Visual Studio 15.3のリリース(いくつかのアップデートと合わせて)により、Microsoftの次の目標は、新たに発表されたVS2017バージョン15.4になった。現在プレビュー中の15.4では、2017年秋にリリース予定であるWindows 10 Fall Creators Update (FCU)のサポート追加が中心に置かれている。15.4プレビュー版はすべての関係者がダウンロード可能だが、FCU特有の機能を利用するには、Windows Insiderに登録し、対応するWindows 10 SDKをダウンロードする必要がある。
VS2017の現時点での安定版リリース -- 15.3.x -- には.NET Core 2のサポートが含まれているが、UWPアプリケーションは.NET Standard 2をまだサポートしていない。この状況が15.4で変更され、FCUおよび.NET Standard 2を対象とするUWPアプリの開発が可能になる。このサポートによってコードの再利用が促進され、複数のプラットフォーム(Mono, Xamarin, .NET Framework, .NET Coreなど)をより簡単にサポートするライブラリを容易に開発できるようになる。
プレビューリリースであるため、今回のビルドには重大な既知の問題があることに注意が必要である - FCUの最小ターゲットを設定したUWPアプリケーションでは、XAML Designerが無効になっている。つまり、非XAMLの UWPアプリは前述のように.NET Standard 2.0を対象にできるが、XAMLを使用したUWPアプリでの完全サポートはもう少し先になる、ということだ。
Windows 10ユーザを対象としたアプリケーションの開発では、新たなテンプレートであるWindows Application Packaging Projectの利用が可能になる。このテンプレートでは、既存のWindowsプロジェクトを選択して、Windows Storeへの登録その他の配布手段で使用するappx
コンテナへのパッケージングが可能になる。パッケージ化するアプリケーションはUWPアプリケーションでなくてもよい。ターゲットのプラットフォームとしてWindows 10で動作することが必要ではあるが、開発者としては、従来のようなWin32形式のインストーラを使用せずにアプリを配布するための、より簡単な方法が手に入ったことになる。
Windows 10以外の機能追加
Visual Studio用のXamarin Toolsが改善され、Xamarin Live Playerのサポートが追加された。これにより、VS2017とモバイルデバイスを使用した初期プロトタイプが簡単に作成できるようになる。AppleあるいはAndroidデバイスにインストールされたPlayerは、VS2017の動作するワークステーションの画面からQRコードを読み取ることで、開発中のコードを事前にアプリストアにデプロイせずに、実際のモバイルデバイス上で迅速にテストできるようになる。
これまでスタンドアロンだった“Control Click Go To Definition”Power Toolが、正式にVS2017の一部となった。今回のリリースでは、C#、VB、Pythonがサポートされる。この機能を使用するには、CTRLキーを押したままIDE内のコード行上にマウスカーソルを移動すれば、その定義に簡単にナビゲートすることができる。
プレビューリリースであり、“実務使用(go-live)”用にはライセンスされていないため、運用環境で使用してはならない。製品版との並行インストールは可能ではあるが、リスクが皆無であるとは言えないので、ミッションクリティカルな環境での実行は避けるべきだ。今回のプレビュー版に関する完全なリリースノートが公開されているので、ローカルマシンへのインストールが可能かどうか分からない場合は参照するとよいだろう。
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