IoT SiteWiseは、プラントフロアで発生するデータの処理、構造化、マーキング、監視用メトリクスのリアルタイム生成を自動化する、AWSの完全マネージドサービスである。オンプレミスの産業機器を、オンプレミスのサーバをリンクするゲートウェイ経由でAWSクラウドに接続することにより、クラウド上でデータの蓄積と解析を行う手段をカスタマに提供する。
Amazonはre: Invent 2018で、AWS IoT SiteWiseをプレビュー版として公開した。さらに翌年のre: Invent 2019では、SiteWise Monitorなどいくつかの新機能を追加発表している。そして今回、同サービスの一般供与の開始が発表されることになった。
出典: https://aws.amazon.com/iot-sitewise/
SiteWiseを使えば、収集したデータにコンテキストを加えることにより、カスタマ自身の製造機器やプロセス、サービスをモデル化することができる。その上で、数学や統計演算の組み込みライブラリを使用して、生産プラントの総合設備効率(OEE)など、業界標準のパフォーマンス指標を定義することが可能になる。カスタマの環境モデルが完成し、データがAWS内で処理されるようになれば、カスタマの定義したインターバルで、サービスがメトリクスの自動計算を行ってくれる。データとメトリクスは、タイムスタンプ付きデータを少ない遅延で保存および取得可能なように設計された、時系列データベース内に保管される。そして最終的に、
- SiteWiseコンソールから、エンドユーザデバイス間のKPIを視覚化するカスタムWebアプリを、コーディングレスで作成することができる
- MQ Telemetory Transport(MQTT)メッセージあるいは独自のアプリケーションプログラミングインターフェース(API)経由で、最新の業界アプリケーションからデータを収集するためのインターフェースを提供する
AWS IoT SiteWiseに関するAmazonのプレスリリースでは、AWSのIoT担当VPであるDirk Didascalou氏が、次のように述べている。
SiteWiseを使うことで、製造業のカスタマがAWSのパワーを使って、自身の産業機器のデータ収集、組織化、監視を大規模に展開できるようになります。カスタマがデータ収集から踏み出して、すべての産業機器の可視化と監視を実現することにより、運用の最適化という本来の業務に集中することが可能になるのです。
Constellation Research Inc.のアナリストであるHolgen Mueller氏は言う。
IoTは次世代アプリケーションの重要なユースケースのひとつですが、その要件と要求の多様性は現在の標準的なソフトウェアが達成できるレベルを越えており、企業は独自にシステムを社内構築する必要性に迫られています。しかしそれは、コンポーネントやプラットフォームがIoTアプリ構築において大きなメリットがあるという意味ではありません。このような状況の開発チームを支援するひとつの例が、IoTアプリをデータ管理面からサポートするAWS IoT SiteWiseなのです。これによって開発者は、"配管作業"に煩わされずに機能実装に集中できるようになり、結果として開発速度が向上するのです。
AWS SiteWiseは現在、US East(北バージニア)、US West(オレゴン)、Europe(フランクフルト)、Europe(アイルランド)で提供されている。カスタマは使用分のみを支払えばよく、最小料金や最小利用量といった拘束はない。メッセージ、データストレージ、データ処理、SiteWise Monitorそれぞれの使用量に対して別途に課金されるため、注意が必要だ。AWS IoT SiteWiseの料金に関する詳細は、価格のページに紹介されている。さらに、AWS IoT SiteWiseのGAに関するブログ記事によると、チュートリアルや開発者ガイドといった教材も用意されているということだ。