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AtlassianのR&Dプログラム管理責任者であるDom Price氏は先頃、チームとリーダの健全な信頼関係の重要性に関する記事を発表した。その中で氏は、信頼のレベルを正確に測ることの難しさを指摘した上で、リーダが目を向けるべき10の信頼指標を提案した。米国精神分析学会の元会長でビジネス心理コンサルタントのPrudy Gourguechon氏も先日、リーダの信頼力と他者の信頼を喚起する能力の評価に関する記事を書いた。Price氏もGourguechon氏も、リーダシップによってリーダとチームが協力して不確実性に対処し、個人の所有権を尊重し、協調性を経験するという、行動的なヒューリスティックでは共通している。
Price氏は、信頼がチームの“決断を迅速に(そして再検討の必要を少なく)する”、と言う。チームと個人が“失敗を隠そうとするのではなく、前向きに認め、そこから学ぶ”姿勢を持つべきだ、と氏は指摘する。
個人とリーダの信頼レベルを測るために、Price氏は10の指標を提案する。
- メンバがあなたに“ノー”と言うか?
- 信頼性の高い言葉を使っているか?
- 失敗やそこからの学びが社内全体に公表されているか?
- 社員は企業の価値観に沿った生き方をしているか?
- 情報はオープンで見つけやすいか?
- ビジネス上の重点とその成果を全員が知っているか?
- 社内の情報はソーシャルチャネルで共有されているか?
- フィードバックの要求や要請はいつでも簡単にできるか?
- 戦略や主要なイニシアティブはクラウドソースされているか?
- あなたに連絡を取るのは簡単か?
信頼性のレベルを測ることは、信頼関係の低い状況では難しいかも知れない、と氏は言う。(そのような状況下で)“本当に信頼できる回答を求めても、はっきりとした否定(point-blank-not)を得ることはできないでしょう。” Gourguechon氏も同じように、360度評価から誤った信頼を得ないように警告するとともに、“その人が信頼できるかどうかは、人を信頼できる場合にのみ可能な二次的行動を見ることでのみ知ることができる”、と示唆している。
Gourguechon氏は、指導およびサポートする対象からリーダへの信頼度を、3つのモードで判断する手段として、27の肯定的行動と否定的行動を挙げている。
- リーダの“人を信頼する”能力は、敬意を示す行動、すなわち責任の委譲や、被害者や非難のない文化の中で失敗から学ぶためのオープン性を通じて評価できる。
- 不合理で“過剰な信頼”を与えることの脆弱性は、証拠を無視し、信頼に基づく判断に必要とされる広範なフィードバックを拒否するリーダの行動を通じて顕在化する。
- チームの“信頼を集める”リーダの能力を示す行動は、リーダ自身がチームを信頼する能力を示す行動と、極めて密接に関係する。信頼を集める指標には、支援を求め、自身よりもチームを優先し、過ちを認め、公正を護持し、組織の目標に責任を持つ上での、チームの心理的安全性も含まれる。これについてGourguechon氏は、“フォロワは忠実だが盲目的ではない”、と述べている。
今年3月のQCon London 2018で行われたパネルディスカッション“Leading Great Engineering Cultures”の中で、GoogleのエンジニアリングマネージャであるAndy Walker氏は、忠実であるが疑い深いチームと自身との経験について語った。“彼らは自分たちが間違いを指摘できると考えている、ただ盲目的に頷いているだけではない”と考えた氏は、それを前向きな指標だと理解していた。これは“人々が積極的に意見を持ち、それをバックアップすると同時に、そうすることに不安を感じていない”証拠なのだ、とWalker氏は言う。
Price氏は自身の10の指標を、チームが誤った前提に挑戦し、透明性の高いフィードバックを要求および提供し、“ビジョンの想像”においてリーダシップと協力関係を持つ上で、安心と一体性を感じていることを示すものだ、と説明している。 これらの行動から学ぶことと、製品と顧客に最も近い位置にいることの組織的価値について、氏は次のように書いている。
“新たなタイプの経営幹部は、最前線で顧客に直接接することや、製品を実際に作ることが、機会を見極める上で最高に有利な立場なのだと理解しています。彼らエグゼプティブは、重要なイニシアティブや戦略的重点分野に関するアイデアを募るということを、習慣として身につけているのです。”
Price氏もGourguechon氏も、リーダとチームの健全な信頼関係は、組織的かつ大局的な成果の達成を重視することで実現する、という考え方に言及している。Scrum Allianceの幹部で“The Great ScrumMaster”の著者である Zuzi Sochova氏は先頃、“What is Agile Leadership”という題で、アジャイルにおけるリーダシップを問うブログ記事を書いた。その中で氏は、現代的なアジャイルリーダシップとは、急速な組織的変革の理解と指導であり、“絶えず変化する複雑な現代社会”に対処するためのアジリティの提供である、と説明している。
“(アジャイルのリーダシップとは)システムの観点で組織を捉え、システムダイナミクスを理解し、そこで起きていることを認識、容認、理解し、システムの重要な部分を担い、最終的にコーチングによって行動と影響を与え、変革を起こす能力です。”
“新たなマネジメントパラダイムは、コラボレーションと信頼、権限の分散、継続的な適応と柔軟性、協力とチームワークに基づく”ものだ、と氏は書いている。これを持たない企業は“巨大かつ硬直的で、ゆくゆくは滅亡する運命にある現代の恐竜”と化す危険性がある、と氏は言う。
Price氏は、信頼の構築と変革の先導とは共通責任であり、支持と努力が必要だということを、改めて読者に思い起こさせる。氏は言う。
信頼の文化を構築するには時間を要しますが、始めるのはあなたです。ツールを提供したり、情報の発信源となるような影響を与える立場になくても、リーダとしてできることはたくさんあります。リーダシップとは個人のものであって、立場ではない、ということを忘れないでください。CEOも、先週入社したばかりのインターンも、誰でもリーダになれるのです。
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