先日のプレスリリースでOracleは、Oracle Autonomous DatabaseやCloud Applicationを含む同社のパブリッククラウドサービスを、カスタマのデータセンタにフルスタックで提供する、完全マネージドな専用クラウドリージョンを発表した。リージョンにはOracleの第2世代クラウドサービスがすべて含まれており、月額500,000米ドルからの価格で提供される。
企業の中には、特定のアーキテクチャへの多額の投資、レイテンシ、政治的なデータ規制などの理由から、自社のデータセンタを離れてパブリッククラウドへ移行することに消極的なものがある。このような企業のニーズを満たすためにOracleは、"Dedicated Region Cloud@Customer"という名称で、完全マネージドなOracle Cloud Infrastructureリージョンを、企業のデータセンタ内に展開する。Oracle Cloud Infrastructureを担当する執行副社長のClay Magouyrk氏は、プレスリリースで次のように述べている。
企業のお客様からは、自分たちの重要なワークロードの実行場所として、Oracleのすべてのクラウドサービスへのアクセスを含む、完全マネージドなパブリッククラウドをオンプレミスで利用したい、という要望を頂いています。Oracle Dedicated Region Cloud@Customerを使うことで、Autonomous Databaseを含む当社のすべての第2世代クラウドサービスを、自社のデータセンタで使用することが可能になるのです。
出典: https://www.oracle.com/corporate/pressrelease/oracle-dedicated-region-cloud-at-customer-070820.html
Cloud@customerサービスでは、完全なマネージメント機能に加えて、現時点でOracleのパブリッククラウドで利用可能な新機能やサービスにアクセスすることができる。さらに、
- すべてのAPI操作を含むカスタマデータのセキュアなアイソレーションを提供する。カスタマデータはすべてローカルに保管され、最高レベルのセキュリティが提供される。
- Oracle Fusion Cloud Application (Cloud ERP、Cloud HCM、Cloud SCM、Cloud CX)を含むOracle Cloudアプリケーションのシームレスな稼働が保証されており、完全に統合されたクラウドエクスペリエンスをオンプレミスで実現する。
- 課金は使用したサービスに対してのみである。
画像引用元:(スクリーンショット) https://www.youtube.com/watch?v=4Mv_sfaA8LU
MicrosoftやAmazonといった競合企業の多くは、Azure StackやAWS Outpostsのようなハイブリッドクラウドコンピューティングサービスを提供することで、カスタマが自社データセンタ内でクラウドテクノロジを利用できるようにしている。しかしながら、このアプローチでは、カスタマは自身のハードウェアに依存して、クラウドプロバイダのソフトウェアを実行することになる。Oracleの戦略では、カスタマのデータセンタにスペースを用意してもらい、そこにハードウェアとソフトウェアを配置する。そのため、Oracleがデータセンタを所持してすべてのメンテナンスを行っているかのように、まったく同じサービスを提供することができるのだ。
Oracleの代表取締役でCTO、創業者のひとりであるLarry Ellison氏は、Oracle Live Zoomプレゼンテーションで、次のように語っている。
Amazonにも、Microsoftにも、Googleにも、他の誰にも、御社のファイアウォールの内側で、御社専用の完全なパブリッククラウドを提供することはできません。これはクラウド業界において初めてのことなのです。
Cloud@customerサービスには、500,000米ドル/年で3年間の最小契約コミットメントが付帯する。価格に関する詳細はOracle price listに掲載されている。