Just AI Conversational Framework(JAICF)は、KotlinベースのDSLを提供することにより、会話型ユーザインターフェースの開発を可能にするフレームワークだ。一般的な音声およびテキスト会話プラットフォームの他、さまざまなNLUエンジンでも動作する。
JAICFはGoogleやAmazon、Slackなどの同種製品と競合するのではなく、これらのプラットフォーム上で動作する会話サービスを開発するためのツールの提供を目的としている。具体的に言うと、JAICFは、Amazon Alexa、Google Actions、Slack、Facebook Messangerなど、主要な会話チャネルにインターフェースするネイティブライブラリ上に構築されている。同じように、DialogFlowやRasaなど、使用するNLUエンジンに対しても依存性を持たない。
開発したJust AIは、会話駆動のチャットボットを設計、トレーニング、デプロイする完全なプラットフォームを目的とする、Just AI Conversational Platform(JAICP)の開発企業でもある。JAICFはJAICPと統合されているが、Just AIによれば、ユーザ単位の会話状態を永続化する手段を提供する任意のプラットフォームで使用可能である。
Just AIのソリューションオーナであるVitaliy Gorbachev氏に、詳しい話を聞くことができた。
InfoQ: JAICFを開発した目的について聞かせてください。おもにどのようなシナリオやユーザケースを想定しているのでしょうか？
Gorbachev: JAICFは、自然言語インターフェースの構築に関して、無限の可能性を提供します。自分の要求や意図を自然言語に定式化することができるので、あらゆるシナリオやユースケースに適応することが可能なのです。独自開発した音声インターフェースやアシスタントを加えることで、あらゆるデバイスやアプリをスマートにすることができます。無限のシナリオがあります — アプリケーションや任意のデバイス(おもにAndroidベースのもの)への音声アシスタントの組み込み、あらゆる仮想アシスタントのスキルやアクションの構築、音声ゲームを開発、などが考えられます。重要なのはアイデアであって、JAICFはこれを簡単に実行できるようにしてくれるのです。
InfoQ: JAICFは、Kotlinで実装された対話指向のDSLを提供していますが、この言語の使い勝手はどうでしたか？また、JAICFを実現する上で、どのようなメリットがあったのでしょうか？
Gorbachev: Kotlinは対話型ソフトウェアの開発には理想的なプログラミング言語です。言語の提供するコンテキスト指向のプログラミングパラダイムが、コンテキストが重要なシステムにおいては極めて有効であるからです。表現力に富んだ構文によって、信頼性と保守性の高いコードの記述が可能であると同時に、トラブルシュートも容易です。さらに、静的型付けによって、複雑な企業レベルのソリューションをエラーフリーにすることができます。
Kotlinベースのフレームワークを選択したもうひとつの理由は、Androidがスマートデバイス用の最高のオペレーティングシステムであることです。近いうちにほとんどのモバイルアプリが音声コントロールを搭載するようになるでしょうから、Android開発者によって広く使用されているKotlinを選択しました。
InfoQ: Kotlinをベースにしたことで、JAICFは当然Android対応になっていますが、iOSのサポートについてはどうなのでしょうか？
Gorbachev: まず何よりも、JAICFはサーバサイドDSLなのです。Androidとシームレスに統合可能なのは事実で、Googleプラットフォームの音声合成や音声認識(TTSおよびASR)と、NLUをregexpとして使って、完全にオフラインな音声アシスタントを開発することも可能です。これには、私たちのJava/Kotlinライブラリである、オープンソースのAimyboxを使用します。このライブラリでは、さまざまなDialog APIプロバイダ(JAICFを含む)用のコネクタ、ASR/TTSプロバイダ、音声起動ソリューション、さらにはUIキットやデモアプリまで、オンデバイスの音声アシスタント開発に必要なすべてのツールが提供されているのです。幸いなことにAimyboxはiOSに移植されているので、Dialog APIコネクタに多少の手を加えればJAICFスキルに接続することが可能です。
Just AIのJAICFはJetBrainsが提供している他、GitHub上でのフォークも可能である。