Baidu Inc.は、中国初のオープンソースのエッジコンピューティングプラットフォームOpenEdgeを発表した。これを使うことで、開発者は軽量でスケーラブルなエッジアプリケーションを構築できる。OpenEdgeプラットフォームは、スマート家電やウェアラブルといった「エッジデバイス」に処理能力をもたらすものだ。
これまでBaiduは、自律走行プラットフォームApollo、人工知能フレームワークPaddlePaddleといったオープンソースプロジェクトを主導してきた。さらに彼らは、他社が開発したオープンソースソフトウェアに基づくクラウドサービスを提供している。そして今、Baiduはエッジコンピューティングにおける最初のオープンソースの取り組みとしてOpenEdgeを提供する。これは中国以外でも利用することができ、世界中でエッジコンピューティングの開発を改善することを望んでいる。
エッジコンピューティングにより、処理能力はクラウドから「エッジ」へシフトする。つまり、スマートフォン、タブレット、IoTデバイスのエンドユーザーに近くなるということだ。Baiduの広報担当Zun Wang氏は、Business Insiderの記事で次のように述べている。
IoTデバイスの台頭により、エッジコンピューティングが一般的になってきています。これは特にAI処理にとって、ネットワークのエッジに様々な種類の計算能力をもたらし、データソースをクラウドに近づけることができます。
BaiduはOpenEdgeを提供することで、エッジコンピューティングシステムを構築し、それを様々なデバイスとハードウェアにデプロイするためのプラットフォームを開発者に提供する。さらに、このプラットフォームには開発者がデバイスをプログラムできる機能がある。これによってデバイスにデータを収集させて、デバイス同士がメッセージを送信し合い、ユーザーの行動から「学ぶ」ことができる。同じBusiness Insiderの記事で、Wang氏は次のように述べている。
私たちは開発者が独自のエッジコンピューティングシステムを構築し、既存のプラットフォームにそうした機能とエッジアプリをもたらして欲しかったのです。
OpenEdgeは、エッジノード、エッジアプリ、そして認証、パスワード、プログラムコードといったリソースを管理するクラウドベースの管理スイート、BIE(Baidu Intelligent Edge)のローカルパッケージコンポーネントだ。BIEはBaiduが開発したPaddlePaddleやTensorFlowといった一般的なAIフレームワークをサポートしており、開発者はBIE上でAIモデルをトレーニングし、それをローカルデバイスにデプロイすることができる。
OpenEdgeとともに、Baiduはそのプラットフォームを利用した2つのプロダクトをリリースしている。
- Intelと協力して開発されたBIE-AI-BOX – 車載カメラと接続してビデオ解析を最適化する。道路認識、車体監視、運転手の行動認識のためのAIアプリが公式に提供される予定だ。
- NXP Semiconductorと協力して開発されたBIE-AI-Board – 他のハードウェア(ドローンぐらい小さくても)に組み込んで検出タスクを実行できる。
Source: https://techcrunch.com/2019/01/09/baidu-cloud-launches-its-open-source-edge-computing-platform/
最後に、オープンエッジプラットフォームのパブリックプロバイダーはBaiduだけではない。たとえば、Microsoft AzureにはIoT Edgeというオープンソースのエッジコンピューティングプロジェクトがあり、開発者にIAを含むエッジコンピューティングサービスを提供する。さらに、AmazonもAWSでエッジコンピューティングサービスを提供している。たとえば、Lamdba@Edgeを使うことで、ユーザーはサーバーをプロビジョニングすることなく、イベントに対応するサーバーレス関数を実行することができる。ただし、エッジコンピューティングサービスの基盤となるソフトウェアは、オープンソースとして提供されていない。