クラウドネイティブソフトウェア企業のSolo.ioは、業界初となるサービスメッシュハブをローンチした。このハブは、ハイブリッドおよびマルチクラウド環境へのサービスメッシュテクノロジの導入を支援するリソースとして、Istio、Linkerd、Envoy、AWS App Mesh、HashiCorp Consulといったサービスメッシュツールを提供する。サービスメッシュアプリケーションを対象とした、同社のカオスエンジニアリングツールであるGloo Shotもリリースされ、ハブ経由で使用することができる。
サービスメッシュテクノロジは、ルーティング、ロードバランシング、ロギングおよびモニタリングなど、マイクロサービス間で共有される共通機能を集中型ツールとして提供することにより、マイクロサービスの管理作業を支援するものだ。一般的なサービスメッシュは、すべてのサービス間通信を処理する、サイドカーと呼ばれるサービスプロキシとして実装される。
サービスメッシュハブの発想は、サービスメッシュのライフサイクル管理を統合するオープンソースプロジェクトである、SuperGlooのリリースに由来する。ハブはSuperGlooを基に構築されており、サービスメッシュテクノロジのコラボレーションと管理のための中核的な場所を提供する。Solo.ioの創設者でCEOのIdit Levine氏によれば、
Service Mesh Hubのビジョンは単なるテクノロジを越えて、調査から概念実証、統合、サービスメッシュ環境の運用に至るまで、導入ライフサイクル全体を通じてエンドユーザをサポートすることにあります。
サービスメッシュハブの主要コンポーネントであるダッシュボードは、ユーザが利用可能なサービスメッシュテクノロジの範囲を検索、あるいはインストールするためのUIを提供する。ダッシュボードを使用することで、クラウドサービスプロバイダ全体のメッシュを管理ないし構成し、すべてのアクティブなメッシュの状態を監視できる。サービスメッシュハブは、kuberctlコマンドを使用してKubernetesにインストールすることができる。エクステンションのカタログも提供されているので、サードパーティベンダやオープンソースプロバイダがサービスメッシュツールを宣伝したり、ハブ経由でそれをインストールすることも可能である。
サービスメッシュハブのローンチに合わせて、Solo.ioは、カオスエンジニアリング用のツールとしてGloo Shotをリリースした。Gloo Shotは、サービスメッシュテクノロジを活用してカオス試験を実施するもので、現時点では、サービス障害と遅延ベースのテストをサポートしている。カオス試験はGloo Shot APIとしてデザインされており、アップストリームリクエストのすべて、あるいは指定された割合を対象に実施することができる。試験の終了は、Prometheusのメトリックや制限時間などで、ユーザが定義した障害条件に基づいて判断される。
Gloo Shotは言語非依存で、サービスメッシュインターフェイスを使用して実装されるため、ライブラリのインポートやコードの変更を行う必要はない。また、直接アクセスせずにメッシュを使用するために、サービスメッシュオーケストレーションプラットフォームであるSuperGlooを利用している。試験はKubernetes kubectlコマンドで起動することが可能で、Kubernetes カスタムリソース内で実行される。試験が起動されると、Prometheusがインストールされてテスト中のメトリック収集を実行する。試験の完了時には、これを用いてメトリックを確認することが可能だ。
サービスメッシュハブの資料には、プロジェクトの導入やコントリビューションに関する詳細情報が記載されている。Gloo Shotの詳細については、プロジェクトのドキュメントを参照してほしい。Gloo Shotのオープンソースバージョンはサービスメッシュハブで利用可能で、エンタープライズバージョンは近々利用可能になる予定である。