継続的改善は新しいものではなく、また、誤解されることが多い。それを成功させるために、アジャイルの原則から指針を得て、それらをDevOpsの世界に適用することができると、AccentueのマネージングディレクタであるMirco Hering氏は主張する。氏はAgile Portugal 2019で、アジャイル時代におけるDevOpsのリーダーシップについて講演した。
DevOpsや継続的デリバリといった関連プラクティスが十分に理解されない状況は、すでに過去のものになったが、多くの企業が成熟した状態に達するには至っていない、と考えるHering氏は、組織の速やかな進捗を妨げている、2つのテーマを取り上げた。
ひとつは成功宣言が早すぎる傾向のあることだ。DevOpsプラクティスの導入は大変な作業であり、そのメリットの多くは最初の80%ではなく、最後の20%にある。結局のところ、半自動化されたプロセスでは、手動のプロセスに比べてそれほどメリットはない、とHering氏は主張する。
2番目のテーマは、DevOps転換において、旧式のアプローチを採用している組織に関するものだ。つまり、問題解決のために組織の再編成を試みたり、As-Is To-Be分析と同じ手法を用いてDevOpsへの転換計画を定義しようとする組織である。どちらのアプローチも結局は失敗に終わる、とHering氏は言う。DevOps導入の全工程を描くのではなく、確固とした継続的改善によってのみ大きな進歩は得られるのだ、という事実を受け入れなければならない。状況は常に変化しており、アジャイルに対応することが必要なのだ。
継続的改善が実際に機能する上で、2つの事柄を欠く傾向が組織にはある、とHering氏は言う。より厳格なプロセスに従うための規律と、ベースラインを設定して改善を測定するためのデータだ。
継続的改善はしばしば誤解されている、とHering氏は言う。改善と追跡のためのリストを作成し、それが実践されているかに関わらず、継続的な改善を呼びかけている組織が多い。"これでは不十分なのです"、と氏は言う。"結局は、フォローすべきリストがどんどん長くなるだけで終わることが多いのです。リストにステップを追加するというのは、何かを改善したように感じられる、手軽な方法だからです。これで本当に、何かを改善できるのでしょうか?それは分かりません ..."
しかしながら、事態は改善しつつある、とHering氏は言う。我々のDevOpsツールからのデータの収集とその利用に関して、様々なことが語られるようになったからだ。hygeieiaのようなオープンソースソリューションや、評価の確立したベンダによる取り組みは、この分野への投資が拡大傾向にあることを示している。企業は自らのデータを把握し、転換においてそれを活用する方法を見出すべきだ、とHeringは提言している。
Hering氏はAgile Portugal 2019で、アジャイル的発想のDevOpsへの適用について講演した。講演の中で氏は、いくつかの例を紹介した。
私がアジャイルを初めて使用したとき、強く共感を覚えたことのひとつが、原則に基づいたそのアプローチでした。原則を理解すれば、手法はおのずと確立します。これは、アジャイル界の一部で発生したと思われる"フレームワーク戦争"よりも、はるかに好ましいものです。
最初のアジャイルトレーニングで出会ったシステム思考は、私にとって、まさに新たな世界を開くものでした。DevOpsにもこれが当てはまると思うのです。すべてのチームがDevOpsに対して独自のツーリングやアプローチを作り出すことを許せば、それぞれのチームに対して最適され、組織全体を損なう結果になります。すべてのチームが自らの望み通りに振る舞えば、アーキテクチャの維持は非常に困難になります。つまり、各チームが改善するだけでなく、システム全体を最適化するには、何らかの制約と調整が必要なのです。
継続的改善は新しいものではない。すでに前世紀には、Demingサイクルなどのプラクティスが存在している。Hering氏は、継続的な改善のための科学的方法として、Demingサイクルを使用する方法を紹介した。
状況を改善できるものとして、ひとつのアイデアがあります。私たちは現在、自分たちが正しいかどうかを確認し、それを検証するために必要なデータが何であるかに同意するための実験を計画しています。それが終われば、アイデアを具現化して、結果を比較します。うまくいったかどうか、結果がどちらであっても、継続的改善を続ける上で、次の実験に影響する何かを学んでいくのです。例えば、コードカバレッジを増やしても、実際には品質が改善されないステージもあります。