DXC Technologyは先頃、同社のDecOps Dojoをオープンソースとして公開した。これは、DevOpsの技術面と文化面の両方をカバーする、学習モジュールのコレクションだ。それぞれのモジュールはKatacodaプラットフォーム上に構築され、GitHubにホストされている。
最初のモジュールではバージョン管理、継続的インテグレーション、セキュリティのシフトレフト(shifting left)を取り上げている。各モジュールでは架空のペットクリニックを使用し、多数のキャラクタを使ったストーリーテリングを学習メカニズムとして活用することで、インタラクティブなステップバイステップのインストラクションを基本としたエクスペリエンスを提供する。一方で、台本から外れた探索をすることで、さらに学習を進めることも可能な構成になっている。
InfoQは今回、DXC TechnologyのDistinguished TechnologistであるOlivier Jacques氏と席を共にして、プロジェクトの詳細を聞くことができた。
InfoQ: このdojo(道場)を作ったきっかけは何でしたか?
Oliver Jacques: 2014年頃、私たちはIT組織のトランスフォーメーションの真っ只中で、DevOpsを大きな進展を得る手段として期待していました。多くの人たちと同じように、私たちも最初は、当初から移行したいと思っていた簡単な社内アプリケーションからスタートしました。その中には、1時間のダウンが数百万ドルの利益喪失につながるような、ビジネスクリティカルなものもありました。
そこですぐに、これらのアプリケーションを開発しているチームのメンバを再教育する必要がある、ということを理解したのです。必要なのはトレーニングだけではありません。DevOpsの実践コーチによるDevOps移行のサポートも必要でした。そのために私たちは、小規模なDevOps実現チームを結成しました。
それから数か月が経ち、私が2015年のDevOps Enterprise Summtカンファレンスに参加した際、私たちのDevOps移行経験について講演するように誘われました。この時、小売業のTargetのHeather Mickman、Ross Clanton両氏から、DevOps Dojoの話を聞いたのです。その後、私たちは連携し、自分たちで独自のDevOps Dojoを作ることになりました。最初のバージョンは完全な対面形式のトランスフォーメーション・エクスペリエンスでしたが、もっと多くの人々やユーザを対象とするように、スケールアップが必要であると分かりました。ここから、今回のオンラインアドオンをDevOps Dojoに作ることになったのです。
ですが、単純で退屈なウェビナー(webinar)にはしたくありませんでした。学習者をガイドするだけでなく、台本にないことを試すこともできる、大きな自由度も提供したかったのです。Webブラウザから直接アクセスできるハンズオンラボ(hands-on lab)を作成可能なものとして、Katacodaプラットフォームを選択しました。モジュールのコンテンツは、Accelerateに基づいたものを主体としました。この書籍では、プラクティスを科学的な視点からビジネス成果に結び付けています。
InfoQ: モジュールは"人々の学習方法に関する調査結果を参考にしている"、という説明がありましたが、その調査について、詳しく説明して頂けますか?
Jacques: 教育が非常に重要なトピックであることは明らかで、常に進化しています。最近では、外出禁止や隔離といった制約が、教育システムを根本から覆してしまいました。今回の構造的転換と"How People Learn"のような古典的な研究を組み合わせた時に、DevOpsプラクティスを学ぶ上で極めて興味深い方法に思い至ったのです。
オンラインラーニングは今や必須です。オンラインの技術をすべて積極的に受け入れ、精通する必要があります。ビデオやクイズだけではなく、ハンズオンラブ(hands on lab)なども使って自分のペースで学ぶのです。行き詰った時はリモートのコーチングセッションも必要です。
人々を今の場所、今のストーリから、あるべき次の場所やストーリに進めたいと、私たちも願っています。多くの場合、何かを学ぶためには、それまでの理解を変えなくてはなりません。役割ごとのキャラクタを使ったストーリテリングのテクニックを取り入れたのはそのためです —
InfoQ: これをDevOpsトランスフォーメーションに取り入れている人たちについては、どう思われますか?
Jacques: Onlie DevOps Dojosは、主要なDevOpsパターンが実際に機能する様子を理解する上で、非常に興味深いものです。23,000人のDXC社員だけではなく、当社の顧客やパートナも、このOnline DevOps Dojoを活用しています。トレーニングモジュールに従って実践する中で、気付きの瞬間("a-ha" moment)を体験した人たちから、たくさんのフィードバックが寄せられています。
Onlie DevOps Dojoを取り入れう方法はたくさんあります。これまで担当した業務では学ぶことのなかったテクニックを学ぶためや、あるいは学校を卒業したばかりであれば、モジュールを一通り試すという方法があります。トレーニングはオープンソースなので、自分たちの実際のツールチェーンにあったツールを使うように、モジュールを変えるという方法も考えられます。
InfoQ: 最初に5つのモジュールを選んだ理由は何ですか?
Jacques: この5つは、実はすでに作成している16モジュールのサブセットなのです。コレクションの中の約半分は文化的なモジュールで、残りの半分は、原則をGitHubやJenkins、Artifactoryといったツールによる実践に移すことを重視しています。ストーリとチーム、それらのパイプラインを導入することを目的として、最初のモジュールを選択しました。私たちがこれらか構築するもののコアであり、より大きなストーリの第1章になるものです。
InfoQ: 将来的に、モジュールを追加する予定はありますか?ロードマップはどのようになっているのでしょう?
Jacques: インナーソースモデルを使って開発したモジュールがいくつかあるので、今後数ヶ月の内にリリースできるかも知れません。次に何をリリースするかについては、コミュニティからのフィードバックも参考にしています。
ですが、Online DevOps Dojoプロジェクトは、単に開発済のマテリアルをリリースするだけのものではありません。DevOpsプラクティスに関連したモジュールを開発するコミュニティの構築も目標なのです。このプロジェクトはソフトウェア産業にとって本当に役立つことができると、私たちは信じています。
ですから、この機会を借りてみなさんの参加と、オープンソースプラクティスを活用したコンテンツ開発の支援をお願いしたいと思っています。