先日のブログ記事で、MicrosoftはMicrosoft Sustainability Calculatorを発表した。Azureの利用に関連する二酸化炭素排出量(carbon emissions)を測定するためのPower BIアプリケーションだ。このツールの目標は、クラウド利用による温室効果ガスへの影響度(carbon impact)を計測する責任のあるユーザに対して、二酸化炭素排出量を削減するための洞察を提供することにある。ツールはさらに、Azureとオンプレミスの二酸化炭素量の比較を提供することで、コスト低減の方法も明らかにする。
Microsoftは先頃、自社の二酸化炭素排出量削減のコミットメントを発表したが、ユーザやパートナにより多くのチャンスを提供することで、さらに大きな影響を達成することが可能だと考えている。同社でクラウドオペレーションとイノベーションを担当するバイスプレジデントのNoelle Walsh氏は、次のように説明する。
10年以上にわたってMicrosoftは、環境への影響の低減に対する投資とともに、クラウドサービスを通じた世界中の企業のディジタルトランスフォーメーションを支援し続けてきました。当社は自らのコミットメントの透明化に努めており、その証拠のひとつが、2025年までにMicrosoftのクラウドデータセンタを100%再生可能エネルギ化する、という発表です。企業としてのコミットメントと投資は、当社の環境への影響を低減する重要なステップには違いありません。ですが、ユーザやパートナに対して、サステナビリティの目標を達成する機会を提供することによるポシティブな変化の重要性は、それにも増して重要であるとも認識しています。
Microsoft Sustainability Calculatorは、2018年に公開された調査資料" The Carbon Benefits of Cloud Computing: a Study of the Microsoft Cloud"に基いている。この資料は、代表的な環境検証機関であるApexによる第三者検証を受けている。このツールは、Azureサービスのエネルギ要件、ホスティングデータセンタにサービスを提供する送電網のエネルギミックス、Microsoftのデータセンタが使用する再生可能エネルギ量などを入力とする。インターネット上のデータ転送に関する排出量も考慮されている。計算の出力は、温室効果ガス(GHG)排出量の推定値で、総炭素換算トン(MTCO2e)で表される。計算結果には、MicrosoftによるAzureおよびオンプレミスのデータセンタでのワークロードの運用効率も加味されている。すでに再生可能エネルギを使用してデータセンタに電力供給しているユーザに対しては、このシナリオを考慮する。
Sustainability Calculatorの一部として、Microsoftは、同社のエネルギソースと使用する再生可能エネルギの種類に関するマップを提供することで、再生可能エネルギの供給源に関する洞察も提供する。このマップで提供される情報は、Azureサービスを使用するリージョンの再生可能エネルギプロジェクトについて知る機会にもなる。
イメージ引用: https://appsource.microsoft.com/en-us/product/power-bi/coi-sustainability.sustainability_dashboard
Sustainability Calculatorの発表と同じ日に、Microsoftは、2030年までにカーボンネガティブを達成するという同社のコミットメントも発表した。発表の中で、同社CEOのSatya Nadella氏は、二酸化炭素排出量の削減が重要である理由について、次のように説明した。
今日の世界が二酸化炭素危機に瀕しているという点について、科学的なコンセンサスは明らかです。私たちMicrosoftは本日、2030年までにカーボンネガティブを達成することを約束します。直接的な排出だけではありません。サプライチェーン全体にわたってこれを達成します。私たち自身のテクノロジと企業の二酸化炭素排出量に対して責任を負わなければならないのは当然ですが、そこに留まるつもりはありません。1975年の創立以来、当社が直接、および電力消費によって排出した二酸化炭素を、2050年までに環境からすべて取り除きたいと考えています。
Sustainability Calculatorをダウンロードしたいユーザは、AppSourceから入手が可能である。