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先日アムステルダムで開催された第3回DDD Europe 2018カンファレンスには、700名近い参加者があった。カンファレンスはドメイン駆動設計(DDD)を中心とするもので、今年は2日間のワークショップの後に2日間にわたって行われた。
2日間の事前ワークショップでは、8つのワークショップが開催された。
- Alberto Brandolini氏による、イベントストーミングに関する2日間のマスタークラス
- Cyrille Martraire氏がコードとともに成長するドキュメントの実装方法を紹介する、リビングドキュメンテーション(living documentation)の1日ワークショップ
- Allard Buijze氏が開催した、Axon Frameworkを使ってイベント駆動マイクロサービスを開発する2日間のコース
- Dave Snowden氏による、複雑性に基づく(complexity-based)設計思考を紹介する2日間
続く2日間のカンファレンスには、19のプレゼンテーションのために3つのトラックが用意された。トラックのひとつはオープンスペースに設定されて、参加者が自身の疑問を提示したり、ソリューションや問題点、課題について議論することができた。5つのトラックに分かれた17のセッションでは、参加者がラップトップを持ち込んでコーディングのできるライブコーディングやハンズオンに重点が置かれていた。
両日とも、開会時と閉会時に基調講演が行われた。
- Dave Snowden氏は開幕の基調講演で複雑性に基づく思考について講演し、複雑なシステムの開発手法とその戦略について論議した。Snowden氏は、よりよい意思決定のための概念的枠組みであるCynefinの開発者である。
- Eric Evans氏は、DDDを実践することの重要性について講演した。特に重視したのは、困難なドメインにおいて、新たなコンセプトを見つけるために心理的な箱から抜け出すことだ。
- Avraham Poupko氏は講演で、ソフトウェアのモデリングにおいて複数の視点を持つことの重要性を主張した。
- Jenny Quillien、Indranil Bhattacharya、Andre? Kampertの3氏は閉会の基調講演で、ドメインのモデリングにおけるオントロジ(ontology)とエスノグラフィ(ethnography)の有効性について論じた。
基調講演の他に、以下を含む19のプレゼンテーションが行われた。
- Michiel Overeem氏による、 開発者の実践と経験についてのインタビューに基づいた、CQRSとイベントソースシステムの進展に関する議論
- Thomas Perrain氏は、イベントソースシステムで遡及的および将来的なイベントを扱った自身の経験について発表した
- Stefan Hofer、Henning Schwenter両氏は、DDDによる開発において、ドメイン・ストーリテリング(Domain Storytelling)がドメインのコンテキスト境界を見出す方法であることをデモンストレーションした。
- Debasish Ghosh氏はプレゼンテーションで、機能パターンとScalaを使用した新たなドメインモデルへのアプローチを提示した。
- Indu Alagarsamy氏は、信頼性の高いシステムを設計する上で自律性と非同期性がいかに重要であるかについて講演し、イベント駆動アーキテクチャとイベントを介した非同期通信が自律的で信頼性の高いシステムを実現する、と主張した。
カンファレンス期間内には、以下を含む17のハンズオンとライブコーディングが実施された。
- Michiel Overeem、Guit-Jan Ridderbos、Gerrit-Jan Lubbertsen3氏による“Extracting Bounded Contexts from a Meta Model”では、ドメインモデルからソフトウェアを自動生成する方法について検討した。
- Thomas Pierrain、Bruno Boucard両氏の“Distil the Core Domain from Your Legacy App”では、ドメインとテクニカルコードの分離にヘキサゴナルアーキテクチャ(Hexagonal Architecture)パターンを使用した。
- Nicole Rauch氏とArnaud Bailly氏による“Front to back Event Sourcing”では、参加者がテストケースからフロントエンドとバックエンドのコンポーネントを実装した。
- Stefan Hofer、Henning Schwenter両氏による“Master your Domain with Domain Storytelling”
今回の要約の他にも、4つのプレゼンテーションがInfoQの記事で紹介されている。カンファレンスのプレゼンテーションはすべて録画されており、数ヶ月内に公開される予定だ。DDD Europe 2019の計画が開始されたが、詳細なスケジュールはまだ決定していない。
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