PayaraのCEOであるSteve Millidge氏は先頃,Payara Platform 5のロードマップの概要を公開して,2019年のPayaraの目標について説明した。先日実施されたウェビナでは,同社テクニカルリーダのArjan Tijms氏とともに,2019年のロードマップを詳しく解説している。2018年の成果に関する簡単なレビューで特に取り上げていたのは,2018年3月のPayara 5.181のリリースに伴うPayara Platform 5の提供開始だ。今年はさらに,Payara Server 5とPayara Micro 5の四半期リリース(5.191~5.194)が計画されている。以下に示すメジャーリリースのロードマップには,他にPayara 4のメンテナンスリリースと,2021年のPayara 6の導入が含まれている。
2014年にローンチされたPayaraは,当時OracleによってメンテナンスされていたGlassFish 4.1のオープンソースエディションをベースに開発された。それ以来Payaraは,オープンソースによる優れたカスタマサポートの提供、小型でシンプルでパワフルであること、主要クラウドプラットフォームとの互換性の確保などを目標としてきた。
先日のウェビナでは,変更や修正に関して,GlassFishとのアップストリーム/ダウンストリーム関係に関する質問があり,Millidge氏は次のように返答した。
現時点では未定です。私たちがJakarta EEのメンバであり,EE4Jプロジェクトの一部であることは間違いありません。Java EE 8認定の取得に際しては,GlassFish上でいくつかの開発作業を実施する予定です。その後については,Eclipse Foundationの誰がGlassFishをサポートするかによりますが,目標とするのはPayaraそれ自体です。これまでも,PayaraのすべてのバグフィックスをGlassFishに反映した訳ではありません。
分離してからすでに4年が経過しているので,現在の私たちのソースコードツリーは,GlassFishとはかなり違うものになっています。GlassFishに重大なバグが発生した場合は,Payaraにも対策を組み込むつもりです。ですが,GlassFish 5.2以降も,私たちは活動を続けることになります。GrizzlyやHK2,JPA,EclipseLink,Yassonといった,GlassFishの主要なコンポーネントの多くについては,今後もEclipse Foundation内で開発が続けられます。Eclipseでの仕様に関する実装の多くは,その中で開発される予定です。今後私たちがGlassFishにどのように関わっていくのかは,他の人たちの関与の仕方次第です。
先日のEclipseのブログでTijms氏は,2019年のJakarta EE 9の見通しについて,Payaraの計画を中心に論じている。それによると,
まず最初に手掛ける予定なのは,新たにリリースされたJava EEとGlashFishコンポーネントのJakartaバージョンをPayaraに適用することです。JASPICやJTA APIなど,いくつかのコンポーネントについては比較的容易ですが,Mojarraなどでは,私たちがパッチを当てたバージョンをアップストリームのJakartaバージョンに合わせる作業が最初に必要です。保証は当然ありませんが,次期リリースとなるPayara 5.191までにこの作業を完了できればと思っています。
Payara 5.191
3月6日にリリースされたPayara 5.191には,ヘルプドキュメントの復活,JAX-RSエンドポイントを経由したEJBのリモート起動,MicroProfile 2.1のサポート,Payara Microアプリケーションをデプロイする際にコンテキストルートを定義するコマンドラインパラメータcontextroot
の新設といった新機能が含まれている。
ライセンス上の制限により,OracleがGlassFishをEclipse Foundationに寄贈するまで,Payaraはヘルプドキュメントを削除しなければならなかった。先日のGlassFish 5.1のGAリリースによってこの制限が解除されたため,バージョン5.191にヘルプドキュメントを含めることが可能になった。
下記の例は,コンテキストルートを定義する新しいコマンドラインパラメータの使用方法を示している。
$ java -jar payara-micro-5.191.jar --deploy mvc-samples-hello-cdi-1.0.war --contextroot hello
当年の残りの期間をまとめると,Payaraでは,次のような新機能の実装を計画している。
- KubernetesおよびDocker上でのPayaraの実行のサポート (5.192)
- AWS,Google,Microsoft Azureなど,パブリッククラウドプロバイダとの統合
- MicroProfileおよびJakarta EEの継続的サポート
- MicroProfile 2.2 (5.192)
- MicroProfile 3.0 (5.193)
- Jakarta EE 8 (5.193)
- 新しい開発者および管理ツール
- 監視(5.193)
- フルモニタリングコンソール(5.194)
- JDK 11のサポート (5.192)
- パフォーマンスとスケーラビリティ
Payara 6
2021年に予定されているPayara Platform 6には,次のような機能が含まれる予定である — ソースコードの分解と再構築; 完全なJavarta EE 9認証; JDK 11+ ベース,すなわち,JDK 11による完全なコンパイルとビルドの実施; 新たな管理コンソールと監視用コンソール; Springのネイティブサポート。
Payara 4
Payara Platform 4はメンテナンスモードとなり,Azulによる2024年までのJDK 8サポートと月毎の安定版リリースが行われる予定である。
リソース
- Payara Foundation Releases Payara Server 5 and Payara Micro 5 — InfoQ (2018/3/30)
- Payara Foundation Releases Payara Server and Payara Micro 5.183 Featuring MicroProfile 2.0 Support — InfoQ (2018/9/28)
- Jakarta EE 9 — 2019 Outlook — Arjan Tijms (2019/2)
- Eclipse Releases GlassFish 5.1 Certified as Compatible with Java EE 8 — InfoQ (2019/2/19)
- What's New in Payara Platform 191? — Andrew Pielage (2017/5/6)