Microsoft Edgeエクステンションチームでシニアプログラムマネージャを務めるPratyusha Avadhanula氏は先頃、新たなエクステンション送付プロセスについて開発者に説明を行った。Avadhanula氏はMicrosoft Build 2020での講演の中で、登録プロセス、Chromium APIと新しいMicrosoft Edge APIの間の差異、将来的なロードマップについて説明した。Edgeユーザは既存のChromeエクステンションを追加インストール可能だが、いくつかの注意点がある。
開発者は、Edge Add-onsプログラムに登録すれば、新設されたMicrosoft Add-ons Store(ベータ版)にエクステンションを送付できるようになる。現在のこの手順では、提供したEメールがOutlook/live/Hotmailアカウントに対応している必要があるので、新たなMicrosoft製品の使用が必要になる場合がある。ただし、登録自体は無償で行うことができる。Chromeエクステンションストアでは、Googleのアドレスは必須ではないが、ワンタイム開発者登録費用が必要(本記事公開時点では5米ドル)な場合がある。
エクステンションは個人開発者でも、企業でも送付が可能だが、それぞれ違う審査プロセスがある。Edge Add-onsプログラムに登録する開発者は、住所や電話番号といった個人情報を提供しなければならない。
エクステンションを登録する際には、そのエクステンションを公開するマーケット(リージョン)を選択することができる。これは、そのエクステンションが一部の地域では合法でないような場合に対応するためのものだ。開発者はWebサイト、サポートコンテンツ、年齢評価の詳細を提出する必要がある、とAvadhanula氏は強調した。開発者が自身のエクステンションを確実に見つけてもらうためには、エクステンションに関連性のある検索項目を提供するように、特に注意を払う必要がある。
エクステンションが提出されると、審査プロセスが実行される。この審査プロセスの公式なSLAは7営業日であるが、最速の場合は1日で終了することもある。エクステンションが広いパーミッションを要求する場合は、審査チームによる精査も増えるため、審査時間が長くなる可能性がある、とAvadhanula氏は警告している。正当な理由なく広範なパーミッションを要求した場合には、審査で却下されることもある。例えば、プライバシポリシが提供されずにユーザデータにアクセスするエクステンションは、審査をパスしない。
Chromiumエクステンションの大部分は、新たなMicrosoft Edgeストアと互換性がある。ただし、Google特有のAPIの一部については、新しいMicrosoft Edgeではサポートされていない (Google Cloud Messagingサービスに関連するchrome.gcmや、chrome.identity.getAccounts
など)。
ただしEdgeブラウザでは、Chromeエクステンションを初めてインストールしようとするユーザに対して、Edge add-ons WebサイトでMicrosoftの推奨するエクステンションを確認するように促す警告をする。
一方でGoogleも、ChromeエクステンションをMicrosoft Edgeにインストールしないよう、簡単な警告を行っている。この警告は、他のChromiumブラウザでは報告されていない。
ロードマップと将来機能に関して、Avadhanula氏は、業務用アカウントによる開発者の登録、ユーザアカウントのグループ管理、Analytics、エクステンション送付用APIなどを検討中であると述べている。Microsoftはさらに、有償のエクステンションやエクステンションのプロモートといったオプションも計画中である。
講演の全容はオンラインで公開されており、この記事では取り上げなかった詳細にも数多く触れている。