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Open Core Summitを開催する理由 - 発起人のJoseph Jacks氏に聞く

原文(投稿日:2019/09/12)へのリンク

初のOpen Core Summitが9月19~20日、サンフランシスコで開催される。InfoQは先頃、イベントの発起人であるJoseph Jacks氏と話をし、このイベントを実施する動機を探ると同時に、新たなオープンソースビジネスにおいては、可能な限り最大レベルの価値を生み出すことを重視しながらも、そのごく一部のみの取得を目的とするべきだ、と氏が考える理由について議論した。

InfoQで以前にレポートしたように、一般的に、オープンソース開発への資金提供の方法として何が最適であるかという業界のコンセンサスは存在しない。オープンソースソフトウェアは完全にフリー(無償"as in beer"という意味で)であるべきだ、と考え続けている人は多いが、将来的に商用オープンソースをサポートする上では、"オープンコア"や"デュアルライセンス"といったモデルが最も有望なアプローチのように思われる。

現在はクラウドプロバイダもオープンソースソフトウェアを採用しており、必ずしも付加価値や将来的な開発をサポートすることなく、ソフトウェア・アズ・ア・サービス(SaaS)として有償で提供している。オープンソース開発が一夜にして消え去ることはありそうもないが、商用オープンソースベンダの未来は、業界内の多くの人々の間で論点となっている。

あるソフトウェアがクラウドベースで広く採用されるようになったことがきっかけで、いくつかのオープンソースプロジェクトが、最近になってライセンスの変更を行っている。例えば、Confluentは昨年末、データ転送機能を提供するストリーミングプラットフォームであるConfluent Platfornのコンポーネントの一部と、システムとデータソースを接続するツールのライセンスを変更すると発表した。SaaSプロバイダによる、これらコンポーネントの使用を制限するためだ。

このように、進化するライセンスと変化するソフトウェア消費モデルの混ざり合いが生まれつつある中で、初のOpen Core Summit(OCS)が開催されることになった。イベントの目標は、この業界で志を同じくする参加者が集まり、経験やアイデアを共有する場所を提供することにある。

InfoQは、OSS Capitalの創設者兼CEOで、OCSの発起人であるJoseph Jacks氏と席を共にして、今回のイベントについて詳しく聞くことにした。

InfoQ: Open Core Summit(OCS)カンファレンスについて紹介して頂けますか?このようなイベントを計画したきっかけは何だったのでしょう?

Jacks: 元々はMarco Palladinoのアイデアでした。2018年後半のAWS re: Inventで雑談をした時に、私にヒントをくれたのです。Marcoは親愛なる友人であり、Kongの本当に素晴らしいCOSS創設者/CTOです。

OCSは、グローバルなCOSSエコシステムのカンファレンスです。急成長する商用オープンソースソフトウェア(COSS)カテゴリのソフトウェアを、世に知らせる目的で設立されました。

COSS企業は基本的に、関連するオープンコアOSSプロジェクトの存在によってその存在が定義されています。例を挙げれば、ClouderaやDatabricksはHadoopなしでは存在しませんし、GitLab/GitHubはGitなしでは、HashiCorpはVagrantと他のいくつかのオープンコアプロジェクトなしでは、いずれも存在しないのです。

私たちはいくつかの考え方を信じています — ほとんどの企業はハイテク企業になるということ。最高のテクノロジ企業は、基本的には、高度に熟達したソフトウェア企業であるということ。最高のソフトウェア企業は、基本的には、オープンソースをその大きな基盤としているということ。その上で私たちは、次に誕生する数兆億ドル企業はCOSS企業である、と信じています。この変化の持つ意味は極めて大きなものです。クラウドコンピューティングよりも世界を大きく、永遠に変えるのです。

InfoQ: ソフトウェアモデルとビジネスモデルの共進化について、読者に説明して頂けますか?何年も前から、商用ソフトウェア、フリーソフトウェア、オープンソースといったライセンスがありました。商用については、サポートとサービス、オープンコア、SaaSといったものもあります。

Jacks: 以前OSS Capitalブログで公開した"COSS Business Model Progressions"という記事では、サービスやサポート、パッケージング、ディストリビューション、*・アズ・ア・サービスなど、さまざまな種類のCOSS企業による収益化実現の方法に関して、その進化のダイナミクスを調査しました。

時間が経つにつれて、ビジネスモデルが大きく進化するのではないかと思っています。ライセンスモデルはビジネスモデルに直交します。

InfoQ: パブリッククラウドでホストされているポピュラーなデータベース製品など関連して見られるような、最近のオープンソースライセンスの変更については、どのように思いますか?

Jacks: 核心論としては、開発者がA2.0やMIT、GPLv3といった、非常に寛容なオープンソースのライセンシングを受け入れるべきだ、と私たちは強く信じています -- COSSIでは、40以上のCOSS企業が実装ないし採用しているコアライセンス実装の多くを紹介しています。さらなる情報を望む読者のために、先日のSoftware Engineering Dailyポッドキャストでは、私の個人的な意見について広く話しました。

OSS Capitalにおいて私が大いに尊敬するパートナのひとりであるHeather Meeker氏は、20年以上前からCOSSライセンスに携わっていた実績から、このようなライセンスの進化の真っ只中にありました。ただし、Heatherの私法実務のクライアントは一定の制約を求めているので、弁護士としての彼女はクライアントに必要なサービスを提供しているのはもちろんです。

今後、新たなニュースの発信源になると期待している、最近のエキサイティングなプロジェクトのひとつが、Heatherが先頭に立っているPolyFormプロジェクトです — https://oss.capital/blog/polyform-and-open-core

InfoQ: オープンコアあるいはオープンソースソフトウェアをベースにビジネスを始めたいと考えている人にとって、最大の課題は何でしょうか?そのような人たちに、どのようなアドバイスをしますか?

Jacks: 可能な限り最大レベルの価値を創造することに焦点を合わせてください。その価値のごく一部を、自分のものにするのです。

そうです。できる限り多くの価値を獲得する、という従来の思想に比べると、極めて直感に反しています。しかしながら、結局COSSが表現しているのは、ある意味において革新的な資本主義なのです。私はこれを、"独占的資本主義(monopolistic capitalism)"に対峙するものとして、"実力本位的資本主義(meritocratic capitalism)"と呼んでいます。これは非常に微妙な違いですので、将来的には展開して書物にしたいと思っています :-)

この件に関する詳細は、ブログ記事"COSS Company Value Creation and Capture Fundamentals"を参照してください。

InfoQ: 今回のイベントには、どのような参加者を期待していますか?最大あるいは最も明確なテイクアウトとしては、どのようなことを希望しますか?

Jacks: 企業や投資家、創業者、OSSメンテナ、COSS創始者、アナリスト、エグゼクティブといった人たちの参加を期待しています。

OCSの目標は、これらすべての参加者を集めて、飛び抜けて刺激的なCOSSカテゴリのベストプラクティスとイノベーションを共有し、学習し、コラボレーションし、コンセンサスを構築することです!

Open Core Summitの詳細については、イベントのWebサイトを参照してほしい。

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