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マイクロサービスと分散システムの未来 - QCon Londonパネルディスカッション

原文(投稿日:2018/03/11)へのリンク

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QCon London 2018マイクロサービスパネルでは、参加者が、現在目にしているサービステクノロジが今後どう変わるのか、今後どのようにシステムを構築するのかを議論した。マイクロサービストラックのホストであるSam Newman氏の、マイクロサービスは実装方法のひとつとして消えていくのだろうか、という問いに対して、パネリストたち - Susanne KaiserGuy PodjarnyIdit LevineMark Burgess各氏 - は、マイクロサービスは今後も存在するが、分散システム開発時のサーバレスアーキテクチャにような他技術のベースへと進化するだろう、と返答した。

  • Just Software元CTOのKeiser氏は、マイクロサービスは将来、より分散的なアーキテクチャのベースになると考えている。その一例がサーバレスであり、分散システムを構築する際の優れた基盤となるだろう。
  • Snyk.io設立者のひとりであるPodjarny氏は、マイクロサービスはその運用コンセプトも含めて、ソフトウェア構築方法のひとつとして組み込まれていくだろう、という意見である。
  • solo.io創設者でCEOのLevine氏は、システム構築に将来的な拡張は必須であり、それを可能にする鍵を握るのがマイクロサービスであると指摘した。
  • CFEngineの重要な創業者であるBurgess氏は、マイクロサービスは普通の人には難し過ぎる、と主張する。最終的にはサービスメッシュテクノロジが“メガコンパイラ”のような存在になり、今日の我々が対象としている小さなサービスや機能を処理する必要性を取り除くことになる、それはすでに始まっている、というのが氏の意見だ。

続いて、“Building Microservices”の著者であるNewman氏が、サーバレス(serverless)テクノロジは今後のシステム構築方法を変えるもの、次の進化ステップなのだろうか、と質問した。

  • Levine氏は、機能の目的はサービスを結び付けることだ、という意見を述べた。サーブレスは興味深いエコシステムではあるが、どのように発展するかは分からない、と氏は言う。
  • Keiser氏にとってサーブレスは、多くのコモディティを扱う手段だが、現時点ではベンダのロックオンに簡単に結び付いてしまう。ベンダをもっと抽象化するものが多く登場すれば、進むべき道程としてさらに興味深いものになるだろう。
  • Burgess氏はこの技術を、プラットフォームの進化というよりも、ファンクション・アズ・ア・サービス(FaaS)として捉えている。手作業で結び付けなくてはならないような、極めてプリミティブなインターフェースがいまだ存在する点を指摘した上で氏は、将来的には今よりもっとユーザフレンドリで、コンパイラライクな、より統合されたものになるだろう、という考えを示した。
  • Podjarny氏の考えるFaaSは、バックエンドあるいはソフトウェア・アズ・ア・サービス(SaaS)の方向に進んでいる。その中でサードパーティのサービスも利用することにより、我々自身の書くコード量は少なくなる傾向にある。しかしながら氏は、サーバレスを終着点とは考えていない - 次のステップは、アプリケーション内で機能がどのように接続されているかを示す図を作ることだ。

マイクロサービスということばが生まれてから7年間で、マイクロサービスの特徴は変わったのだろうか、という質問に対して、パネリストたちは、ドメイン駆動設計(DDD)が依然として重要な概念であることを認めた。Kaiser氏は、例えばマイクロサービスとして実装すべき機能を抽出する場合などにおいて、DDDの重要性がマイクロサービスによってさらに高まっている点を指摘した。さらに氏は、DDDによる影響は巨大ではあるものの、ソフトウェアアーキテクチャの原則がすべて有効であることに変わりはない、という点も指摘している。

企業で新たな開発イニシアティブを開始する際のベンダロックインについては、それを避けるべきであるということで、パネリストの意見は一致した。Kaiser氏は、コアビジネスに集中することが可能になるという理由から、クラウドネイティブなアプローチを強く推奨した。それに対してBurgess氏は、業界標準がまだ未熟である点を指摘しながらも、将来的に状況は変わるだろう、という考えを示した。

新たな事業や製品を開始する場合、Kaiser氏は、組織に能力があるならばマイクロサービスで、さもなければモノリスで開始するだろう、という考えを述べた。対してLevine氏は、技術的負債を生み出す可能性を指摘した上で、自身が納得できる方法として、マイクロサービスから始めるべきだという意見を示した。Podjarny氏の経験では、マイクロサービスは導入当初は苦痛を伴うものの、将来に対する布石という意義もある。

カンファレンスの主要なプレゼンテーションは録画されており、今後数ヶ月にわたってInfoQで公開される予定である。次回のQConカンファレンスであるQCon.aiは、AIとマシンラーニングに重点を置くもので、2018年4月9~11日にサンフランシスコで開催される。QCon London 2019は、2019年3月4~8日に予定されている。

 
 

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