Microsoft や Azul などのコミュニティメンバーは、 OpenJDK を MacOS や Windows で AArch64 チップセットに移植するために協力している。この作業は、ARM ベースの Mac が近日中に発売されることに合致している。また、市場での入手可能性と新しいチップの採用に合わせて、サポートされている OpenJDK ビルドを持つことを目的としている。
"Azul は JEP に草案したように MacOS 用の Aarch64 ポートをビルドしており、可能な限りオープンな状態で作業を行うだろう（Appleの開発者キットの早期アクセスルールによって制限されている）。そして、OpenJDK 16 や 17 などに含まれるようにアップストリームでの完全な作業を貢献する。これをアップストリームにマージさせたら、OpenJDK 11 と 8 の亜種をビルドするつもりだ。そして、開発者とユーザーが ARM ベースの Mac 上で動作する無料のバイナリ OpenJDK ディストリビューションを利用できるようにすることを確実にする。Azul 社の CTO である Gil Tene 氏は、多くのプラットフォームで自由に利用できる Zulu ビルドのOpenJDK を維持すると説明している。
マイクロソフトの関与は、JVM パフォーマンスの専門家である Monica Beckwith 氏によって一部推進されている。Beckwith 氏は以前、ARM のランタイム・パフォーマンス・アーキテクチャを担当していた。また、Oracle と Sun でG1 ガベージコレクタの開発に重要な役割を果たしていた。Microsoft は以前、オープンソース・コミュニティに貢献した様々なパッチで Windows ARM64 上の OpenJDK をリリースしている。
Windows と Mac の移植では、異なるコンパイルターゲットとコードチェンジが必要になる。だが、根本的なプラットフォームの側面はプロジェクトをスピードアップさせる統一した方法で共有できる。Tene 氏は、「ARM ベースの Mac に Java が搭載されていないという「問題」が「問題」になる前に、人々が使えるものを手に入れたいと思っています」と、リリースまでの時間枠を説明している。 ARM ベースの Mac は現在のところ一般向けに購入できない。しかし、Tom's Hardware のような業界のレビューグループは 2021 年の時間枠に向けて ARM Macbooks を予想している。Windows ARM デバイス用のハードウェアは Surface Pro X とその他の小数のノート PC に限られる。
Java ランタイム環境（JRE）の移植作業は、アプリケーションの再コーディングや変更のための追加の努力を必要とせずに、Java 開発者に利益をもたらすだろう。Java のコードは通常、再コンパイルや変更を不要にするパターンに従う。
開発者は、問題を解決するために適切と思われるライブラリをすべて呼び出してソースコードを書く。ライブラリはJARファイルで利用可能だ。それはクラスファイルのバイトコードを保持する。
開発者や継続的インテグレーションサーバは、ソースコードをバイトコードにコンパイルする。そして、ユニットテストやインテグレーションテストを実行して予期せぬバグを制限する。すべてのバイトコードの JAR ファイルは、配布可能なコンポーネントとしてパッケージ化されている。
実行時には、JRE はバイトコードを実行して「ホットスポット」を決定する。そこでは、ネイティブコードへのジャストインタイムコンパイルによってパフォーマンスが向上する。
この作業を Microsoft や Azul などの Java ベンダーを通じて行うことで、開発者は JRE が利用可能なあらゆるシステムに彼らのコードを簡単にデプロイできる。
アプリケーションがスタンドアロン実行ファイルとしてデプロイされている開発者は、アプリケーションを適切なランタイムターゲットで再コンパイルしなければならない。これには、GraalVM ネイティブモードだけでなく、jlink のようなツールや javapackager / jpackage を使ってアプリケーションごとのカスタム JRE を作成する人も含まれる。