先日のブログ記事で、オープンソースプロジェクトのHyperledgerが、Hyperledger Burrow v.0.21.0の次バージョンを発表した。今回のリリースでは、統合性、キー署名、Kubernetes用のhelmチャート、開発者エクスペリエンスが改善されている。
Hyperledger Burrowは、認可された仮想マシン上でEthereum EVMスマートコントラクトを実行可能な、認可型(permissioned)Etherenumスマートコントラクト・ブロックチェーンノードである。Burrowはコア機能として、トランザクションの最終性と高いトランザクションスループットを備えている。その一端を担っているのが、プルーフオブステーク(proof-of-stake)コンセンサスエンジンであるTendermintだ。
Hyperledger Burrowプロジェクトの重要な投資分野のひとつとして、ビジネス用ブロックチェーンアプリケーション開発を容易にするための、開発者エクスペリエンスの改善がある。この目標は今回、次のように達成された。
私たちは、認可型のコンテキストにおけるEthereum仮想マシンの活用を目指す開発者が、あらゆるビジネス向けブロックチェーンのユースケースの構築における重要な側面、すなわちスマートコントラクト層にエンコードされたビジネスロジック構築に容易に着手できることを目標に、さまざまな仮想化を統合しました。
今回のリリースでは、次の点が改善されている。
• ボード全体のprotobufタイプとGRPCインターフェースをリライトしたことで、統合ポイントと(従来の複数のRPCを代替する)RPC層の堅牢性が向上した。
• スマートコントラクトイベントからのダウンストリームサービスの駆動、およびスマートコントラクトオブジェクトからのクエリ可能なデータセットの投入のために、強力なETL/実行イベントサービスを追加した。
• 他サービスのキー保持デリゲートとしても動作可能な、統合性と調和性を備えたキー署名デーモン。
• Kubernetes用のburrow helmチャートを大幅に改善し、一般的なコンテナオーケストレーションシステム内での柔軟性を向上し、複雑なネットワークの起動を容易にした。
• Bos(Monaxのデプロイメントツール)がBurrow Deployの一部として統合された。ここで重要なのは、Ethereumコミュニティの仕様に準拠して我々がスクラッチから設計した、Apache2ライセンスのABIがこれに含まれていることだ。これにより、さまざまなHyperledgerプロジェクトで、Ethereumスマートコントラクトに対応したシステムを開発できるようになる。
• Monaxの burrow.jsライブラリが、Burrowの新しいGRPCインターフェースを使用するようにリファクタリングされ、開発者エクスペリエンス全体が(もちろんドキュメントも)大幅に改善された。
もうひとつの重要な投資分野は、govTxとして知られるガバナンストランザクションフレームワークをリファクタリングしたことだ。このフレームワークは、バリデータセットやネイティブトークンやパーミッションを、いずれもネットワークの動作中に変更可能にする。このフレームワークの改善は、プライベートおよびパブリック両方のブロックチェーンアーキテクチャの両方において、コンセンサスメカニズムが進化を続ける上で重要だ。DPOS(Delegated Proof of Stake)や委員会投票(committee voting)などのガバナンスポリシが今後も進展を続ける中では、将来的なコンセンサスの進展に対応する柔軟性が重要である。govTxフレームワークを使用するメリットは次のようなものだ。
govTxを使用することで、POCからパイロット、アルファ版、ベータ版、運用版まで、チェーンを変更することなく(望まない限り)、ネットワークを進化させていくことが可能になります。
Hyperledger Burrowでは今後も、プロジェクトが次に注目するものをプレビューとして提供していく予定である。現在進行中の投資としては、ハードニングや品質保証テスト、コードベースのセキュリティなど、チェーンの安定性と運用性に関する機能などがある。Hyperledger Burrowの認可型EVMランタイムが、他のパブリックおよびエンタープライズブロックチェーンネットワークをどのように補完するか、という点も重点分野だ。
最新バージョンは同プロジェクトのGitHubリポジトリからダウンロードできる。
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