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ビジネスアジリティのパターンとアンチパターン

原文(投稿日:2021/03/31)へのリンク

先日のWellyBam(Business Agility Wellington)のイベントで、書籍"Sooner, Safer, Happier"の著者らが、さまざまな企業における変革(transformation)活動を通じて自ら見出したビジネスアジリティ採用のパターンとアンチパターンについて、その理由を含めて詳しく説明した。講演のビデオがこちらに公開されている。

"パターンとアンチパターン"というアプローチを使用した理由として著者らが指摘したのは、組織の変革は本質的に複雑な作業であり、そのように複雑なドメインにおいて、すべての規模にマッチするアプローチは存在しない、という点だ。パターンとアンチパターンを使うことで、読者はパターンとアンチパターンの説明とその背景を読み、それが自分の状況にどの程度適用可能なのかを自分で判断することが可能になる。

パターンは一般的に追い風であり、アンチパターンは一般的に向かい風です。アンチパターンは難しい仕事をさらに難しくし、パターンは難しい仕事を多少は楽にしてくれます。

さらに著者らは、同書の8つのパターンと、それらを阻むアンチパターンについて説明した。

パターン: 結果に至る手段ではなく、何よりもまず結果を重視する。変革を目指すすべてのプロジェクト(アジャイル、DevOps、ディジタル)において、ビジネス上の成果よりも変革に重きを置いている場合、失敗する可能性が極めて高い。ビジネス上の成果を、実施する変革に関するコミュニケーションとインタラクションの焦点とすることが必要だ。"better value sooner、safer、happier"という本書のタイトルは、これを明確にするために付けられた。成果を達成するために用いるテクニックやメソッドやツールは、すべてが成果を達成するための手段であって、それを目標にしてはならない(例えば、DevOpsの採用はビジネス上の成果ではない)。

著者らは、アジャイル導入からビジネス成果へと重点を移した後、自分たちがBarclaysで達成した4つの項目に関する改善について説明した。

Deliver Better Value Sooner Safer Happier

パターン: 小さなことを通じて大きなことを達成する。これは、大規模なフレームワークを採用して、組織全体に変化を一気に押し付けるのではなく、段階的な小さな変化を実現して、アイデアとアプローチを組織全体に拡大する、ということだ。

パターン: 押し付けるのではなく、招き入れる。ひとつのサイズですべてに対応することはできない。組織全体にひとつのモデルないしフレームワークを押し付けるのは、組織の気力と意欲を削ぐことになる。そうではなく、新たな働き方を共に創造するように招き入れることにより、彼らの本質的なモチベーションを利用せよ。

パターン: リーダシップ行動が成功を左右する。トップが率先して変化しなければ、賛同は得られない。リーダが望ましい行動とサーバント・リーダシップのロールモデルになることを通じて、心理的に安全な環境を構築せよ。

パターン: 正しいものを構築せよ(Build the right thing)プロジェクト中心の考え方から、長期的なバリューストリームとプロダクトチームによる価値提供へとシフトせよ。マイルストンではなく、成果をもって進捗を測るのだ。

パターン: 正しく構築せよ(Build the things right)。官僚的な規則ではなく、状況に応じたガードレールを備えた継続的コンプライアンスと効果的ガバナンスの存在を確実なものにすること。コンプライアンスは対立的、サイロ的なものではなく、容易かつ共同作業的でなければならない。

パターン: 技術的な洗練性に絶えず注意を払うこと。急がば回れ、新機能提供と技術的負債の削減とのバランスに配慮せよ、アーキテクチャの整合性を維持せよ、品質エンジニアリングのプラクティスを用いて社内ソフトウェアの品質のバーを上げよ。

パターン: 学習の環境を構築せよ。知識と情報を、共有が容易で、簡単に見つけられるようにすること。プラクティスのコミュニティや内部的なアンカンファレンス(unconference)といったプラクティスを通じて、知識を共有する方法を見出し、学習に終わりはないと認識すること。

著者ら(John SmartZslot BerentMyles OgilvieSimon Rohrer各氏)はいずれも、Barclaysで長年仕事をし、大規模な組織変革を指導、貢献してきた方々だ。同書では、そこでの氏らの成果や、その他の多くの企業を基に100以上のケースを取り上げて、さまざまな状況においてこのアイデアを適用した様子を詳細に説明している。

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