Google Cloudは、新たなプロフェッショナルレベル認定のベータバージョンを、選択可能なパスに追加した。Professional Machine Learning Engineer認定は、Google Cloud Platfom上でのマシンラーニングに関する受験者のプラクティスと実装の知識を評価するものだ。
新たなベータ版試験は、Google Cloud Platform (GCP) が提供している7つのプロフェッショナルレベル認定に加わって、TensorFlowディープラーニングフレームワークとGCPサービスを使用したソリューションの設計と実装に向けた、さまざまなマシンラーニングのトピックをカバーする。厳しい受験資格のようなものはないが、受験者はGCP上で3年以上の経験を持つことが推奨されている。費用は120ドル、認定は2年間有効である。他のGCP認定と同様、合格者には合格者番号の付いた認定証、ディジタルバッジ、GCP Credential Holder Directoryに掲載されるオプションなど、いくつかの特典がある。加えてGoogleは、GCP認定保有者の"およそ5人に1人"が、合格後に昇格を獲得していると主張する。
試験は以下の領域を対象としている。
- ML Problem Framing: ビジネスニーズのML要件への転換。MLソリューションの形式判断(分類や回帰など)が含まれている。
- ML Solution Architecture: MLソリューションで使用する適切なGCPサービスの選択。
- Data Preparation and Pocessing: フィーチャーエンジニアリングとデータパイプラインの設計。
- ML Model Development: モデルフレームワークの選択、モデルのトレーニングとテスト。
- ML Pipeline Automation & Orchestration: CI/CDを用いたモデルのトレーニングとデプロイ。
- ML Solution Monitoring, Optimization, and Maintenance: 運用上のトラブルシュートとモデルのパフォーマンスチューニング。
GCPは2017年初めから、マシンラーニングコンポーネントを含むProfessional Data Engineer認定を行っていたが、そのコンテントはMLモデルの"運用"にフォーカスしたものだった。これに対して、今回の新しい試験では、MLライフサイクルのすべてを対象としている。新試験のガイドでは、GoogleのディープラーニングフレームワークTensorFlow特有のテクノロジである、TFRecorsとTensorFlow Transformの2つも取り上げている。その他の内容はフレームワークを特定しないものだが、それでもGCPサービスの使用に重点が置かれている。
他の認定と同じように、この試験も当初はベータ版として提供される。認定資料によると、ベータ試験は"極めて短期間、散発的に実施される"。これまでの試験では、ベータ期間は平均で数ヶ月に過ぎなかった。今回のベータ試験は他の試験よりも長く、英語でのみの提供となるが、登録費用は40パーセントにディスカウントされている。他の試験と同様、ベータ試験も専用のテストセンタで受験する必要がある。
資格の価値を判断する材料として、Googleは先日、"独立的な第3者調査機関"を通じて、最近GCP認定を取得した1,789名についての調査を行った。その調査結果では、認定が求職活動や昇格、昇給の上でプラスになったことが示されている。調査によると、認定保持者の20パーセント近くが昇格し、25パーセント以上が"以前よりも責任あるいはリーダシップのある職務に就くことができた"という。
その他の主要クラウドプロバイダであるAmazon Web Service(AWS)とMicrosoft Azureも、Google Cloudプラットフォームと同様な認定プログラムを用意しており、マシンラーニングやAIにフォーカスした認定も含まれている。AWSは2018年にmachine learning specialty examを、Microsoftは2019年初めにAI and data science certificationを、それぞれ発表した。Google Developer Networkも今年初めにTensorFlow certificationをリリースしているが、GCPのMLに特化したプロフェッショナルレベルの認定としてはこれが最初のものだ。Redditの議論では、あるユーザが次のように述べている。
Googleは基本的に、[マシンラーニングエンジニアには]何ができるのかという方向性を固めた上で、その定義を貸し出そうとしているのです。これはほぼ確実に、業界全体に影響を与えるものになるでしょう。
GCPの他の認証とは違い、新試験では練習試験が提供されていない。ただし、新しい認証のWebページにはCourseraとQwiklabsによるオンライントレーニングへのリンクや、GCPの認定トレーニングパートナによる個人トレーニングへのリンクが紹介されている。