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Microsoft、Red Hat、Intelの3社は、MeltdownとSpectreのマイグレーションがシステムに与える、パフォーマンス上の影響に関する評価結果を発表した。
SpectreとMeltdownには合計で3種類のものがあり、2つはSpectre(バリアント1および2)、ひとつがMeltdown(バリアント3)のためのものだ。Microsoftが実施したベンチマークによれば、“バリアント1とバリアント3のマイグレーションはパフォーマンスへ影響は最小限だが、OSとマイクロコードを含むバリアント2はパフォーマンスに影響する”。数値は発表されていないが、以下のような詳細が説明されている。
- IntelのSkylake、Kabylake、およびそれ以降のCPUを搭載したデスクトップでWindows 10を使用するユーザには、パフォーマンス上の重要な影響はない。
- Intel Haswell以前のCPUを搭載したデスクトップでWindows 7/8/10を使用するユーザには、著しいパフォーマンス低下が存在する。
- Windows Serverアプリケーションはすべてのプロセッサで、特にI/Oバウンダリなものに関して、“パフォーマンス上の著しい影響”がある。
現時点でMicrosoftがサポートする45エディションのWindowsのうち41は、Windows Updateチャネルを通じたパッチプロセスがすでに開始されており、残る4つも間もなく始まる予定だ。後者はWindows Server 2008/2012とWindows Embedded 8のいくつかのエディションである。
Red HatはLinuxマシン上で独自のテストを実施し、次のように結論付けている。
- カーネルを経由せずにデバイスに直接アクセスするLinuxアクセラレータテクノロジを使用するアプリケーションでは、パフォーマンス低下は2パーセント未満。
- ユーザ空間で通常の動作をするCPU集約型ジョブでは、2~5パーセント。
- “シーケンシャルディスクアクセスまたはネットワークトラフィックの極めて多い”アプリケーションでは、3~7パーセント。Java VM上で動作するアプリケーションはこの範疇である。
- OLTPワークロードのように、カーネル/ユーザ空間遷移の多いアプリケーションでは、8~19パーセント。
MeltdownとSpectreの修正がCPU性能に与える影響に関しては、これまでIntelがデータを提供していないことが批判されていた。同社が今回公開したベンチマーク結果の中には、これまでで最も包括的なものが含まれている。実施結果、テストに使用されたハードウェア/OS/ベンチマークに関する詳細は、公開されているベンチマーク表(PDF)を読むことを推奨し、ここでは結果の要約を紹介するに留める。
- Windows 10/Coffee Lake/Kaby Lakeプロセッサ上のSYSMark 2014では、2~14パーセントのパフォーマンス低下が見られた。SYSMark 2014ではビジネスオフィスやメディア作成、財務分析アプリケーションの使用パターンを測定する。
- Skylake上のWindows 7-10のSYSMark 2014では、最大で21パーセント。
- すべてのシステムにおいて、PCMark 10の方が1~5パーセント程度よい結果を得られている。PCMarkは一般家庭のワークロードをシミュレートする。
- 3DMark Sky Diverの結果は0~1パーセントとさらによく、パフォーマンスの影響は無視することができる。3DMark Sky Diverはグラフィックベンチマークである。
- EdgeないしIEを実行するWebアプリケーションでは、5~10パーセントのパフォーマンス低下がある。
ベンチマークやプロセッサ、使用したバリアントによって結果はさまざまだ。各企業が自身のアプリケーションのベンチマークを実施して、パフォーマンスに大きな影響があるか、対策を実施する必要があるかを判断することが望まれる。
AMDでは、脆弱性のバリアント1のみが同社のプロセッサに対して、最小限の影響を与える可能性がある、と述べている。ARMに関しては、Appleが12月にiOSのパッチを実施しているが、複数のベンチマークにおいて、測定可能な影響は見られなかったと述べている。
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