Confluentは、データを転送する機能とシステムとデータソースを接続するツールを提供するストリーミングプラットフォーム、Confluent Platformの一部コンポーネントに関するライセンス変更を発表した。今回のライセンス変更は、特に、SaaSプロバイダによるこれらコンポーネントの使用制限にフォーカスしている。
Apache Kafkaの作者が創業したConfluentの従業員は、今もKafkaプロジェクトの主要なコミッターでありながら、Kafkaをベースとした独自のプラットフォームを提供している。ライセンス変更はこのConfluent Platformの特定のコンポーネントにのみ影響を与えるものであり、Confluentの共同創業者でCEOであるJay Kreps氏が言っているように「Apache Software Foundationの一部として開発されているApache Kafkaには何も影響はなく、Apache 2.0ライセンスのままだ」。新しいライセンスで制限されるコンポーネントは、Confluent REST Proxy、Schema Registry、KSQL、コネクタになる。これらは以前Confluent Open Sourceと呼ばれていたものだ。
ソース: https://www.confluent.io/confluent-community-license-faq
今回のライセンス変更は、AmazonのManaged Streaming for Kafkaの発表と密接に関係しており、Confluentが提供する機能と競合するAmazon、Microsoft、Alibaba、Googleといったクラウドベンダーに制限を課すために作られたようだ。特に、ライセンスの一節で次のように述べている。
ライセンシーは、除外された目的のためにライセンスを行使する権利を与えられず、またライセンシーはそれを行使してはならない。本契約の目的上、「除外された目的」とは、ソフトウェアを提供するConfluentのプロダクトもしくはサービスと競合する任意のsoftware-as-a-service、platform-as-a-service、infrastructure-as-a-service、その他同様のオンラインサービスを提供することを意味する。
とはいえ、Confluentは、SaaSに関係して他のプロバイダーによる知的財産の実行を制限した最初の企業ではない。例えば、RedisLabsは最近、特定のモジュールをCommons Clauseライセンスに移行し、MongoDBは自社のプロダクトをServer Side Public Licenseのもとリリースした。Confluentの共同創業者でCTOのNeha Narkhede氏は、なぜライセンスを変更するのか質問されて次のように答えた。「これは投資資金をもたらす健全なビジネスを維持しながら、フリーで配布するコードに多額の投資を続けるための動きです」。このことはFAQページにも書かれている。
それでもやはり、複数の企業が同様の変更をしており、コミュニティには懸念している人たちもいる。例えば、JoyentのCTOでオープンソースコミュニティでよく知られているBryan Cantrill氏は、こうした最近の動きをみて、「ライセンスは根本的問題を解決するものではない」と結論づけている。記事の中で彼は、とりわけ次のように説明している。こうした部分を制限することは、彼ら自身を助けるよりも、オープンソースコミュニティを傷つける可能性が高い。クラウドプロバイダーは制限された部分の独自実装を生み出すだけで、プロジェクトには全く寄与しないためだ。ScyllaDBの創業者であるDor Loar氏も同じような考えを持っている。彼は、これは大規模クラウドベンダーに影響を与えるだけでなく、もっと小さなオープンソースにフォーカスした企業にも影響を与えると述べている。
こうしたライセンス動向によって傷つけられる企業には、MongoDB/Elastic/Kafkaなどを提供する、もっと小さなas-a-serviceベンダーも含まれます。彼らのOSSに対する貢献にもかかわらず、こうした小さな企業は制限されたライセンスによって妨害されるでしょう。彼らが支援してきた、まさにその技術が動かせなくなるのです。
現在のところ、Confluentによる変更の影響は比較的小さい。コンポーネントの以前のバージョンのライセンス状態は変わっていないためだ。これは、プロバイダーが新しいライセンス条件への対応を計画しながら、以前のバージョンを使い続けることができることを意味している。