Facebookは、ReactのライセンスをBSD+PatentsからMITに変更することを決めた。ApacheプロジェクトにReactを組み込めるようにし、オープンソースコミュニティとの不安定な関係を回避するためだ。
FacebookでEngineering Directorを務めるAdam Wolff氏は、まもなく多数のプロジェクト - React、Jest、Flow、Immutable.js – が、BSD+Patentsの代わりに標準的なMITライセンスを使うようになると発表した。「ReactはWebのためのオープンソースソフトウェアにおける様々なエコシステムの基盤になっており、非技術的な理由のためにその進歩を妨げたくはない」ためだ。ReactのBSD+Patentsライセンスは、ライブラリのユーザーに「不確かさ」をもたらし、一部では代替ソリューションの選択を引き起こしていた。Facebookは「こうしたチームを取り戻そうとは思っていない」と言うが、彼らはこの問題を見直す人たちがいることを望んでいる。ライセンスの変更は、来週のReact 16のリリースから有効になる。
他のプロジェクトについて、Wolff氏は「人気のあるプロジェクトの多くは、今のところBSD+Patentsライセンスのまま」だと言う。彼らは「そうしたプロジェクトのライセンスも評価しているところですが、プロジェクトごとに事情は異なっています。代替ライセンスの選択肢は様々な要因に依存します」と言う。この言葉から、FacebookはBSD+Patentsライセンスを完全に廃止する計画であるように思えるが、彼らはプロジェクトごとに最善の選択肢を見つけ出す必要がある。
BSD+Patentsというのは、訴訟からFacebookを保護するために導入されたPATENTSファイルを伴う、非標準の3条項BSDライセンスだ。特許主張に関して直接的もしくは間接的にFacebookを訴えたり、そうした主張に金銭的利害関係があるReactユーザーは、ライブラリもしくは同じライセンスを持つ他のFacebookプロジェクトを使用する権利を取り消される。Facebookは次のように定義している。
「特許主張(Patent Assertion)」とは、交差請求や反対請求を含む、特許を侵害する直接的、間接的、もしくは寄与的な侵害または誘引を主張する訴訟やその他行為を指します。
当初、このBSD+Patentsライセンスは人々をいくらか驚かせたが、ApacheがそれをApacheプロダクトに含めることが許されないCategory Xに入れることを決めるまで、ほとんどのユーザーは気にしていなかった。このカテゴリには、いくつかのGNUライセンス、Microsoft Limited Public License、Amazon Software License (ASL)が含まれている。大きな問題は、こうしたライセンスが「下流のプロジェクトに対するユニバーサルドナーであり、それ自体、このソフトウェアの使用に関する制限を取り込む」ことだ。Facebookのライセンスによって、Samza、Flink、Marmotta、Kafka、Bahirなど、多くの重要なオープンソースプロジェクトが影響を受けている。Apacheは8月31日まで、企業が問題を修正するための時間を与えた。その時点で、「こうしたFacebook BSD+patentsライセンスの成果物のいかなる使用もすべて認められない」ことになる。今回のApacheの決定に至る詳細については、RocksDB/LEGAL-303にある。
Apacheがサポートしている標準的なMITライセンスに切り替える、というFacebookの計画により、Reactとその他複数のプロジェクトにまつわる今回の問題は完全に解決される。他のFacebookプロジェクトのライセンスがどうなるのか、また、今回のライセンス問題がコミュニティにおけるReactの評判にどんな影響を及ぼすのかは、まだわからない。
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