Eclipseファウンデーションは準備ができている。Eclipse Enterprise for Java(EE4J)プロジェクトとしてJava EEをオープンソース化する仕事に対してだ。Mike Milinkovich氏、Eclipseのエグゼクティブディレクタであるが、公式にEE4Jを発表し彼らが直面している課題を説明した。
Java EEのEclipseファウンデーションへの移行はわくわくするような巨大な作業となるでしょう。エンタープライズJavaとクライドネイティブなコンピューティングに対してイノベーションを加速するためにEclipseのオープンソース開発モデルを使う重要な機会です。Java EEを使って大勢の開発者と組織に関与できることを楽しみにしています。
Milinkovich氏はこのプロジェクトでの重要な作業のいくつかに言及した。
- 既存のGlassFishオープンソースプロジェクトの移行(130のGitHubリポジトリ)。
- Java EE TCKの移行とコミュニティがそれを使用できるようにすること。
- 公開ビルドインフラストラクチャの作成。それによりEE4Jをコミュニティがビルド、テストできる。
- Eclipseファウンデーション庇護下での新しい仕様策定プロセスの確立。
Milinkovich氏はこれをすべて達成するための時間を取り、定義にあたってJavaコミュニティとのやりとりが必要となると述べた。ee4j-communityメーリングリストをEclipseは作成しており、開発者からのフィードバックとコントリビュートを望んでいる。
直近のJavaユーザグループ会議で、著名なJava EEエバンジェリストであるReza Rahman氏が"Java EE 8とJava EE 9: あなたが知る必要があること"を発表した。彼はJava EEの過去と現在、そして未来について概要を述べた。そしてJava EE 8にある注目すべきJSRと近い将来のことについて述べた。Rahman氏はまたJava EEの停滞やJava EEガーディアンズの出現、今日のJava EEを導いた出来事について論じた。
コミュニティの人々は一定の期間が経つと、とくにJavaOne 2016のあと、突然Java EE APIにおける活動がすべて6ヶ月以上もの間止まっていると気づきました。これは前代未聞です。Sunの暗黒の日々でさえ、Java EEの進歩にまったく活動が見えないような6ヶ月もの中断はありませんでした。私はこのことが起こっていた当時オラクルにいました。私はオラクルを去る整理をし、直後この"ミッションの指令"が浮かんできました。Java EEガーディアンズと呼ばれるものです。同時に、私たちは基本的にコミュニティの代表として質問をしています。なぜこれが起こっているのか、なぜ誰も答えないのかといったことでした。まったくの静寂がありました。コミュニティと業界でほんの少し不満が出たあと、オラクルは親切にもこう言いました。'Java EE 8に対して活動しておらず申し訳ありませんでしたが、今は活動していますし、そうしていくことを再度約束します。' その上彼らはもう1つの調査を実施しました。同じ調査をごく初期に実施しており、表向きとしては初めのころに私たちが作業していた機能がまだ意味をなしているか決定するためでした。
結局、オラクルが提供を約束したことはスコープの観点ではごく初期に彼らが約束したことにかなり近いものでした。大きな変更は、彼らがもはやアクション指向のwebフレームワークの提供を約束したくないということでした。それをつぶす代わりに、コミュニティの一員、Ivar Grimstad氏にそれを贈呈するということでした。彼は実際に仕様を前に進めており、うまくいけば仕様はもうすぐ完成するでしょう。彼らはJMSへの活動も完全になくしました。EJBはやや不必要なコンポーネントとしてまだ残っていますが、オラクルがCDIを支持してEJBを完全に非推奨にする作業をしなかったからです。彼らはよいものであったJSFのマネージドビーンを非推奨にしました。JCacheの作業をまったく終わらせようとしません。本来のスコープの80%が合計で残っています。そしてもちろん、私たちは今Java EE 8とGlassFishのリリースを長く待ち望んでいます。
これに加えて、オラクルは私たちを驚かせました。Java SEとJava EEを前に進める名のしれた企業であることに代わり、彼らはJava EEの管理を完全に断念する決定をしました。Java EEをEclipse Enterprise for Java (EE4J)と呼ばれる新しいプロジェクトの下Eclipseファウンデーションへ移行しました。今、主要なプレーヤは誰もいません。平等な活動の場です。Java EEに興味があるあらゆる企業がそうすることができます。オラクルはまだプレーヤのままでしょうが、間違いなくかつてのような主要なプレーヤではありません。これはとても重要な移行だと思います。Javaの根本的な部分を完全に自由にするようなことは今までありませんでした。なのでぜひ、これに関与し続けてほしいです。
以下の項目はJava EEの次のバージョンに向けて検討されていることだ。しかしRahman氏はこれらの多くはすでにMicroProfile 1.2で実装されていると述べている。
- EJBを非推奨にする
- JCache
- OAuth、OpenID、JWT
- 動的な設定
- ファットJAR、モジュラリティ
- ヘルスチェック/メトリクス
- サーキットブレーカ/耐障害性
- 動的なディスカバリ
- クライアントサイドロードバランシング
- NoSQL
最後に、Rahman氏はこう締めくくった。
現実としてはJava EEはまだ重要です。Java EE 8はかなりよいもので、あなたにそう思わせることができていればよいのですが。これは評価に値するリリースです。その中には根本的に重要なことがたくさんあります。明らかに、大きな関心が多く寄せられています。今、正直に言うととても楽観的になれる重要な理由があります。本当にオープンかという観点でJavaが根本的によくなったことはありませんでした。申し上げたように暫定的なアイデアがいくつかありますが、ここでのよいニュースは実際に作業の多くがMicroProfileですでになされていることです。これが意味することはJava EEの次のバージョンは非常に早くなるということです。もし関わりたいと思われるなら、ぜひそうしてください。今はそうする正しい時期なのです。MicroProfileに、EE4Jに関わってください。EE4Jの人々は今彼らの憲章に取り掛かったばかりです。私は憲章に関して1週間ほど前に実際に彼らにフィードバックしました。これはみなさんにとって、Javaのエコシステムを活性化する次の大きな出来事となるであろうことに関与するよいタイミングです。
Rahman氏はJava EEからEE4JへのマイグレーションについてInfoQに答えた。
InfoQ「新しいEE4Jについてのあなたの考えを教えてもらえますか?」
Rahman氏「これは大きな出来事です。コミュニティや業界の反応に興味を持っています。反応として、自分たちが今サーバサイドJavaの本当に大きな部分を持っており、全員が完全に平等なプレイヤであるということであるとよいのですが。知っていますか?おそらくマイクロソフトやアマゾン、グーグルのようなところでさえついに関与したがっているのですよ?」
InfoQ「JCPエキスパートグループはまだJava EE開発に関与するのでしょうか?」
Rahman氏「そう願っています。明らかにこの出来事全体はJCPを去ることであり、理由はJCPが直接的もしくは間接的にオラクルのコントロールを用いるようなさまざまなフック部分を多く持っているからです。オラクルはJCP内の多くのことに影響を及ぼすことができます。今JCPにいる同じ人々がJCPの管理モデルに関わったのと同じようにここでの運営モデルに関与してくれればよいのですが。率直に言って、彼らはここならより発言権があります。ECでは、オラクルは拒否権によって彼らを覆すことができます。オラクルはJCPで権力を持っているのです。ここでは誰も権力を持っていません。全員が平等です。まさにより民主的な状況です。」
InfoQ「今あるような公式な投票はないのですか?」
Rahman氏「うまくいけばあるでしょう。そのための憲章は現在策定中です。なので明確に定義されたプロセスとなるでしょう。通常Eclipseファウンデーションでは運営委員会があるとき、こうしたことが狙いです。次の大きな変更やプロジェクトのマイルストーンにおいて投票と承諾を必要としています。」
InfoQ「Eclipseの運営モデルにつなげていくのですか?」
Rahman氏「そのとおりです。」
InfoQ「彼らには自身の投票システムがありますが、コントリビュートと、可能であれば投票するチャンスが大勢の人にありますか?」
Rahman氏「そう願っています。なぜならECでは、一連の決まった数の議席しかありません。議席の多くはオラクルが直接批准します。ここでは彼らは選出されることさえありません。オラクルがあなたを選ぶのです。実際に投票で選ばれる議席はわずかです。このモデルに対して、運営委員会ではだれもがそうできます。批准議席のようなものはありません。間違いなくJCP ECでオラクルが持っているような永久議席もないのです。」
InfoQ「Java EEがEclipseの下でオープンソースとなった後、Java EEガーディアンズはどのように前進、進化しますか?新しい憲章があるのでしょうか?」
Rahman氏「数ヶ月前私たちの憲章を更新したところです。オラクルに焦点を当てた意見から離れたものに、とくにむしろ単に教育への焦点を提唱する長期の憲章となるように変更しました。私たちは別の変化を必要としていると思いますが、私たちが始めたところと似ているものとなるでしょう。特定の組織を大きく擁護するものではありません。開始時に私たちがしたかったことに加えて、人々がこのプロセスに対してコントリビュートするよう推奨するものとなるでしょう。単に純粋な教育と奉仕です。人々にJava EEが何であるか、なぜ彼らがJava EEを気にかけるべきなのかを説明するためなのです。」
InfoQ「他のプラットフォーム、たとえばSpringはJava EEの進化にどんな影響を与える役割だと見ていますか?」
Rahman氏「私の考えでは、Springは見せかけの、プロプライエタリなものを持っています。興味深いのは、それらが90年代のマイクロソフトの表現だということです。思うに、それはJavaに対してだけなのですが。とても厳しく管理された技術があります。名前としてはオープンなものではあるのですが。実際には、コミッタの多く、そしてディレクションの多くは1つの企業で整えられています。Pivotalです。この意味から、私の中ではPivotalが彼ら自身のプロプライエタリなことをするのを止め、平等なコントリビュータとして実際にEE4Jに加わってくれること、そして誰か1人が所有したり管理したりしない業界の共有部品としてその技術を前に進めることを本当に願っています。別な私はこう言っています。SpringとJava EEの相互作用はJavaの世界の陰と陽であると。それには時折少し不安を感じますが、きっと最後にはよいようになるでしょう。」
InfoQ「私たちはもうこれをJava EEとは呼べなくなるかもしれないのですか?」
Rahman氏「今後もJava EEと呼べるかもしれません。EE4Jはプロジェクト名です。ブランド名は今後もJava EEのままかもしれない、と私たちは見込んでいます。」
Resources
- Opening Up Java EE - An Update by David Delabassee (September 12, 2017)
- Oracle Chooses Eclipse Foundation as New Home for Java EE by InfoQ (September 17, 2017)
- The Eclipse Enterprise for Java Project Top Level Project Charter by Eclipse (September 28, 2017)
- Eclipse Issue Open Call for Enterprise Java Participation by InfoQ (October 10, 2017)
Editor's Note
Michael Redlich has facilitated the ACGNJ Java Users Group, based in Scotch Plains, New Jersey, since February 2001.
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