先週、第2回の.NET Conf:Focusが開催された。今回の中心はXamarinだ。Xamarinは、モバイルアプリ開発を特に対象としたツールやライブラリによって、.NETプラットフォームを拡張する。Focusカンファレンスは無料で参加可能な丸一日のライブストリームイベントで、コミュニティや.NETプロダクトチームから講演者が登壇する。第1回は今年1月、Blazorをテーマに実施された。
Foucsシリーズは元々.NET Confから分岐したものだ。.NET Confは.NETコミュニティとMicrosoftが立ち上げた年次のカンファレンスで、.NETプラットフォームに関する最新の開発を紹介する場となっている。2019年の.NET Confは3日間のイベントとして開催され、.NET Core、ASP.NET、EF Core 3.0に加えて、C# 8.0とF# 4.7がMicrosoftから公式にリリースされた。これに対してFocusイベントは、.NETに関連する特定のテクノロジを対象として、.NET開発者を対象とした詳細なハンズオン・セッションのシリーズが提供される。
.NET Conf:Xamarinは、今年最大のXamarinのディジタルイベントとなった。カンファレンスは、Xamarinおよびモバイル開発に関する最新の開発成果の概要紹介で始まった。この中では、Microsoftの開発者ツール製品のCVPであるAmanda Silver氏が、Xamarinと、そのVisual Studioとの関連性について講演した。特に強調されたのは、パフォーマンス、生産性、そして最新モバイル開発のサポートだ。Xamarinのインストールサイズが23GB(Visual Studio 2017)から6GB(Visual Studio 2019)に削減され、インストール時間と起動時間が短縮された。XAMLのホットリロード、ホットリスタート(デバッグとテストを高速化するための機能)、IntelliCode(スマートコーディングアシスタンス)についても説明があった。
基調講演では、Microsoftでモバイル開発ツールのプログラムマネージャを務めるDavid Ortinau、Moddy Leger両氏による、Xamarin開発の概要紹介も行われ、Xamarinアプリケーションのアーキテクチャや、以降のカンファレンスで詳細に取り上げる予定のトピックの概要が、Xamarin Formsの機能とAPIを中心に説明された。しかしながら、AndroidプロジェクトをXamarinにマイグレーションするツールであるAndroid Migratorのプレビュー版リリースについては、興味深いトピックであったにも関わらず、カンファレンスのセッションでは取り上げられていなかった。
セッションは比較的短時間(30分程度)で、主体は基調講演でも強調されていたパフォーマンスや生産性に関するものだったが、その他にも、Azureサービスを使ったモバイルアプリのバックエンド開発、デュアルスクリーンエクスペリエンスの開発、モバイルアプリケーションのテスト、Reactive Extensionsの利用、などの話題が取り上げられていた。特に、ASP.NET開発者を対象としたあるセッションでは、機能実装の横並び(side-by-side)比較を行うモバイルアプリケーション開発の導入についての解説があった。
今回のカンファレンスで注目されたのは、最近のXamarinの開発はVisual Studioを統合開発プラットフォームとして確立しようとするMicrosoftの方針に沿ったものである、ということだ。同じように.NET 5も、デスクトップ、Web、クラウド、モバイル、ゲーム、IoT、AIなどのアプリケーションのための統合プラットフォームとして発表されている。
次回のFocusイベントは6月(予定)、Microsoft Buildの後で開始される。.NET Confと.NET Conf:Focusの全録画が、MSDN Channel 9の企画プレイリストで公開されている。