Syntiant NDPは、TensorFlowニューラルネットワーク実行に特化したカスタムビルドチップだ。Alexa対応デバイスを含む、さまざまな音声およびオーディオ対応デバイスに組み込むことができる。
Syntiant NDP(Neural Decision Processors)は、その消費電力の少なさから、バッテリを消耗せずに起動ワードを継続的に待機するような省電力型バッテリデバイスに特に適していると、AIチップのスタートアップであるSyntiantは説明している。
Syntiant NDP100とNDP101は先日、Amazonによる認証を取得した。認証を取得したことで、Syntiant NDPには、イヤーパッドやBluetoothヘッドセット、あるいはIoTセンサといった、電力制限の厳しいAlexa対応デバイスに採用される可能性が開かれたことになる。ただしSyntiant NDPの使用は、Alexaデバイスのみに限定されるものではない。
デバイス仕様によると、同チップは、最大64語のワードをわずか150マイクロワットの消費電力で認識する能力を持っている。チップメーカによるとこれは、既存のチップに対して200倍の改善に相当する。最大3秒間の音声を記憶可能なメモリバッファも備えているので、チップがビジー状態であっても起動ワードが発せられたことを検出して、情報が失われないようにすることができる。起動ワードが検出されると、Syntiant NDDPは通常、搭載されたシステムに割り込みを送信する。この割り込みによって、受信したコマンドがチップから取得される。
前述のようにSyntiant NDPは、その推論機能のベースとしてTensorFlowモデルを使用している。モデルはクラウド上でトレーニングされ、結果として得られたニューラルネットワーク係数がチップに直接プログラムされる。実際にSyntiantチップのメリットのひとつとして同社CEOのKurt Busch氏が挙げるのは、TensorFlowモデルからチップのファームウェアに移行する上で、中間的なコンパイル処理や変換を一切必要としていないことだ。
Syntiant NDP100とNDP101は、AmazonがAlexaでの使用を認証した最初のチップではない。最後の6月には、Alexa Voice Serviceに接続する音声起動ヘッドセットの開発キットを、Knowlesが発表している。その他にも、Aspinity Reconfigurable Analog Modular Processor(RAMP)やCEVA WhisProなどのメーカが、低消費電力で起動ワードを検出可能なプロダクトを発表している。SyntiantとCEVAはいずれもニューラルネットワークを用いて音声認識を実現しているが、Aspinity RAMPは、マイクロフォンで捕捉された音声をアナログ解析するという、他とはまったく異なるアプローチを採用している。