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開発者のためのチャットボット入門

原文(投稿日:2018/06/28)へのリンク

チャットボットは開発者の日々の作業において、テクノロジの動作に関する理解から、よりよいコードの記述に至るまで、ますます重要になってきている。開発者は一般的に、ボットやそれを支える技術に対して自然な好奇心を持っている。会話インターフェースとしてチャットボットを使用して、感情的知性にアプローチする人工知能ツールがある。

IBM WatsonのプロダクトマネージャであるAnamita Guha氏は、Spark the Change France 2018で、会話インターフェースの設計について講演を行った。InfoQはこのイベントについて、記事やサマリ、Q&Aでお伝えしている。

チャットボットが開発者の日々の作業をどのようにサポートするのか、開発者はチャットボットをどう思っているのか、感情を扱うチャットボットの開発には何が必要なのか、会話インターフェースは将来に何をもたらすのか、などを氏に聞いた。

InfoQ: チャットボットは、開発者のプラットフォームやツールのどの部分に収まって、開発者の日常作業をどのようにサポートするのでしょうか?

Anamita Guha: チャットボットは開発者をサポートするために、さまざまな方法で使用できます - ドキュメント作成(インデックスのように使う)や、パーソナルアシスタント(毎日のルーチン作業を排除するためにチャットボットをスケジュールする)、究極的にはシステム自動化による作業の削減です。開発者は効率性を重視するので、自分自身や周りのすべての人たちを楽にするために、一緒にコードをハックするでしょう。重役向けのパワーポイントの背景を自動生成するために、ボットを立ち上げた開発者もいます。このようなケースでは、より大きな問題に取り組むための時間的余裕をボットが提供してくれているのです。

AI(人工知能)やボットは、コードのデプロイやテストといった、あらゆる種類のタスクや警告に数多く利用されています。さらに、大規模な分散型チームで開発を行なう場合、アイテムが他のメンバによってプッシュ、マージ、あるいは編集されたかを知ることができるので、開発やコラボレーション、精度、最終的にはコード品質の向上が実現できるのです。

InfoQ: 開発者はチャットボットをどう思っているのでしょう?

Guha: チャットボットは新しい技術であると思われていて、たくさんの企業が喧伝しています。“チャットボットが必要です、今こそ必要です”、というように。2015年以降、ボットの開発状況は4倍に広がっています。これはつまり、チャットボット開発を可能な限り早く学ぶことが重要であると、開発者がかつてないほど意識している、ということです。

チャットボットに関しては、誰が開発して、どのボットが使われるかによって、開発者はさまざまな感情に陥ります。一般論として、ほとんどの開発者は、開発に関しては時代を先取りし続けて、発展を続ける業界との関係性を保ちたいと考えています。これは自ずと、ボットやその背景にある技術への好奇心につながります。ボットを使うという意味では、開発者がボットを使うのは、それが役に立つ場合のみです。Webベースであっても、AlexaやGoogle Homeのような音声ボットであっても、これは同じです。

スタートアップやSMB(Small / Medium Business)から大企業に至るまで、開発者の直面する課題は同じです - 役員チームに対して、なぜボットが不可欠なのか、あるいは必要とされているのか、ビジネス上の正当性を見出すことが難しいのです。それと同時に、リーダシップチームは、ボットのような新技術を活用することで、組織として進化する必要性とのバランスを図ろうとしています。

これらの理由やその他の理由から、私たちは今、変曲点にあります。アップルストアが開設された10年以上前から、誰もがアプリを開発したいと考えていましたが、今は誰もがボットを作りたいと考えています。今日のボットは、子供たちがコーディングに触れる入り口であり、開発の第一歩であり、最終的にはテクノロジに関わる手段となっているのです。ボットはますます普及し、多様になっています。

InfoQ: チャットボットを設計するには何が必要ですか?

Guha: 私は通常の製品を設計するのと同じように、次のような質問をすることで、チャットボットにアプローチしています - 解決すべき問題は何か、対象とするユーザは誰か、なぜそれが必要なのか?これらの質問に適切な答を出すためには、まずユースケースの所在と、対象とするユーザグループを理解することが不可欠です。これが会話のデザインに影響するからです。ティーンエイジャが利用する会話チャットボットをFacebook上で開発する場合には絵文字を使ってもよい、銀行取引のAlexaスキルは直接的で簡潔な言葉遣いが必要である、といった具合です。

人間のコミュニケーションと同じように、ボットも進化するという点も重要です。ユーザとボットとのやり取りから学び、それを繰り返してください!

InfoQ: フィーリングに対応する方法を知っているチャットボットは、どうすれば開発できるのでしょうか?

Guha: 感情的な知性に対処するには、さまざまなAIツールが役立ちます。例えばIBMのempathy suiteは、ユーザのタイプ入力方法に基づいたユーザの感情の把握を支援します。言葉にはそれぞれ特定の調子や雰囲気があるので、それに従って応答することができるのです。

ボットが 搭載されているメディアによっても違います。テキストベースのボットであれば言葉の選択や文の構造、音声ボットであればトーンや声や口調といったものを考慮してください。さらに仮想アシスタントやAR/VRのエンティティボットでは、視点の追跡機能に接続されていたり、ボディランゲージを把握することも可能なので、感情的な知性を持ったボットの開発を支援する適切なツールを見つけるために、テクノロジのリサーチを行う必要があります。

InfoQ: プラットフォームやツールの会話インターフェースは、私たちにどのような将来をもたらすのでしょうか?

Guha: 将来的には、すべてが会話インターフェースになると思います。携帯電話から時計、車にいたるまで、タスクを実行するためのメモリを備えているものであれば、あらゆるアクティビティの実行を口頭で指示できるようになるでしょう。私たちはすでに、視線の追跡や指紋などのバイオメトリクスによってトランザクションが実行される世界にいます。こういった未来的な概念が集結することによって、これを実現する開発者やテクノロジストの偉大なディジタル的足跡が社会に受け入れられ、最終的には人々の暮らしをパーソナライズ可能にしていくのです。

InfoQ: IBMがイノベーションとテクノロジによる価値創造の支援を目的とした、Call for Codeという活動を開始しました。これについて詳しく説明して頂けますか?

Guha: 昨今のAIと知的技術の波では、社会的利益を創出する上での技術の役割がより強調されているように思われます。ハイテク産業には自己奉仕的で利益主義的であるという批判もありますが、たとえその方法が分からないとしても、社会に還元したいという意識は皆が持っていると思います。

これに対処するIBMの方法のひとつが{0]Call for Codeです。過去10年間、自然災害の重大性と頻度は増大し続けています。自然災害の発生を止めることは私たちにはできませんが、テクノロジを使ってその影響を軽減することは可能です。私たちは世界中の開発者に対して、彼らのスキルと私たちの技術を使って、自然災害が引き起こす問題の解決を支援するように呼びかけています。

 
 

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