Rust Core Teamは本日、Rust Foundationを設立して、同言語とコミュニティのサポートに年間100万ドル以上を提供すると発表した。
昨年のMozillaとRust Core Teamの発表では、Rustプログラミング言語と成長するコミュニティを支えるために、財団を新たに設立する意向が述べられていた。そして本日、Ashley Williams氏 -- Rust Core Teamのメンバで、Rust Foundationの暫定事務局長 -- が財団の設立を、新たに設けられたRust Foundation Teamブログで正式に発表したのだ。
Rust Foundationは、Rust言語とエコシステムへの貢献を目的とする新しい独立非営利目的組織であり、プロジェクトの管理や開発を行うメンテナたちをサポートするという、独自の重点を掲げている。
AWS、Huawei、Google、Microsoft、Mozillaが財団の創設メンバ企業となり、それぞれ -- リーダチームから5名のディレクタ、うち2名はCore Teamを代表し、残る3名は信頼性、品質、コラボレーションの各分野を担当 -- が財団の理事会に議席を保持する。最初の会合は2月9日(火)に行われる予定である。
理事会が言語とエコシステムの成功を支援する一方で、Rustのコミュニティ主体の自治モデルは今後も継続する。Williams氏は発表の中で、"... Rustはプログラミング言語やコミュニティに留まりません -- オープンソースプロジェクトにおけるコラボレーションの新しい、急進的方法を代表する存在でもあるのです"、と記している。
Rustは最初のリリース以来、プロジェクトの設計とメンテナンスのリーダとして100人以上のチームメンバを抱えて、rust-lang/rustリポジトリ単独でも6,000人近い数のコントリビュータに対応している。RustのRFCプロセスを通じては、1,000人以上の人たちが、プロジェクトの最も重要かつ戦略的なプロダクトや設計判断において、500件に近い判断を行っている。
"新たな論拠は不要"など、コミュニティの指針的原則が会話の完全なオープン性を保証しているとは言え、開発者間におけるRustの人気を支えるのが、メモリ安全の保証、C相当の実行速度、単純で高機能なコードを短時間に記述可能な言語効率性、といった部分にあることは間違いない。
William Morgan氏 -- 人気の高いメッシュであるLinkerdの開発を支援するBuoyantのCEO -- は先日のInfoQ Podcastで、同社がパフォーマンスを重視したサービスメッシュサイドカーをRustで開発することを決定した理由について説明した。"非同期ネットワークプログラミングエンジニアリングにおける最新のものは、今やそのすべてがRustで作られています"、と話す氏は、RustはBuoyantが"これらのものを、コンピュータの実現可能な最大速度で動作させること"を可能にする、とも述べている。
Morgan氏のコメントは、ソフトウェア業界中のシステム開発者の反響を呼んだ。2020 Stack Overflow Developer Surveyでは、Rustが最も愛されたプログラミング言語の第1位に輝いた(同言語が5年連続で達成した偉業である)。回答者の86パーセントは現在Rustを使用しており、将来も引き続き使用したいと答えている。回答した開発者の中で、実際に常日頃からRustを書いている数は5パーセントと高くはないものの、TIOBE Indexなどの測定では、この言語が2021年2月時点において世界で30番目に人気のあることが示されている(2020年9月には20位にまで達したこともある)。
Rustプロジェクトのかつての本拠地であるMozillaが8月11日に行ったリストラと、Rustコミュニティのメンバを含む250人のレイオフに関する懸念が、この言語の将来に不安を投げかけており、最近の人気低下につながっているようだ。
理事会の発足に際してWilliams氏は、創設メンバが"Rustプログラムのメンテナたちによる、考え得る最高のRustの開発を支援するためのサービスやプログラム、イベントを開発するために、2年間にわたって年間100万ドル以上の支援を約束しています。私たちはまだ、始まったばかりなのです"、と述べている。
RustとRust Foundationについての詳細は、foundation.rust-lang.orgを参照して頂きたい。