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Rust China Conf 2020で紹介された実運用レベルのRustアプリケーション

原文(投稿日:2021/01/20)へのリンク

Rust China Confは中国で開催される、Rustプログラミング言語のための最大の草の根イベントである。2020年エディションは12月25、26の両日、深セン(Shenzhen)で開催された。カンファレンスを共催するのは、Rust China Community、Second State、そしてHuawaiだ。世界的なパンデミックの中ではあるが、カンファレンスには300人以上が参加し、5,000人以上の開発者がカンファレンスのライブストリームを視聴した。

カンファレンスには、さまざまなグループの開発者や研究者が、講演者として登壇した。RustコアチームのNiko MatsakisSteve Klabnik両氏も、ビデオリンク経由で参加した。講演者たちはそれぞれ、開発現場におけるRustアプリケーションのベストプラクティスから、Rustの将来像に至るまで、幅広い見識を公開した。

Rustはシステムプログラミング用のニッチな言語として、Mozillaで産声を上げた。しかし今では、そのエレガントな設計、組み込まれたメモリ安全性、強力なコンパイラ、高いパフォーマンスによって、システムプログラミングを越えた多くの分野で受け入れられている。Stack Overflowユーザの投票では、5年連続で最も好きなプログラミング言語に選ばれている。

AmazonやMicrosoft、その他多くの米国や中国のハイテク企業では、ミッションクリティカルなプロダクションソフトウェアシステムにRustを導入する例が増えている。Rust China Conf 2020では、HuaweiやBytedance(Tiktokの親会社)、Ant Group、Agora、その他の大企業におけるRustの使用例が紹介された。

Huaweiでは、IoTデバイス用のリアルタイムOSの開発と、ハイパフォーマンスな仮想化プラットフォームのStratoVirtプロジェクトでRustを使用している。同社のエンジニアによれば、Huaweiでは定期的なRustのトレーニングと評価活動を行うことで、多数のC/C++開発者に対して、より安全なコードの記述を推奨している。Bytedanceには有名なLarkというチームコラボレーションプロダクトがあるが、そのモバイルクライアント全般における共有ネイティブライブラリの開発にRustが使用されている。同じRustライブラリを使ってWebAssemblyにコンパイルすれば、Webクライアントで使用することも可能だ。ディジタルペイメントプラットフォームのAnt Groupでは、ハイパフォーマンスな時系列データベースであるCeresDBの開発にRustを採用した。また、リアルタイムオーディオおよびビデオコミュニケーションのプロバイダであるAgora(NASDAQ: API)は、開発者コミュニティの拡大にRustを使用している。そのために同社では、Cベースのコアライブラリを備えたRust SDKを用意した。

大手ハイテク企業に加えて、中国やその他の国のスタートアップもRustを採用している。Rust China Confに参加したスタートアップの中には、ParityNearSolanaCryptapeといった著名なブロックチェーン開発企業や、PingCAPSecond Stateなどのクラウドコンピューティングスタートアップが含まれている。

Second StateのCEOであるMichael Yuan氏は、"クラウドコンピューティングにおけるRustとWebAssemblyの組み合わせは将来有望だ"と述べている。

中国のRustコミュニティは商業プロジェクトだけではない。カンファレンスでは、非常に興味深い個人ないしホビープロジェクトも注目を浴びていた。Async-graphqlTensorbaseTTstackDarenlordなどの開発者やメンテナが登壇して、Rustの素晴らしさ、Rustが解決してくれたプロジェクトの問題などについて語った。

今回のカンファレンスには、すでにRustを使っている学生も多数参加していた。聴衆の人気を集めた講演のうちの2つは、大学生が発表したものだった。華中科技大学のLuijia氏は、"The Rust Embedded System Development"と題して講演し、CベースのOpenSBIからヒントを得た自身のオープンソースプロジェクトのRustSBIについて論じた。清華大学のRunji Wang氏は、"The Exploration of Writing OS Kernel in Rust & MadFs: A Tiny But High-Performance Distributed File System"と題した講演を行った。氏はオープンソースプロジェクトrCoreのメンテナでもある。

Rust China Conf 2020は、中国のRustコミュニティのためのパーティである。Steve Klabnik氏が自身の講演で述べたように、Rust 2021 Editionはメジャーリリースになる予定で、世界中のコミュニティは、中国からのさらなるオープンソースコントリビューションを期待している。

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