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リーダへのキャリアチェンジ

原文(投稿日:2019/05/02)へのリンク

チームリーダになるための移行期間をメンタと共に持てたことで、Dan Persa氏は、シニアソフトウェアエンジニアからエンジニアリーダへと、スムーズに移行することができた。Codemotion Amsterdam 2019で氏は、他の開発者にもリーダへのキャリアパス選択を動機付けるべく、自身の経験や学んだことを公開した。

"私がリーダになった時に何を期待すればよいのか、正確には分かっていませんでした"、とPersa氏は言う。 "ですが、それが容易ではなく、たくさんの新しいことを学ばなくてはならない、ということは分かっていました。"さらに氏は、"同じことを繰り返すな(don't repeat yourself)"のような、ソフトウェアエンジニアリングから学んだ基本的なことは忘れる必要がある、とも言う。"人を扱う場合、すべての人たちが同じ位置に立つ上で、繰り返しは不可欠なのです。"

本当に明らかなのは、成功のお膳立てをすることが自分の責任であるということだった、と氏は言う。そのために氏は、自身のリーダや部門長を含む、多くの人々の支援を仰いだ。その中で氏は、自身がこの移行を乗り越えるのを助けるために、誰もが本当にオープンであるという事実に驚きを感じたという。

Persa氏によると、彼にとって最も重要だったのは、チームを率いるための3ヶ月の移行期間を、メンタと一緒に過ごしたことだった。メンタを手本にすると同時に、彼の思考過程や、彼が決断を下す方法について議論する中で、多くのことを学んだ。このサポートを受けたおかげで、迷いを感じることなく、スムーズな移行が可能になった、と氏は言う。"メンタがいなければ、この移行を乗り越えられなかったでしょう!"

"First Step as a Lead"と題した講演の中で、氏は、同じようなキャリアスイッチを目指す開発者たちが、移行をよりスムーズに成功させることができれば、という期待を持っているキャリアスイッチが失敗する主な理由として、氏は、次の2つを挙げた。

  1. 誰かがリーダに期待していることと、実際の会社で起こっていることの間に不一致があるという事実が、不幸をもたらす原因となる。仕事の説明を読み、それが自分の期待に合っていると確認することが非常に重要だ、とPersa氏は言う。重要な質問に答えてみよう。"コードを書き続けたいですか?"、"自身のチームでアーキテクチャ活動をリードするつもりですか?"、"自身の役割や対処するものは、もっと不確実でよいのですか、あるいはクリアで、明確に定義されたものにしたいですか?"
  2. 社内の他のリーダからのサポートと指導の欠如。このキャリアスイッチにおける必須条件は、メンタシップとサポートの提供を認める人物を見つけることだ、とPersa氏が考える理由はここにある。

物事がうまくいかなかったり、あるいは彼らがリーダーシップの役割に満足していないと誰かが気付いても、戻り道は常にある、とPersa氏は言う。リーダシップへの転向が一時的であったとしても、その経験がリーダへの共感にプラスするという意味において、メリットは存在する。リーダになったことで、よりよいフォロアになる方法が分かるのだ。

InfoQは、ZalandoのエンジニアリーダであるDan Persa氏と、Codemotion Amsterdam 2019での講演後に話をした。

InfoQ: シニアソフトウェアエンジニアからエンジニアリングリーダへという、キャリアスイッチを決めた理由は何でしたか?

Dan Persa: 決断は時間のかかるプロセスでしたが、本質的なきっかけは周りの人たちからのインスピレーションでした。私の妻はソフトウェアエンジニアでしたが、私より先にリーダになっていました。彼女との話を通じて、私は、リーダが解決しなければならない、人に関する興味深い問題について知るようになったのです。人々の問題に対処することは、コンピュータに対処することよりはるかに難しいことだと、その時に気付きました。知らないこと、予測できないことはたくさんありますが、それでも大きな影響があります。

私の友人のひとりである元同僚も、私にインスピレーションを与えました。彼はどんな会社でも採用される、最高のコントリビュータです。彼も私より先にリーダになりました。彼のステップを追うべきかどうか、助言を求めたとき、彼は私に言いました。"僕が君だったら、そうしないと思う。今の会社でのリーダの役割は、僕には向いていないから。僕は実際に手を動かしたいタイプで、今の役割はコーディングが少なすぎるんだよ!"それを聞いた時に、これが、今までのようなジュニアエンジニアからミドル、そしてシニアへという、通常のプロモーションではなく、キャリアスイッチなのだということを理解しました。

InfoQ: エンジニアリングリーダという新たな役割に対して、どのような準備をしましたか?

Persa: 学習ソースは、私が本で読んだものを適用することでした。注意すべきなのは、本を読むだけではない、ということです。それで十分だとは思いません。私にとって最も効果的だったのは、本を読んで、その本から私のリーダシップスタイルに合ったものを決定し、それを自分自身のケースにどのように適用できるかを考えた上で、それを実践することでした。初心者である私にとって、本当に面白かった本のひとつは、Chip、Danの両Heath氏による"Switch"です。リーダとして重要なのは、チームや組織を変化させられることです。この本は、人々の振る舞いを考慮に入れつつ、リーンで自然な方法で物事を変える方法について、そのフレームワークを提示しています。最も興味深かったのは、インスピレーションを得られる実例がたくさんあったことです。

学習とインスピレーションの元になったもうひとつは、当時のマネージャたちからのものでした。私は、彼らのよい行動と、あまりよくない行動を思い出して、それを活かすことに努めました。過去に彼らは、どうやって私をやる気にさせたか?建設的なフィードバックをどのように提供することで、私の成長を助けようとしたのか?間違っていたことは何か?私がリーダになった時には決してするまい、と誓ったことは何か?しばし考えた後、私は、透明性と予測可能性が信頼の文化を築くための鍵である、という理解に達しました。私は"Principle of no surprises"を強く信奉しています。すなわち、すべての部下には、彼らのパフォーマンスやキャリア開発についてあなたがどう考えているかを、常に知らしめておくべきです。評価サイクルの最後の段階になって、彼らが自身のパフォーマンス評価結果に驚くようなことがあってはならないのですこの話題についてはMediumで、"The Principle of No Surprises"として詳しく書いています。

InfoQ: 自身が学んだことは何か、具体的な例をあげて頂けますか?

Persa: このキャリアスイッチの中で、私が学んだ最も大きな教訓は、"大きな変化をうまくやり遂げるためには、禅師(Zen master)になる必要がある"ということです。どういう意味かというと、それには3つあります。

  1. 自分の失敗を許す。初めてのことなのですから、失敗する可能性が極めて高いことを認識してください。失敗しても、自分自身を強く責める必要はありませんが、何が悪かったのかを振り返って、そこから学ぶことを忘れないでください。失敗を学びの機会にすると同時に、行動を取るごとにフェイルオーバ計画を立てて、リスクの軽減を可能にしてください。分散システムを扱う場合も同じです。すべてのものはいつか故障するのですから、迅速に復旧するためのメカニズムが必要です。
  2. 大きな変化をする時に経験するストレスを過小評価せず、ストレスにうまく対処するようにしてください。

    – 長い休暇を取って、関係を断つことも時には必要です。

    – 事前計画。仕事の多さに圧倒されないように、事前に時間枠をブロックしておいて、自分のカレンダをコントロールしてください。事前に計画されていれば、より自信を持って物事に当たることができて、ストレスも少なくなります。

    – ストレスを味方にする。ストレスとは、私たちが新しいことや極端な状況に対処している時に、私たちの体と脳が反応する方法のひとつです。ストレスは、重要なことに集中する上でプラスに働きます。そのことを認識して、あなたの体と心が、あなたの集中力を維持させられるようにしてください。

  3. 周りの人々との共感。顧客、上役、部下の視点を理解するように努めてください。質問をしてください。仮定に頼ってはいけません。私たちは皆、同じチームに属していて、成功したいと思っていますが、考え方は人それぞれなのです。認識の欠如は、多くのフラストレーションを引き起こす可能性があります。

InfoQ:技術的役割から、指導的役割への転換を目指している人々に対して、どのようなアドバイスがありますか?

Persa: 最も重要なアドバイスは、しばらく試してみて、それが好きかどうかを確かめる、ということだと思います。同時に、例えば私の講演を見たり、そこでのポイントについて熟考することを通じて、自分自身への期待に対処することも必要です。リーダーシップへの移行は間違いなく興味深い問題であり、学ぶべきことも多々ありますが、そのためには、日々のコーディングのような快適領域から抜け出して、何らかを放棄することへの心構えも必要となります。

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