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Kubernetesコンテナオーケストレーションプラットフォーム 1.10リリースでは、ストレージ、セキュリティ、ネットワークという3つのコア領域にベータ機能が追加されている。Kubernetes関連の他のニュースとして、Cross-cloud CIプロジェクト(CNCFエコシステム内のプロジェクトの統合、テスト、デプロイを行う)が先日、CI Dashboard v1.3.0をリリースしている。また、Kubernetes App Def Working GroupがKubernetesの全ユーザを対象に、Kubernetesにアプリケーションを展開するためのユースケースと要件の共有を目的とした調査を開始した。
Kubernetes 1.0リリースでは、Container Storage Interface(CSI)の実装がベータ版に移行している。これは同時に、新しいボリュームプラグインのインストールが“ポッドのデプロイと同じくらい簡単”になった、という意味でもある。Kubernetesボリュームプラグインはこれまで、すべてが“in-tree”、すなわちソースコードがメインのKubernetesリポジトリに含まれている状態だった。このアプローチの欠点は、サードパーティのストレージベンダがKubernetesリポジトリにコードをコミットする上でKubernetes側のサポートを待つ必要があり、そのためにKubernetesのリリーススケイジュールにロックインされることにあった。Storage Special Interest Group (SIG)が中心となって実施された今回の作業により、サードパーティのストレージプロバイダがKubernetesのコア部分のコードベースから独立して、自身のソリューションを開発することが可能になった。
“Durable (non-shared) local storage management”が今回のリリースでベータ版に移行し、ローカルにアタッチされた(非ネットワークアタッチ)ストレージを永続化ボリュームソースとして利用できるようになった。これにより、分散ファイルシステムとデータベースのパフォーマンス向上とコスト低減が実現される。今回のリリースでは、Persistent Volumesにもいくつかの最新ベータ版が含まれている。例えば、ポッドが使用しているPersistent Volume Claimと、Persistent Volume ClaimにバインドされているPersistent Volumeの削除が、Kubernetesによって自動的に防止されるようになった。これにより、ストレージAPIオブジェクトが正しい順序で削除されることが保証される。
1.10では、アルファ版としてリリースされた“External kubectl credential provider”により、新たな拡張ポイントが追加されている。これにより、クラウドプロバイダや他のプラットフォーム開発者が独自のIAMサービスによる認証を処理するバイナリプラグインをリリースしたり、あるいは標準ではサポートされていない、例えばActive Directoryを使った社内認証システムを統合することが可能になった。この機能は、1.9で追加された“Cloud Controller Manager”機能を補完するものだ。
インストール時に、デフォルトのkube-dnsからCNCFがホストするCoreDNSプロジェクトにDNSサービスを変更する機能が、ベータ版としてサポートされている。CoreDNSはデフォルトのソリューションに比較して“可動部分”が少ないことから、オペレーションが簡単である。kube-dnsでCorefileを編集するよりも、さらに多くのユースケースをCoreDNSの設定でサポート可能だ。設定オプションに関する詳細は、CoreDNSサイトで確認できる。
CNCF CI Working Groupは現在、CNCFエコシステム内のプロジェクトを統合、テスト、デプロイするCross-cloud CIプロジェクトに取り組んでいる。Cross-cloud CIプロジェクトは、クロスクラウドテストシステム、ステータスリポジトリサーバ、ダッシュボードで構成される。クロスクラウドテストシステムには主要な3つのコンポーネント -- ビルドパイプラインプロセス(オプションで、プロジェクトのビルドアーティファクトを使用可能)、cross-cloud、cross-project -- で構成される。これらがCNCFの各プロジェクトのstableおよびheadへのコミット毎に、サポート対象の全クラウドプロバイダに対する相互運用性を継続的に評価する。例えば、これによってPrometheusチームは、最新のコード変更が最新のKubernetesリリース、および今後予定されているリリースで動作することを保証できる。同グループは先日、CI Dashboard v1.3.0をApache License 2.0の下でリリースし、その結果を毎日公開している。
Kubernetes関連の他のニュースとしては、Kubernetes Application Definitions Working GroupとApps Special Interest Groupが共同で、Kubernetesへのアプリケーションのデプロイ状況を確認する調査を行なっている。収集された情報は、Kubernetes上のアプリケーションを構築および運用する上での要件に関して、Kubernetesプロジェクトのメンバが理解を深めるために利用される。アンケートで収集される情報は匿名であり、終了後には結果が公開される予定である。アンケート記入時間はおよそ10分間なので、すべてのKubernetesユーザに参加をお勧めする。
Kubernetes 1.10はGitHubからダウンロード可能である。このプラットフォームについてより詳しく知りたい開発者に対しては、一連の対話型チュートリアルも用意されている。cross-cloud CIイニシアティブに関する詳細は、同プロジェクトのGitHubリポジトリで見ることができる。またKubernetes Application Surveyには、Google Form経由で参加が可能だ。
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