獄するプログラムを作って、署名されていないアプリケーションや拡張、テーマをダウンロードしてインストールするのを可能にする。
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