Microsoftは先頃、 Anomaly Detectorのパブリックプレビューと、Custom Visionの一般供与を発表した。2つのサービスによってMicrosoftは、ユーザへのコグニティブサービス(Cognitive Service)の提供をさらに拡大する。
Anomaly Detectorは、ユーザのデータ内から、問題特定につながる可能性のある異常なパターンやまれなイベントの検出を可能にする、Azure Cognitive Servicesファミリの新サービスである。Anomaly Detectorは、Machine Learning Anomaly Detection APIから派生したもので、同社Data GroupのチーフであるAnand Raman氏がブログ記事で述べているように、Microsoft自身が利用しているサービスだ。
現在、Azureを含む中核的なMicrosoftプロダクトの2,000以上のチームが、自分たちのシステムの信頼性向上を、Anomaly Detectorによるリアルタイムな異常検出とトラブルシュートの迅速化に依存しています。たったひとつのAPIを通じて、自らのアプリケーションに自動検出機能を組み入れることによって、高いデータ精度を保証しつつ、インシデントの発生を即時に自動検出することが可能になるのです。
今回のサービスにより、例えば金融業界では、クレジットカードトランザクションや大量送金などの異常をより正確に検出する手段として、このサービスを活用することができる。金融業界の従来のアプローチは、トランザクションの逸脱をルールエンジンで判断するなどのものだったが、これは誤検知につながっていた。一方で、451 ResearchのアナリストであるEric Ogren氏の、TechTargetの記事によると、
異常検出には通常、実際に問題であるかどうかを最終的に判断するために、マシンラーニングではなく、人の介在が必要になります。
Azure Anomaly Detectorは現在、West U.S. 2とWest Europeリージョンでのみ提供されているが、Microsoftは、一般供与に合わせて全リージョンでサービスをリリースする計画である。さらに、無償ティアでは月20,000トランザクションまでが可能だが、標準ティアの料金は1,000トランザクションあたり0.157ドルに設定されている。一般公開時には費用が倍増することに注意が必要だ。
Anomaly Detectorのプレビューに加えて、Microsoftは、Custom Visionサービスの一般供与を開始した。マシンラーニングを活用したこのサービスによって、開発者は、画像内のコンテンツを認識する独自の画像分類器(image classifier)を短期間で構築し、デプロイし、改善することが可能になる。Raman氏が同じブログ記事で、次のように述べている。
"独自の分類器をトレーニングして自身のシナリオ内で最も重要なものを認識させたり、あるいは開発した分類器をエクスポートして、オフラインで、iOS(CoreML)やAndroid(TensorFlow)、その他数多くのエッジデバイス上でリアルタイム動作させたりすることが可能です。エクスポートしたモデルは、モバイルデバイスの制約に合わせて最適化されることによって、高い精度を維持しながら、驚異的なスループットを提供します。"
Custom VisionのGAリリースにより、開発者には、次のような機能強化のメリットもある。
- 3,0 REST APIとSDKによる、コンピュータビジョン機能のアプリケーションへのスムーズな統合
- 分類器のエクスポート機能による、Raspberry Pi 3およびVision AI Dev KitでのAzure Resource Manager(ARM)サポート
- さらには、指定された計算時間計画内で実現可能な最良のトレーニングと増強設定を試行的に特定できる、高度なトレーニング機能
Custom Visionのユースケース例としては、ペルーの鉱業会社であるMinsurがある。同社では、家畜用や農業用に供給する水中の泡レベルの検出にこのサービスを使用している。高度な人的作業を必要としていたこのプロセスを、Custom VisionとAzureの組み合わせによって置き換えたことで、同社では、運用上、従業員をより戦略的なプロジェクトに集中させることが可能になった。
Custom VisionはUS、Europe、Asiaの各リージョンで提供されている。料金の詳細は価格ページで確認することができる。