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リモートワークの普及とビジネス継続性の実現

原文(投稿日:2020/03/02)へのリンク

Buffer and AngelListは先頃、"2020年のリモートワークの現状と今後の方向に関する全貌を明らかにする"ために、"世界中の3,500人を越えるリモートワーカ"を調査した、2020 State of Remote Workレポートを公開した。この調査は、世界的なCOVID-19の蔓延に対して、ビジネス継続性を提供するために中国のテクノロジ企業の間で唐突に発生したリモートワークの急増を調査したWall Street Journalのレポートと同時期に行われたものだ。

2020 Remote Workレポートは、リモートワークはニューノーマル(新常態)である、という主張の下で、仕事の未来は"世界中のチームメートと共に自宅からリモートで働く自由度を持った人々"のものである、と述べている。

"リモートワークが普及するかどうか"はもはや問題ではありません。リモートワークはすでに新たな常態となったようです。

中国におけるリモートワークの突然の増加を論じるWall Street Journalは、"コロナウィルスの大流行が仮想ミーティングや作業プラットフォームの利用の急増に拍車を掛けた"と報告している。同じ記事では、北京を本拠とするAI企業InfervisionのCEOであるKuan Chen氏の、リモートワークによって"生産性が向上"する"場合もある"という発言を紹介している。

Financial Timesも先日、リモートワークがそれまでの技術セクションによる"試験的少数派"から脱し、先進企業で大規模に運用される常態になったと報告している。中国でCOVUD-19ウィルスの産業への影響がリモートワークの採用を余儀なくさせたのは、Twitterなどの企業が世界規模のタレント層にアクセスするために行った戦略的な動機とは対照的なものだ。ウィルスがリモートワークとリモートコラボレーションツールの採用を"オフィスワーカに強いて"いる、と同紙は伝えている。

State of Remote Workレポートに話を戻すと、リモートワークによるメリットのトップ2は、いずれも場所と時間を選ばずに仕事ができる優れた柔軟性に関連がある、とされている。僅差で続くのは、パーソナルライフに関連する別の動機である。

リモートワークの最大のメリットは何だと思いますか?

State of Remote Workレポートによると、

リモートワークのおもなメリットは、過去3年間のレポートと変わっていません — 柔軟性です!

Alibaba CEOのDaniel Zhang氏は先日、Alibaba Groupの四半期収益報告を通じて、リモートコラボレーションを使用したリモートワークモデルへの移行による従業員のリスク低減について報告している。

当社は、柔軟な作業ポリシと独自のテクノロジを用いたリモートオフィスコラボレーションを通じて、社員の健康と安全の確保のために最大限の努力をしています。

State of Remote Workレポートからは、回答者のサンプル中、30パーセントがすでにフルリモートの企業、43パーセントが"一部のチームはフルリモート、他の一部は同じオフィス"という企業で従事していることが明らかになっている。

Financial Timesは、世界中の才能ある作業者へのアクセスをメリットとしてあげる、別のテクノロジ企業の例を紹介している。同紙の報告によると、StripeのCTOであるDavid Singleton氏はブログ記事で、オンサイトロケーションと同規模の"リモートエンジニアリングハブ"を設立すると発表した。

ブログでのSingleton氏の言によると、同社には"高い影響力を持ったリモートの従業員"が創業時から存在していたが、これまでは地域別のハブで報告されていた。これまではリモート優先のハブで仕事をしていたチームが、最新のツールが提供する広帯域幅のコミュニケーションを使うことでコラボレーション可能になる、と氏は言う。

"EメールでWordドキュメントをやり取りするよりも、実はホワイトボードに書いた方が帯域幅が広い、という時代もありました。ありがたいことに今では、Google Docs、Slack、git、Zoomといったツールが、創造的な作業のための広帯域幅の同期的コラボレーションを提供してくれます。このようなツールを使ったエクスペリエンスは極めて良好で、障害が起きない限り気がつくこともありません。ホワイトボードではなくプルリクエストを通じてコードを書くので、レビュアは同じPRにアクセスできなければなりません。同じホワイトボードへのアクセスはまったくのオプションです。"

Wall Street Journalのレポートも同じように、現在の健康被害を理由とした、AlibabaのDingTalkのようなコラボレーションツールに対する昨今の人気の高まりについて述べている。前述の四半期報告書の中でZhang氏は、業務継続のためにDingTalkを使用する"企業ユーザの数と、そのDAU(Daily Average Users)が指数級数的な伸びを見せている"と報告している。

State of Remote Workレポートでは、MistroのCEOでリモートワークの専門家であるSarah Ahmad氏の言を借りて、リモートワーカの個人的なコストやインフラへのニーズが"混乱"によって不十分なものになっている点を論じている。回答者の70パーセントが、会社がリモートワークに関連するコストをカバーしてくれないと報告している。そのようなリモートワーカたちに対する氏のアドバイスは、自身のニーズを伝える、ということだ。大部分の雇用者は、単にスタッフの最高のパフォーマンスを支援するために"必要な状況情報を持っていない"だけなのだ、と氏は示唆する。Ahmod氏は次のように言ったという。

企業の多くは、リモートワーカを支援する意思を持ってはいても、何を提供して、どのようなリモート特有のポリシを運用すればよいのか、確信を持てていないのです ... 高速インターネット、機器、共同作業スペース — これらは生産性とエンゲージメントを持った環境を作り出してくれます — のような単純なメリットでさえ、実現するのは困難です。

 

リモートで働く人たちが直面する問題点の調査結果から、State of Remote Workレポートが明らかにしたのは、否定的なエクスペリエンスの58パーセントがコラボレーションの難しさ、孤立、そして"プラグを抜けないこと"にある、ということだ。

リモートワークを行う上で、一番の苦労は何ですか?

リモートワーカが実際に作業を行う場所に関する調査からは、80パーセントが自宅で作業していることが分かった。それと同時に、リモート作業するプロフェッショナルの間では、作業場所を時々移動してバラエティを持たせるのが一般的な行為であることも明らかになった。 さらに、リモートの専門家が時々他の場所から作業することで多様性を追加することは、ごく一般的であることも確認された:

リモートワーカは基本的に自宅(80パーセントがおもな作業場所であると回答している)で作業しますが、その一方で、程度はさまざまながら、時には他の場所でも作業しているようです。コーヒーショップをおもな作業場所とする回答者は3パーセントに過ぎませんが、27パーセントは第2の作業場所としてコーヒーショップを利用しています。 

Singleton氏はさらに別のプロダクトレベルとして、世界規模で分散したリモートチームによるメリットにも言及している。氏が指摘するのは、このような作業方法によって、グローバル市場のユーザに対する共感(empathy)を高めることができるという点だ。

リモートワーカはユーザの近くにいます。これは優れたプロダクトを開発する上で重要なことです。彼らはみな、自分たちの住む都市のリズムに深く組み込まれています。ボデガ(bodega)やコンビニ、ダルシニ(darshini)で人々が買う食品が違うことを、彼らは知っています。低速で低信頼性のインターネットコネクションに出くわした時の堅牢性がエンジニアにとって重要であることを知っているのです。

State of Remote Workでは、リモートワーカが最もハッピーなのは"76パーセント以上の時間をリモートワークで行う"場合であることも明らかにしている。リモートワークにはさまざまなスタイルがあるが、現在リモート作業している人たちがそれを続けたいと望んでいることも示唆している。レポートによると、

どの年の調査でも明確な統計がひとつあります。それは、リモートワーカのほぼ全員が、自身の今後のキャリアとして(少なくとも当分の間は)リモートでの作業を続けたいと思っている、ということです。

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