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Java EEがJakarta EEに改名されたことを受けて、著名なJava EEエバンジェリストで元Oracleのエバンジェリスト、現在はCapTech ConsultingのシニアアーキテクトのREza Rahman氏は先頃、約2年前にJava EE Guardiansが提出した請願の成功を宣言し、Oracleに対してJava EE 8への移行を求めていたchange.orgでの署名募集をクローズした。
“Java EEプラットフォームをコミュニティの積極的な参加と支持を通じたものに移行することを求める人々による、独立的な草の根グループ”であるJava EE Guardiansは、最終的にOracleがJava EEをオープンソース化し、所有権をEclipse Foundationに移行する上での原動力となった。
Java EE Guardiansは、“Java”という名称とjavax.*
のパッケージ名の変更を避けるためのOracleとの長期に渡る議論の末、最終的にJakarta EEという名称を受け入れる選択をした。
署名募集を取り下げるにあたり、Rahman氏は次のように述べている。
Javaというブランドを失うことは残念ですが、祝福すべきこともたくさんあります。名称の変更は、真にベンダニュートラルなオープンソースガバナンスの下で,完全なオープン標準となったJavaプラットフォームにとって、非常に重要な部分での新たなスタートとなります。改名からはまだ日が浅いのですが、Jakarta EEという名称は非常に象徴的ですし、今のところ比較的好意を持って受け入れられています。
私たちには、今も広く受け入れられている、堅牢なJava EE 8リリースがあります。テクノロジとしてのJava EEは現在、今回の請願書とJava EE Guradianが解決に取り組んできた根本的問題である、単一の商業エンティティの影響下にあるという状況から解放されています。みなさんの声援がなければ、これは実現していなかったでしょう。
Java EE GuardiansはJakarta EEを推進し、Javaコミュニティの最大限の利益を維持することを約束している。
Rahman氏がInfoQに、Java EE GuardiansとJakarta EEの今後について語ってくれた。
InfoQ: Java EEがJakarta EEに名称変更されたことで、Java EE Guardiansという名前に影響はありますか?
Rahman: 少し前に、まさにこの質問を議決して、Jakarta EE/EE4Jとの整合性に関するコンセンサスを得たばかりです。
投票結果は拮抗していましたが、当面は名称を変更しないことになりました。ですが、近いうちにJakarta EE Guardiansに名称を変更するかも知れません。今回のコンセンサスは、最初のJakarta EEがリリースされた時点でこのトピックについて再考する、という意味に受け取っています。
InfoQ: 昨年実施された2回の調査結果では、Javaという名称とjavax.*
というパッケージ名の継続が圧倒的に支持されていましたが、Java EEからJakarta EEに名称変更することに関して、Javaコミュニティに失望の声はありますか?
Rahman: 正確かつ公正に答えるのは難しい質問ですね。名称変更の投票が示すように、改名は積極的な理由からではなく、変更しなければならないという理由で受け入れられた、という可能性はまだ高いと思います。そうではあっても改名は成功すると、私は確信しています。
名称変更はどちらかというと草の根的な調査の結果なのですが、London Java Community(LJC)はJakarta EEを公式に支持しました。LJCの方々からも許可を得ていますので、間もなくこの結果をブログに書く予定です。この人たちはGuardianコミュニティほどJava EEと密接に関わっているとは思われないので、少なくとも当初は賛成側に回るでしょう。
名称変更について実際にはどのように感じているのか、Java EE Guardiansの投票をより広範に行うように提案する予定です。ただし,新しい名前が十分にプロモートされていないようなので、この調査はもしかしたら速過ぎるかも知れません。本来ならばこの調査は、グループ自体の名称変更と、最初のJakarta EEがリリースされた少し後でいいのではないかと思っています。
InfoQ: 今回Java EEがオープンソース化され、OpenJDKもそうですが、Oracleが将来的にJava SEをEclipse Foundationに移行する可能性はあるのでしょうか?
Rahman: そのチャンスは常にあると思っています。私たちの一部の意見では、営利団体からの独立こそが、Javaプラットフォームが本来あるべき場所なのです。とはいえ、現時点でOracleにJavaSEを分離する意図がないことは、分かり切った事実です。適切な人が正しいことをすれば、JavaFXはJava EEと同様に、今よりも独立した存在になる可能性はあると思います。
InfoQ: Java EE Guardiansの当初の設立趣意が変わりましたが、新たな趣意はあるのでしょうか?
Rahman: 実を言うと、すでに設立趣意は2回変更されています。Java EE 8が最終的にリリースされた後に大きな変更が、EE4J/Jakarta EEが発表された時点でマイナーな変更がありました。今後の目標をより明確にするために、あと何回か修正を加えることになると思います。
軽微な変更はありましたが、私たちの中核的なミッションは基本的に同じです。目標の中心は教育と伝道にあります。第2の目標は、草の根的なコミュニティの関心が確実に満足できるように、私たちの目と耳をつねに開いておくことです。後者の目標に向けては、私たちが最後の手段として絶対的に必要な存在ならば、問題に対する意識を高め、解決策を進めていくことが必要になります。
InfoQ: Java EE Guardiansの今後について教えてください。
Rahman: 直近では、コミュニティ内外をより保護するための行動規範を明文化するなどして、設立趣意を部分的に変更したいと思っています。近い将来に関しても、個人的には、組織の責任をもう少し分散させたいと思っています。よりスケーラブルで、生産的で、レジリエントであることが、将来的に必要不可欠なステップだと思うのです。これらすべては当然、私たちの2大ミッションである草の根エバンジェリズムと行動主義と合わせて、Java EEの将来的な推進を支援します。
InfoQ: Java EE GuardiansとJakarta EEについて、他に読者に伝えたいことはありますか?
Rahman: 振り返ってみると、Java EE GuardianとJakarta EEに起こったことは奇跡以外の何ものでもありません。ですが、ここで自己満足に浸るようでは愚かだということも事実です。それでは私たちがこれまで一生懸命やってきたことが、すべて水の泡になってしまいます。今は絶好の機会であると同時に、引き続きリスクもあります。望ましいことが今後も続くようにする唯一の方法は、草の根運動のさらなるサポートを構築することです。
Javaの将来を気にかける人たちに対する私からの願いは、Java EE GuardiansとJakarta EEの両方に参加して,強化してほしい,ということです。私は常々,私たちには,私たち自身が今日想像もできないようなJavaの明るい未来を構築できると信じています。必要なのは関心を持つ人たちの小さな努力の積み重ねであって,それが結果的に大きな変化を生み出すのです。ビジョンを共有するひとりとしてあなたが成し遂げられることを,決して過小評価しないでください。何かひとつを達成するような重要人物になる必要はないのです。
リソース
- Opening Up Java EE – An Update – David Delabassee (2017年12月12日)
- Oracle Chooses Eclipse Foundation as New Home for Java EE – InfoQ (2017年9月17日)
- Eclipse Foundation Prepares to Open Source Java EE as EE4J – InfoQ (2017年10月25日)
- Oracle Joins Eclipse MicroProfile Project – InfoQ (2017年11月27日)
- Vote for Java EE's New Name – InfoQ (2018年2月8日)
- Where is Java EE Going? – Java EE Guardians (2018年2月11日)
- Java EE to Jakarta EE – David Blevins (2018年2月8日)
- And the Name Is... – Mike Milinkovich (2018年2月26日)
- Purdy on Java EE Becoming Jakarta – John K. Waters (2018年3月14日)
筆者について
Michael Redlich氏は,2018年3月からJava EE Guardiansに参加している積極的なメンバである。
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