先日のredditの記事で、Ethereum開発者のDanny Ryan氏は、ethereumのステータスコンセンサスアルゴリズムCasper Friendly Finality Gadget (FFG)の最初のリリースを発表した。このソフトウェアリリースには、プルーフ・オブ・ステーク(PoS)コンセンサスメカニズムへの移行を支援するバリデータの導入が含まれている。今回のリリースから、研究者や著作者、およびソフトウェアテストを開始するPartyやGethなどのクライアント開発者向けに、コードが公開されるようになった。
現在のethereumのメインネットでは、トランザクションの検証と、サービス拒否(DoS)やスパムに対する抑止力として使用されているコンセンサスアルゴリズムを、プルーフオブワーク(PoW)と呼んでいる。最近になって、そのPoWアルゴリズムの使用に、基盤となる暗号化ネットワークのサポートに必要なエネルギ消費量の面から、厳しい批判の目が注がれるようになった。その結果として、ethereumのエネルギ消費状況を追跡する目的で、Ethereum Energy Consumption Indexが開発されるに至っている。現在のネットワークは、米国で1,881,612件の家庭に電力を供給可能なエネルギを消費している。
将来的にethereumは、Casperと呼ばれる(PoS)コンセンサスアルゴリズムへの移行することを約束している。PoSアプローチでは、関連する暗号通貨に人ないし企業が保持する資金に基づいて、トランザクションを検証する確率を決定する。また、バリデータは、PoWでブロックをマイニングする報酬に代えて、ネットワーク料金を報酬として受け取るようになる。
PoWモデルからPoSモデルへの移行は、いくつかの不確実性を生じさせる。0.1.0とされたCasper FFGの最初のリリースの一環として、新たな参加者がバリデータとしてethereumネットワークに加わるのだ。新たなバリデータは、PoWからPoSの移行期間中もPoWを引き続き活用する従来のマイナ(miner)とともに活動する。
このハイブリッドアプローチを使用する基盤となるメカニズムのひとつとして、既存のマイナをバリデータにリンクさせるスマートコントラクトの活用がある。移行の初期段階においては、マイナが活動の大部分を引き続き担うことが期待されると同時に、バリデータが定期的にチェックポイントを実行することになる。ただし、ethereumネットワークが対応可能なバリデータの数は、初期段階では限られたものになると思われる。先日のEDCON Torontoでの講演で、Vitalik Buterin氏が、バリデータになるためのプロセスについて説明した。 バリデータになるには、いくつかの制約がある。
最低1,500ETHのデポジットを含むトランザクションを送信するか、あるいはステークプールに参加してください。2王朝(dynasty)あるいは45分程度すれば、バリデータに入ることができます。
バリデータになったならば、ノードのオンラインを維持して、各エポック(50ブロックないし約20分)毎に接続して、コンセンサスを確立するための投票メッセージにサインし、ネットワークに送信する必要がある。
このスマートコントラクトは2年程度の継続が見込まれており、その間にPoSの実装が完了することが期待されている。この期間中、ネットワークはハイブリッド形式で運用され、バリデータには肯定的な行動を促すための報酬と罰則が適用される。Danny Ryan氏による最初のEthereum Improve Proposal(EIP)時点で、オンライン状態で定常的に投票するバリデータは、出資金の0~5パーセントの収益を期待できるが、オフラインになった場合は、所持金の5~10パーセント、場合によってはそれ以上の出資金を失う可能性がある。バリデータが競合する投票を投じた場合は、システムを悪用するものとして、ログアウトされた上で所持金の1~100パーセントを失うことになる。Buterin氏の講演では、これらの値は変更される予定であると説明されていた。
イメージ引用: https://www.youtube.com/watch?v=NJ9StJThxZY
Casper FFGリリースが採用されるためには、ethereumクライアントがこの実装をサポートする必要がある。Parity Casperがテストネットを運用中であることが先日のTwitterで発表された他、Gethもテストネットのローンチを準備中である。
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