BT

最新技術を追い求めるデベロッパのための情報コミュニティ

寄稿

Topics

地域を選ぶ

InfoQ ホームページ ニュース Coindeskが2018年版State of Blockchainをリリース

Coindeskが2018年版State of Blockchainをリリース

原文(投稿日:2018/02/26)へのリンク

ブロックチェーンへの注目を続けるニュース、イベント、リサーチ企業のCoinDeskは、過去4年間にわたって、ブロックチェーンの状況に関する報告書をまとめている。同社は先頃、その2018年版をリリースした。160ページ以上からなる報告書には、最先端の暗号通貨への投資、エンタープライズブロックチェーンのソリューション、ICO(Initial Coin Offering)による資本調達、政治と規制、社会一般の意見などが紹介されている。InfoQではこの報告書を分析して、読者層に影響を与えそうな重要な項目をリストにまとめた。

Bitcoin
Bitcoinは2017年に、以下のような数多くのマイルストンを経験した。

  • Bitcoinのトランザクション数は第3四半期に減少したが、32パーセントの落ち込みの後に反発して、1日平均319,000トランザクションという高い水準に達した。

出典: https://www.coindesk.com/coindesk-releases-2018-bitcoin-blockchain-industry-report/

  • Bitcoinコードでは、Bitcoinコードの処理終了時における計算速度の計測にハッシュレートを使用している。Bitcoinのハッシュレートは四半期毎に60パーセントの成長率を示し、第4四半期には過去最高を記録した。ハッシュレートの増加は、より多くのマイナ(miner、採掘者)とマイニングプールに分散したということであり、Bitcoinネットワークのセキュリティ強化にもつながる。

出典: https://www.coindesk.com/coindesk-releases-2018-bitcoin-blockchain-industry-report/

  • 11月には、Segwit2xと呼ばれるハードフォークの延期があった。このハードフォークでは2MBのブロックサイズ増加を目標としていたが、サポート不足のため中止されることになった。ビットコインウォレットソフトウェアを提供するBitGoのCEOであるMike Belshe氏は、ハードフォークが中止された理由を次のように説明する。

残念ながら現時点では、クリーンなブロックサイズのアップグレードに必要なコンセンサスが獲得できていないことは明らかです。この状態で事を進めれば、コミュニティが分断され、Bitcoinの成長の妨げとなる可能性があります。それはSegwit2xの目指すところではありません。

Ethereum
Ethereumは、Byzantiumというハードフォークの実施を成功させることができた。このハードフォークの一環として、ゼロ知識証明(Zero-knowledge proofs)、あるいはzk-snark証明を通じた匿名性の向上が提供されている。ICOの増加に伴って計算が困難になったガス料金(gas charge)も、より予測しやすいものになった。InfoQでは以前の記事で、このハードフォークについて取り上げている。

Bitcoinと同じように、Ethereumもネットワークハッシュレートの上昇が続いており、全体として40パーセント以上増加している。

出典: https://www.coindesk.com/coindesk-releases-2018-bitcoin-blockchain-industry-report/

Ethereumネットワークのトランザクション数は、1日あたり100,000以下であった第1四半期から、第4四半期には約600,000まで増加した。この成長にはCryptoKittesプロジェクトが貢献している。このプロジェクトは、Ethereumベースのスマートコントラクトを使って、ディジタル子猫(digital kitties)の購入と繁殖を可能にするものだ。12月にMotherboardは、CryptoKitiesがEthereumブロックチェーンの全ネットワークトラフィックの11パーセントを占め、一部ではディジタル猫の販売価格が118,000米ドルに達したと伝えている

出典: https://www.coindesk.com/coindesk-releases-2018-bitcoin-blockchain-industry-report/

エンタープライズブロックチェーン
エンタープライズブロックチェーンでは、プライベートおよびコンソーシアムベースのブロックチェーン実装に注目が集まっている。このようなタイプの実装は、すべてのデータをパブリックブロックチェーンに置くことを望まない企業を対象とするものだ。その結果、トランザクションの検証にはさまざまなコンセンサスアルゴリズムが使用されている。
エンタープライズブロックチェーン市場は今後も拡大を続けて、世界全体で2016年の25億ドルから2025年には199億ドルに成長し、年平均成長率(CAGR)は26.2パーセントに達するものと期待される。

出典: https://www.coindesk.com/coindesk-releases-2018-bitcoin-blockchain-industry-report/

いくつかのエンタープライズブロックチェーンプロジェクトでは、多くの動きがあった。

  • We.Tradeがエコシステムに加わった。分散型元帳の技術(DLT)を使った欧州内および国際取引の支援を目標として、9つの銀行が設立したジョイントベンチャである。
  • Enterprise Ethereum Allianceにメンバと3つの新しい組織構造が加わった。
  • R3にメンバが加わり、Cordaバージョン2.0がローンチされた。
  • HyperledgerのメンバであるCME Group、Deutsche Borse Group、R3が自身のメンバシップを一般会員に引き下げ、他の15団体がメンバシップをキャンセルした。

出典: https://www.coindesk.com/coindesk-releases-2018-bitcoin-blockchain-industry-report/

資金調達
トークンの販売が、ブロックチェーンプロジェクト/企業による資本調達手段の主流となった。2017年第4四半期には、トークンの販売がベンチャキャピタル(VC)の16倍に達している。この期間中、2つの資金調達手法には300億ドル以上の差があった。

Sirin Labsは、2017年のトークン販売によって資本金を最も多く引き上げた。調達総額は15,790万ドルに達し、市場3番目に大きなICOになる。これに対してVCの最大取引額の上位2つは、BitGoの4,300万ドルとBitpayの3,000万ドルである。

出典: https://www.coindesk.com/coindesk-releases-2018-bitcoin-blockchain-industry-report/

政府と規制
ICOの増加に伴い、次のような政府および規制当局の関与も増えている。

  • 米国商品先物取引委員会は、CMEとCBOEのビットコイン先物取引を承認した。
  • 米国規制当局は、最高経営責任者が同じであるBitfinexとTether仮想通貨取引所を召喚した。Tetherは仮想通貨だが、運用会社はこの仮想通貨が米ドルと連動(tether)しており、米ドルがその価値を裏打ちすると主張している。そのため多くのトレーダが、他の仮想通貨の持つ変動性を軽減する手段としてこのコインを使用している。Ththerの生成数が増加しているのに対して、Tetherの主張を証明する決定的な監査証跡は存在していない。
  • 韓国では、規制レベルと市場の不安定性が高まっている。規制当局は、“KYC(know your customer)”と“AML(anti-money laundering)”義務が果たされていない取引が含まれていることを問題視している。2018年、South Korea Financial Servicesが新たなルールを導入して、これまでの懸念事項に対処することは間違いない。

2017年のブロックチェーンに対する市場心理
2017年はブロックチェーン用語が、Google検索エンジンでの検索数を増加させた年だった。ICOやEthereumといった言葉が第3四半期に劇的に増加し始め、第4四半期には爆発的になった。このタイムラインは、Bitcoin手数料の増加と、現在iTunesのナンバー1アプリとなっている暗号硬貨売買アプリCoinbaseの利用拡大にも対応する。さらに、多くの取引所が需要の増加に苦慮しており、新規口座開設を一時的に停止しなければならなかった。

出典: https://www.coindesk.com/coindesk-releases-2018-bitcoin-blockchain-industry-report/

CoinDeskはさらに、開発者やエグゼプティブ、ブロックチェーン企業で働く人々、投資サービス会社で働く人々など、3,000人を対象とした調査を実施した。

回答者は概ね、分散型取引であるブロックチェーンの運用に楽観的な見方を持っている。その理由のひとつとなっているのが、集中型の取引に対する透明性の欠如とセキュリティ上の懸念だ。回答者が次に興味を持っている分野としては、最も多いのがプライバシを重視した取引で、次いで資産管理ツール、計算処理、アイデンティティ、ストレージ、市場予測の順であった。

引用: https://www.coindesk.com/coindesk-releases-2018-bitcoin-blockchain-industry-report/

その他のブロックチェーンに対する一般的な意識は、次のように要約できる。

  • Bitcoinの現在の状況に対しては肯定的である。
  • 回答者の大部分は、暗号通貨の取得のための負債を持ってはいない。持っていた場合でも、ほとんどが返済している。
  • ほぼすべての回答者が、暗号通貨の価格を毎日確認している。
  • 回答者の大半は、暗号通貨がサイファーパンク(cypherpunk)のルーツを越えていると感じている。
  • 回答者の大部分が、2017年に暗号通貨のフォローを始めている。2010年と回答したのは2パーセント未満だった。

引用: https://www.coindesk.com/coindesk-releases-2018-bitcoin-blockchain-industry-report/

 
 

この記事を評価

採用ステージ
スタイル
 

この記事に星をつける

おすすめ度
スタイル

BT