Azure Arcは、顧客がAWSやGoogle CloudなどのあらゆるインフラストラクチャにAzureサービスと管理を提供できるようにするためのMicrosoft製品である。今年、仮想Ignite会議中に、同社はAzure Arc対応の機械学習のプレビュー版を発表した。これにより、Azureの機械学習機能がハイブリッド環境とマルチクラウド環境に拡張される。
Microsoftは2019年11月にIgniteカンファレンスでAzure Arcを立ち上げた。このサービスはKubernetesでサポートされることが、Buildカンファレンス2020で発表された。さらに、同社はAzure Arcにさらに多くの機能をもたらした。これはAzure Arc対応のデータサービスと共にIgnite 2020で発表された。そして今、今年のIgniteで、MicrosoftはArc対応の機械学習と共にこのサービスに対して機能を加え続けている。この機能により、顧客は、オンプレミス、マルチクラウド環境、エッジなど、どこでもAzure Machine Learningを使用してモデルを構築できる。さらに、顧客は任意のKubernetesクラスタを使用して機械学習を拡張し、データが存在する場所の近くで実行できる。
Saurya Das氏によるMicrosoft Tech Communityのブログ投稿によると、数回クリックするだけで、Azure ArcがサポートするOSS KubernetesクラスタでAzure Machine Learningエージェントを実行できるようになる。
他の主要なデザインパターンとともに、いずれのOSS Kubernetesクラスタにおいてもエージェントのシームレスなセットアップを保証します。クラスタの例としては、AKS、RedHat OpenShift、また、他のクラウドプロバイダーが提供するマネージドKubernetesサービスがあります。
エージェントが正常にデプロイされると、ITオペレーターはデータサイエンティストにクラスタ全体あるいは、クラスタのスライスへのアクセスを許可できる。その際、名前空間やノードセレクターなどのネイティブの概念を使用する。これにより、透過的で柔軟に、クラスタの構成とライフサイクル管理(自動スケーリングの設定、新しいKubernetesバージョンへのアップグレード)を行うことができる。
ITオペレーターにクラスターを管理させることで、データサイエンティストは、Kubernetesについて多くのことを知る必要があり、ゆえにモデルに集中してツールを操作できる。ツール例としては、Azure Machine Learning Studio、Azure Machine Learning Python SDK(ソフトウェア開発キット)、OSSツール(Jupyterノートブック、TensorFlow、PyTorchなど)がある。
MicrosoftのAzure Arcサービスは、GoogleやAWSなどのクラウドプロバイダーが提供する他の同類のサービスと競合する。Googleは2019年4月にAthosを一般向け提供を開始し、2020年にマルチクラウドサポートを提供し、12月後半にベアメタルサポートを提供した。AnthosはArcよりもKubernetes中心のソリューションである。Anthosは、コンテナ化されたワークロードのサポートと従来の仮想マシンの完全なサポートを提供する。ArcとAnthosに並んで、AWSのOutpostsがある。これは、昨年1月にGAでリリースされたAmazonのハイブリッドクラウドサービスである。リリース後、更新が続いており、最近はローカルスナップショットのサポートが追加された。AWSのソリューションは、AWS独自のクラウドサービスでホストされているワークロードとのみ互換性があることに注意してください。
Constellation Research Inc.の主席アナリスト兼副社長であるHolger Mueller氏は、InfoQに次のように語っています。
企業に差別化をもたらすコードアセットを構築することは容易ではありません。コストが伴います。当然、CxOはこういった投資を保護し、必要な場所でこれらのコードアセットを実行したいと考えています。これが、最新バージョンのAzure ArcがAI / MLワークロードに対してサポートするものです。これによって、ワークロードをArcのロケーションに移動できるようになります。
最後に、顧客は3月31日に利用できるようになるプレビュー版にサインアップできる。