Natalie Warnert氏はAgile 2018 で、The customer is not always right, and neither are you!(顧客が常に正しいとは限らない、あなたもね!)というタイトルで講演し、いかにして正しいものを作るようにするかを聴衆に思い出させた。彼女は、チームがはまる3つの落とし穴、不適切な顧客(Incorrect Customer Trap)、早計な解決策(Premature Solution Trap)、データ溺れ(Drowning in Data Trap)と、その回避策を紹介した。
こうした落とし穴にははまりやすいが、目的あるいは顧客が実際に求めているものにフィットしない製品を作れてしまう。
不適切な顧客からフィードバックを得たり、求めているとき、チームは第一の落とし穴、不適切な顧客(Incorrect Customer Trap)にはまっている。これには、実際の顧客ではなく内部のステークホルダーであったり、プロキシ顧客であることも含まれる。この落とし穴を避けるには、次のことを自らに問いかけ続ける必要がある。
- 誰が顧客なのか?
- 加えようとしている変更は、顧客にどのように影響を与えるか?
プロキシ顧客および内部ステークホルダーは多くの場合、顧客が欲しいものや必要としているものを仮定したり、顧客の苦痛ではなく組織視点での問題に焦点を当て、その解決策を構築しようとすることに重点を置いている。だが真の顧客参加なしでは、本当に必要なものを見誤るリスクがある。
チームが解決策を頭に描いて、全力で進んでしまうとき、チームは第2の落とし穴、早計な解決策(Premature Solution trap)にはまっている。チームは仮定を検証することなく、頭に描いた解決策が顧客課題を解決することを検証する。ここでの問題は、顧客が気にしているのは解決策のアイデアではなく、課題を解決することだということだ。そのため、チームが課題解決に注力しないと、的を外して、組織に負担を増やし、途中で顧客を失う恐れがある。顧客課題について何を学ぶべきかを問わずに解決策に注力してしまう組織は、価値を提供するのに時間がかかるだろう。
データを究極の真実として扱い、自らを犠牲にしてでも最終的にデータを使っているとき、チームは第3の落とし穴、データ溺れ(Drowning in Data Trap)にはまっている。これは、選択的記憶と確証バイアスを持ち、思い込みでデータを見ているときに発生する。データを限られた視点から見て、貧弱な仮説を立て、お粗末な判断を下してしまうのだ。私たちはデータを、考えていることを検証するものではなく、学ぶべき興味深いものとして見なくてはならない。
あなたのチームはこうした落とし穴にはまっていないだろうか?
そこから抜け出して、偉大なプロダクトへと向かうための対策をいくつか紹介する。
最初に、いくつかの重要な質問について自問しよう。
- 解決するに値する課題があるか?、チームは顧客視点で課題を明確に述べられるか?
- 顧客が必要なもの、求めているものを作っているか?
- 作ってフィードバックを評価しながら、顧客について学んでいるか? ただ機能を量産してはいないか?
次に、取り組んでいる仮説についてチェックしよう。
- こうした落とし穴の多くは、チームが「貧弱な仮説」に基づいて仕事をしているためだ。
- どんな仮説に基づいて仕事をしているのか、チームはわかっているか? それは顧客課題に注目しているか、組織視点になっていないか?
- 例:
- 貧弱な仮説: 顧客は注文履歴をソートする機能を必要としている。
- より望ましい仮説: 顧客が注文履歴をソートできれば、カスタマサービスセンターに以前の注文の問い合わせが多数やってくるという課題が解決される、と私たちは考えている。オンラインで注文履歴をソートするという選択肢を顧客に与えると、注文履歴に関する問い合わせはどうなるだろうか?
- 仮説は、何かを証明しようとするのではなく、顧客について何かを学ぶことにフォーカスすべきだ。
彼女は聴衆にこう問いかけた。ステークホルダーが欲しいと言っているもの、あらかじめ決められた解決策、データ、といったものよりも、顧客課題について学ぶことにフォーカスしていますか?
Natalie氏は私たちに、よく考えるべきことを教えてくれた。
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