SpringOne Platformカンファレンスが今週、ワシントンDCで開幕した。新たなリリースや発表が目白押しだ。火曜の朝の基調講演では、Pivotalのプリンシパルエンジニアで、Spring Framework開発者のひとりでもあるJuergen Hoeller氏が、Java 8やJavaの新たなリリースケイデンス(cadence)とともに、昨日リリースされたJava 11のSpring Framework 5.1でのサポートについて語った。
昨年の調査を引き合いに出しながら、氏は次のように説明した。
Java 8は、Javaの歴史の中で最も確立されたプラットフォームバージョンとして突出した存在で、Java 6よりもさらに強力なインストールベースを持っています。しかしながら、新たなJavaリリースケイデンスが登場したことにより、状況はやや混乱の様相を見せています。
新たなリリースケイデンスの観点から、Hoeller氏は、SpringがさまざまなバージョンのJavaをどのようにサポートするか、という話題について話した。Spring Framework 4.3は、Java 8までのバージョンのJavaをサポートする。Spring Framework 5.0でJava 9を初めてサポートし、Spring Framework 5.1ではJava 8以降を要件として、公式にJava 11をサポートする。基調講演の中で氏は、それ以前のSpring Frameworkでは、Java 11以降を公式にサポートしないという点を明確にした。
Java 11のサポート以外にもSpring 5.1には、先日リリースされたReactor CaliforniumとHibernate ORM 5.3のサポートなど、いくつかの重要な改良点がある。
さらに、リフレクションの内部使用が起動時間の改善とヒープメモリ使用量の削減のために最適化され、コアコンテナではJavaとKotlnでのFunctional Bean定義の改良が導入されている。
JavaとKotlin、両方のFunctional Bean APIの調整には、多くの時間を費やしています。新たな検索APIの他にも、リフレクション使用の最適化や内部メタデータの積極的なキャッシングなど、起動時間の改善とGCプレッシャを低減するために多くの最適化が施されています。
さらにPivotalは、Hoeller氏が“Oracleによる非常に興味深い研究成果”と評する、新しい多言語JITコンパイラおよびランタイムであるGraalとの互換性にも多くの時間を費やしている。
プリコンパイルによって、従来のJVMよりもはるかに速くスタートアップするバイナリの提供が可能になります ... 5.1でもすでに、これを意識した多くの制約を設けることで準備していますが、Spring Framework 5.2の一部として完全なGraal対応を提供する予定です。
Webアプリケーションスタックにも注意が払われており、エンドポイントからコアコンテナに至るまで、よりヒューマンフレンドリなデバッグログエクスペリエンスが提供されている。ファンクショナルなWebエンドポイント用にDSLスタイルのビルダが用意されると同時に、WebFlux HTTP/2サポートがNettyランタイム用に拡張されている。
新しいリリースケイデンスの結果について、Hoeller氏は次のように述べている。
当面はJava 8をベースラインとして使用し続けていく予定です。エコシステム全体、あるいはほぼ全体が、Java 8をベースラインとしているからです。業界内のステークホルダの多くが、Java 8を2023年以降までサポートすると約束しているので、保守的な組織の観点から、継続すべきベースラインは今後もJava 8になります。
昨日公開されたJava 11は、次のJava長期サポートリリースであって、Hoeller氏はこれをJava 8に代わるものとして位置付けている。Java 8に関しては、OracleやAzul、Red Hat、IBM、SAPなど複数のベンダも、2023年以降までの長期サポートを約束している。
その次の長期サポートリリースは、2021年9月のJava 17になる予定である。“率直に言って、LTS以外のJavaリリースのユーザは限定されたものになると思います。具体的には17まで、バージョン8ないし11に留まってくれるように期待しています。” とHoeller氏は述べている。
InfoQでは今年もSpringOneの全セッションを撮影している。ビデオはすべて,今後数ヶ月間にわたって本サイトで公開される予定だ。セッションの公開時に通知を受け取るには、SpringOne Platform 2018のトピックをフォローしてほしい。
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