Facebook、PyTorch 1.0のプレビュー版をリリース

サンフランシスコで開催されたPyTorchデベロッパーカンファレンスで、FacebookはPyTorch 1.0の開発者向けプレビュー版をリリースした。PyTorchはオープンソースのDeep Learningフレームワークで、研究プロジェクトをスムーズにプロダクションへ持っていくのに使われる。PyTorch人気の高まりから、今回のリリースでは、PyTorchエコシステムをよりサポートするために、パブリッククラウドおよびハードウェア企業が多くの投資をしている。

Facebookとサードパーティは最近、PyTorchエコシステムに多くの投資をしている。Facebookでプロダクトマネージャーを務めるJoseph Spisak氏は以下のアップデートを発表した。

PyTorch 1.0は、AIにおける画期的な研究をプロダクションへ持っていくのに必要なワークフローを加速します。Amazon、Google、Microsoftのクラウドサービスにおけるさらなるサポート、ならびにARM、Intel、IBM、NVIDIA、Qualcommといったテクノロジープロバイダーとの緊密な統合により、互換性のあるソフトウェア、ハードウェア、開発ツールといったPyTorchのエコシステムを、開発者は活用しやすくなります。PyTorch 1.0と互換性のあるソフトウェアおよびハードウェアが増えれば増えるほど、AI開発者は簡単に、最先端のDeep Learningモデルをすばやくビルド、トレーニング、デプロイできるようになります。

Amazonは、大規模に機械学習モデルをトレーニング、デプロイするフルマネージドプラットフォーム、AWS SageMakerに投資している。このサービスは、自動モデルツールを含むPyTorch 1.0の事前設定済み環境を提供するようになった。

Googleによる投資は、Google Cloud PlatformにおけるNVIDIAドライバを含むVMイメージと、プリインストールされたチュートリアルだ。さらに、GoogleはカスタムASICハードウェアでPyTorchをサポートできるように、FacebookのPyTorchチームと協業している。

MicrosoftはONNXという別のAIイニシアチブで、Facebookと初期のパートナーだった。これは開発者が各種ツール間でDeep Learningモデルを表現、転送できるようにするものだ。ONNXにおける作業に加えて、MicrosoftはPyTorchをプリインストールした事前設定済みDSVM（Data Science Virtual Machines）を提供する。また、ソフトウェアのインストールなしに、PyTorchを学ぶための入り口を開発者に提供する。これはPyTorchチュートリアルを含む、クラウドにホストされたフリーのJupyter Notebookにより実現されている。Microsoftは、Azure MLとPyTorch APIを統合してPyTorchコード開発およびトレーニングを効率よくするVisual Studio CodeのAI拡張も追加している。

クラウドプロバイダーのサポート以上に、ハードウェア企業も投資を行なっている。これらはARM、IBM、Intel、NVIDIA、Qualcommによるもので、直接的な最適化、カーネルライブラリ統合、コンパイラと推論ランタイムのサポートを通じて、PyTorch 1.0のサポートを加えている。Spisak氏は、これらの投資の価値を次のように強調した。

この特別なサポートにより、PyTorch開発者は、データセンターとエッジデバイスの両方で、トレーニングと推論に最適化された様々なハードウェア上でモデルを実行できるようになります。

PyTorchに関するオンライン学習プログラムや大学のプログラムに参加している学生の数も増えている。FacebookはUdacityと協力して、フリーのオンラインコースを公開している。Spisak氏は関心を集めている理由を次のように考えている。

フレームワークの親しみやすさとPythonへの深い統合のおかげで、学生たちはDeep Learningの各種概念を理解しやすく、実験しやすくなっています。PyTorch 1.0の進化により、より多くのパートナーがそうしたカリキュラムにフォーカスすることにワクワクしています。

開発者は開発者向けプレビューをダウンロードするか、記事で紹介したクラウドプロバイダーのいずれかを通して、PyTorch 1.0を使いはじめることができる。