Netflixは、同社の危機管理オーケストレーションフレームワークであるDispatchのリリースを発表した。Dispatchは、JiraやPagerDuty、Slackといった既存ツールを統合し、危機管理プロセスを合理化したもので、他ツールのサポートを追加するための統合エンドポイントも備える。
Dispatchは、元々はNetflixが、同社のさまざまなツールを集めて、インシデント発生時のワークフローを簡略化するために統合したものだ。シニアセキュリティマネージャのKevin Glisson氏によると、
インシデントの報告を可能な限りスムーズにすることで、緊急時に必要なリソースを確保するための明確な手順をユーザに提供したいのです。
Netflixが主張するDispatchの大きなメリットのひとつは、インシデント対応者(incident commander)が実行しなければならない手作業操作の削減である。インシデント発生時には、問題解決を主導する担当者としてインシデント対応者が指名される。Dispatchは、多数のツールを統合することによって、すべての関係者によるリソースアクセスを管理し、データストリームの関連付けを支援する。
Dispatchは、GSuite(Docs、Drive、Sheets、Calendar、Groups)、Jira、PagerDuty、Slackなど、多数のツールの統合をサポートしている。これらはいずれもNetflixで使用されているツールだが、さらにDispatchには、プラグインフレームワーク経由で他のインテグレーションを追加する機能が備えられている。
teams用のエントリポイントも用意されており、適切なチームに対してインシデントの報告と参加要請を行うことができる。作成されたインシデント報告は、https://<your-dispatch-domain>/incidents/report
に配置される。インシデントレポートが作成されると、Dispatchは、システムに現在統合されているすべてのリソースに対するリンクとアクセスを提供する。
インシデントレポートが作成されると、Dispatchは、関係者をインシデント専用のSlackチャネルに参加させる。参加する関係者が誰であるかは、Dispatch Admin UIで設定されたルールに基づいて決定される。ルールにはインシデントのタイプや緊急性、説明をベースにした関係者の招集を設定することができる。新たに参加したすべての関係者には、インシデント対応者が誰であるかを含む、インシデントの簡潔なサマリが提供される。
Dispatchは通知機能も備えており、インシデントの認識が組織内の必要な人たちに対して確実に伝わるように支援する。通知は一定周期で送信することも可能で、インシデント対応者が同じような操作をしなくても済むようにしてくれる。さらに通知には、受信者自身がインシデント対応に参加するためのリンクも提供されている。
DispatchはPython 3.8で、FastAPI、VueJS UI、Postgresを使って開発された。インストールと運用にはDockerの使用が推奨されている。入手はNetflix Open Sourceサイトから可能で、セットアップとコンフィギュレーションに関する詳細なインストラクションも提供されている。