Beakerは、Electron、Chromium、Node.jsに基づく実験的なP2P Webブラウザだ。Beakerには、従来のWebとの互換性を保ちながら、ホストレスアプリケーションを構築するための新しいDatベースAPIが含まれている。
Beakerチームは、人から人へのWebを構築しようとしている。もともとWebは、これまで想像できなかった規模でのコミュニケーション、コラボレーション、クリエイティビティを可能にした。しかし、Beakerチームは、Webがカスタマイズと相互運用性を妨げる、孤立したプラットフォームの集合になってしまったことに不満を感じている。
オープンWebのビジョンを維持するのにブラウザがどのように役立つのかを調べるため、Beakerには実験的な機能が追加されている。Chromiumを用いてHTTP/HTTPSによる通常のWebサイトをサポートする以外に、BeakerはDatプロトコルもサポートする。これはHTML、CSS、JavaScriptといったWebサイトやWebアプリを構成するリソースの集合を提供する。
DatはP2Pプロトコルであり、dat://
でサイトにアクセスすると相互に直接接続し、ファイルをダウンロードして共有する。Datはピア、ネットワーク利用、シードなどP2Pのコンセプトに従っており、ピアはサイトのリソースを再アップロードするための帯域幅に寄与する。
DatもサポートしているWebサイトにHTTPSでアクセスすると、BeakerブラウザはそのサイトのP2Pバージョンが利用できることを通知する。
DatはファイルブラウザとソースコードエディタでWebのView Source機能の一部を復元する。View SourceはDatサイトからのリソースをすべて表示する。
Beakerには、Datサイトを作成するための簡単なツールが含まれており、Create New機能でDatサイトテンプレートを生成する。
Beakerを使うことで、Webブラウザから直接Datサイトを公開・編集しやすくする。また、ローカルディレクトリを設定し、サイトのリソースをローカルコンピュータ上のディレクトリに同期することで、BeakerはVS Codeやvimといった他のエディタとも連携できる。Webサイトディレクトリに加えた変更は、自動的にDat Webサイトに公開される。デフォルトでは、編集はオリジナルのWebサイト作者にのみ提供されるが、サイトの編集可能あるいはフォーク可能なコピーを提供することもできる。ユーザーがこれを使うことで、アプリケーションの機能を壊すことなく、好みに合わせてWebサイトのUIを少しカスタマイズできることを期待している。
Beakerはすべてのdat://
サイトでライブ・リロードをサポートする。これはユーザーが編集中のプロジェクトやリモートWebサイトにとって役に立つ。P2P Webサイトを使うことで、Webサーバーを実行・運用する知識なしに、誰でもWebサイトを作成・公開しやすくなるとBeakerチームは考えている。
Beakerは実験的なオープンソースのP2P Webブラウザであり、MITライセンスのもと利用できる。Beaker GitHubプロジェクト経由で、コントリビューションとフィードバックを受け付けている。ただし、Beakerのコントリビューションガイドラインと行動規範に従わなくてはならない。