Amazonは最大のEC2マシンとなる x1e.32xlargeインスタンスをローンチした。新インスタンスは4TBのDDR4メモリとクアッドソケットのIntel Xeon E7 8800 Haswellプロセッサを持ち、大容量L3キャッシュを備えて2.3GHz(128 vCPU)で動作する。AWSの公式資料によれば、ネットワーク帯域幅は最大スループット25Gbpsに達する。
チーフエバンジェリストのJeff Barr氏は、9月13日のローンチ時にこのインスタンスについて、SAP HANAなどのメモリ集約的なインメモリアプリケーション用に設計されたものであることを発表している。Coca-ColaやCiscoなど大企業のAWSユーザの多くは、すでに既存のインスタンスタイプ上でSAPアプリケーションを運用中である。例えばKellogg社は、どのようなプロモーション活動が最も効果的かを予測する複雑なシミュレーションを実行している。
複雑な分析処理を最適化するためにSAP HANAでは、すべての処理をインメモリで実行する。メモリにストアされたデータに比較して、ディスクへのアクセスは10,000~1,000,000倍低速であるためだ。大規模なワークロードを処理する上で、より大容量のメモリが必要とされている理由がここにある。例えば、IntelのIvy Bridge v2では、SAPの推奨値はCPU毎に256GBのメモリとなっている。
既存のX1インスタンスでSAP HANAワークロードを実行している企業は、より大きなVMへの移行と運用システムのスケールアップすることによって、非常に大規模なデータセットの処理とストアが可能になる。
イメージ: AWS上で動作するSAP HANA Cluster
今回の新型マシンは、X1やR4インスタンスと同じくメモリ最適化VMとして位置付けられ、インメモリデータベースやハイパフォーマンス/リアルタイムデーータベース、データマイニングアプリケーション、大規模インメモリキャッシュ、Hadoop/Sparkクラスタに適している。
他のタイプのAWS VMと比較して、メモリ最適化マシンは、運用アプリケーションが大容量のメモリを必要とする場合により適している。他のタイプのマシンは、計算最適化、ストレージ最適化、高速コンピューティング用インスタンスに分類することができる。
現時点では、x1e.32xlargeインスタンスは、4つのAWSリージョンでのみローンチ可能だ。
- US East (バージニア北部)
- US West (オレゴン州)
- EU (アイルランド)
- Asia Pacific (東京)
Microsoft Azureの最大マシンは2TB、Googleが提供するのは最大416GBなので、メモリに関してはAWSが最大のマシンを持ったことになる。ただし費用は高く、例えばUS Eastリージョンでは1時間あたり26.688米ドル、東京は38.688米ドルである。
この記事を評価
- 編集者評
- 編集長アクション