Linux Foundationは本日、Async API Initiativeをホストすると発表した。AsyncAPIの現在の成長をサポート可能な中立的プラットフォームの中で、個人や企業がAsyncAPIを進展させ、コラボレーションを育むためのフォーラムを提供する。
AsyncAPIの創始者であるFran Méndez氏は、今回の動向について次のようにコメントしている。
AsyncAPIが急成長を遂げる中で、今後の開発のために、中立性があり、信頼に値するホームグラウンドの必要性が明らかになってきました。関心を共有するコミュニティが集まってオープンな手法でテクノロジを発展させ、その採用を進めていく活動の中において、Linux Foundationがそのリーダであることは論を待ちません。プロジェクトにとって自然なこのステップは、AsyncAPIの完成度と機能の向上を示すものです。Linux Foundationが構築し標準化したオープンなガバナンスモデルによって、本イニシアティブが今後も発展を続けることを期待しています。
"AsyncAPIがLinux Foundationに参加したことは、オープンソースのイベント駆動API仕様がその基盤を築く上で、最後の礎石となるもの"だと、PostmanチーフエバンジェリストのKin Lane氏は言う。"HTTP要求および応答APIから始まり、KafkaやGraphQL、MQTT、AMQPなど、さまざまなプロトコルやパターンに広がったイベント駆動アプローチを含む、次世代APIインフラストラクチャを定義する基盤が構築されるのです。最新のエンタープライズAPIライフサイクルに沿って、ドキュメントやモック、テスト、その他の重要なステップを強化する上で必要なものを提供します。"
AsyncAPIは、非同期API定義の業界標準を目標としたオープン仕様で、非同期APIのドキュメントの自動生成やコード生成、管理、テスト、監視の統一化を支援する。仕様では、基盤となるテクノロジに依存しないイベント駆動システムのインターフェース記述が可能な言語の提供によって、イベント駆動アーキテクチャの完全な開発サイクルをサポートする。現時点では、Adidas、PayPal、Salesforce、SAP、SlackなどがAsyncAPIを運用している。
Linux FoundationのVP Developer RelationsであるChris Aniszczyk氏に、今回の発表について聞いた。
InfoQ: Linux FoundationがAsyncAPI Initiativeのサポートを決めた理由を教えてください。
第1には、Linux FoundationがすでにOpenAPIInitiativeやGraphQL Foundationなど、さまざまなAPI関連のプロジェクトや組織をホストしていたからです。広範に使用されているAPI関連の次のテクノロジとして、AsyncAPI Initiativeは自然な選択でした。第2に、Linux Foundationは、国際標準への提案から、イベントやメンタシップなどのサービスを通じたプロジェクトのサポートに至るまで、仕様の成長を促進するためのさまざまなサービスを提供しているからです。
InfoQ: AsyncAPIとLinux Foundationが提携することで、開発者は何を期待できるのでしょうか?
まず最初に、AsyncAPIプロジェクトは一企業や一個人を越えて重要なものなので、その資産に対してコミュニティが中立的な立場を取れるようにします。AsyncAPIコミュニティとは緊密に連携して、その影響力の拡大に向けて協力していくつもりです。最初のステップとして、コントリビューションベースを拡大するためのメンタシップの提供や、2021年9月に開催されるAPI Specifications Conferenceなどのイベントを通じた他のLinux Foundation関連のAPIプロジェクトとのコラボレーションを、コミュニティとともに進めていきます。
InfoQ: 非同期通信を扱う企業は今後、AsyncAPIに対する時間投資を行うべきだと思いますか?その理由も教えてください。
非同期通信を大規模に展開していない企業であれば、AsyncAPIのメリットは取り立てて必要のないものかも知れません。しかしながら、クラウドネイティブなアーキテクチャやマイクロサービスの興隆によって、イベント駆動アーキテクチャを目にする機会は増えています。
REST APIには、OpenAPIによって十分に標準化されたドキュメンテーションソリューションがあることで、素晴らしいツーリングのエコシステムによる開発者の効率向上を可能にしています。イベント重視のAPIにも、イベント駆動アーキテクチャの特質をカバーできるような、より最適なソリューションが必要なのです。
OpenAPIスキーマとの基本的な互換性という目的に加えて、OpenAPIのエコシステムにおいて強力なツールと開発者の効率性を推進したものと同じ標準化を、AsyncAPIが取り込み、提供しようとする理由はここにあります。AsyncAPI Initiativeには、イベント駆動アーキテクチャに関する知識を深めると同時に、特にOpenAPIの経験者に対してそのメリットを伝えられるような、優れたドキュメントが用意されています。
Linux Foundationはオープンソースソフトウェア、オープン標準、オープンデータ、オープンハードウェアに関するコラボレーションのハブとして、1,000以上のメンバに支えられながら、Linux、Kubernetes、Node.jsといったプロジェクトを擁している。同期型RESTに重点を置いたOpenAPI Initiativeもホストしており、イベント駆動のAsyncAPI Initiativeとは姉妹プロジェクトのような関係である。