ネイティブプラットフォームと相互運用する場合、ポインタ操作に関して極めて特殊なコーディングパターンが必要となることがよくある。Cで記述したシム(shim)を経由すれば可能だが、 "Operators should be exposed for System.IntPtr and System.UIntPtr"と題した提案では,C#から直接提供する方法について論じている。
ポインタを直接操作する機能は、当初からCommon Language Runtime(CLR)に含まれていた。その名前が示すように、CLRは,C ++などの"低レベル"言語を含む,多種多様な言語をサポートするように設計されている。そのため、オリジナルの.NET言語であるVB,C#,J#,JScript.NET(後者2つは提供されなくなった)では不要な機能も含まれている。
提案では,加算,除算,乗算,剰余,減算,不等号,等号,比較、And、Not、XOr、ShiftLeft、ShiftRightという14個の演算子を取り上げている。提案によると,"CLI仕様で定義されている検証不可能(unverifiable)な演算子はリストに含まれておらず、現時点では本提案に含まれていません (ただし,考慮する価値はあると思われます)"。
CLI標準から引用されたこの一節には"検証可能(verifiable)"の意味が説明されているが,文書では取り上げていない。
型安全(type-safe)なコードと検証可能(verifiable)なコードの違いは証明可能性です。VES検証アルゴリズムをパスするコードは、その定義上,検証可能です。しかしVESの単純なアルゴリズムでは、より深い分析によって真に型安全であると明らかになったコードでも,拒否される場合があります。プログラムがパーティションVIに記載された構文に従っていたとしても,有効でない可能性は残っています。有効なコードはこのパーティションに加えて,パーティションIIIの制限にも準拠しなければならないからです。
検証プロセスは極めて厳密です。バリデーションにパスしても,検証に失敗するプログラムはたくさんあります。プログラムが許可されていないメモリやリソースにアクセスしないということを,VESでは保証できません。それにも関わらず,それらのプログラムは,そのようなリソースにアクセスしないように正しく構築されているかも知れません。つまり,プログラムの実行が安全かどうかは数学的な証明問題ではなく,信頼性の問題なのです。CLIに準拠した実装では、検証不可能なコード(検証に合格しない有効なコード)も通常は実行できますが、これはこの標準の一部ではなく,運用上の信頼管理の対象であると言えます。逆に,検証可能なコードの実行は当然可能ですが,これには実装特有の信頼性管理が必要な場合もあるのです。
おそらくこれらの操作は,アンセーフのコンテキストでのみ許されるものだろう。しかし提案では,これについて明示的に述べていない。
我々の"C# Future"シリーズの他の機能と同じく,この提案は現在検討中であり,C#ロードマップには含まれていない。