Googleは最近のブログ記事で、エンタープライズグレードのサポートおよびマネージドサービスを含んだクラウドベースのTensorFlow機械学習サービス、TensorFlow Enterpriseを発表した。
TensorFlowは、機械学習、ディープラーニング、その他統計・予測解析のためのオープンソースのAIフレームワークだ。Googleは今回、自身のクラウドサービス上で、エンタープライズグレードのサポート、マネージドサービス、スケーラビリティを含むエンタープライズバージョンのベータ版を立ち上げた。
エンタープライズサポートに関して、Cloud AIプラットフォームのプロダクトマネジメント担当ディレクターCraig Wiley氏は次のように述べている。
AIの進歩とソフトウェアのバージョンアップのペースは急速に進んでいます。ただし、旧バージョンの TensorFlow に多額の投資を行ってきたお客様も少なくありません。そのためTensorFlow Enterpriseでは、長期的なバージョンサポートを提供しています。特定のバージョンのTensorFlowについては、最長3年間にわたりセキュリティパッチと重要度の高いバグ修正を提供します。このようなバージョンはGoogle Cloudでサポートをし、また、すべてのパッチとバグ修正についてはメインラインのTensorFlowコードリポジトリから入手できます。
Wiley氏の言葉に加えて、Constellation Research Inc.のプリンシパルアナリストでバイスプレジデントのHolger Mueller氏は、InfoQに次のように語った。
スケーラブルなビジネスメリットを得るため、企業は自身のAIソリューションのプラットフォーム安定性を求めています。最長3年間のサポートにより、Googleはその要求に応え、AIプラットフォームにおけるTensorflowのリードをさらに強固にします。
パブリッククラウドプロバイダーはTensorFlow Enterpriseを、データサイエンティストによる機械学習およびディープラーニングモデル作成の加速を手助けするサービスとして位置付けている。加えてTensorFlow Enterpriseには、Deep Learning VMs (GA)とDeep Learning Containers (Beta)が含まれており、これらモデルをGoogle Cloudで大規模にテスト・実行することができる。どちらのプロダクトも互換性をテスト済みで、Googleの各種NVIDIA GPUおよびカスタム設計したAIプロセッサ、Cloud TPU向けにパフォーマンス最適化されている。
Unity Technologies社マネタイズ部門エンジニアリング担当バイスプレジデントのJeff Collins氏は発表でこう語っている。
Google CloudのTensorFlow Enterpriseが持つ能力を活用することで、当社の機械学習モデルの大規模なテスト、構築、スケーリングを迅速に実施できます。これにより、最も関連性の高い広告の配信が可能になり、ゲームデベロッパーの収益増加につながります。
スケーラビリティに加えて、TensorFlow EnterpriseはGoogle Kubernetes Engine (GKE)やGoogle AI Platformを含む、Google Cloudのマネージドサービスへのアクセスも提供する。さらに、Wiley氏は次のように述べている。
開発段階や開発環境を問わず、Google CloudはTensorFlow上でエンドツーエンドのワークフローを提供します。
TensorFlow Enterpriseは利用可能になっており、顧客はコードラボを通してサービスを試すか、ハウツーガイドを利用することができる。サービス自体の詳細についてはドキュメントを参照してほしい。
最後に、TensorFlow Enterpriseには、エンジニアツーエンジニアのサポートを含むいわゆるホワイトグローブサービスや、AI PlatformやKubernetes Engineといった他のGoogle Cloudマネージドサービスとの連携の保証も提供される。ホワイトグローブサービスを除いて、TensorFlow Enterpriseは無料で利用できる。